■『少年少女世界の名作 6 ポンペイ最後の日』 リットン著 偕成社
柴田錬三郎/訳
岡本かんじ/装幀
沢田重隆/表紙絵
土村正寿/挿絵
※「ジュヴェナイル」カテゴリー参照
以前読んだ『幽霊屋敷』と同じ『少年少女世界の名作』シリーズの中の貴重な1冊
こうした当時のシリーズものは名作ばかり
画像検索したら横浜の図書館にもあった!
ちょうど絵のところにシール貼っちゃってるけど/汗
表紙画、挿絵が江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ同様
読む前からドキドキワクワクする!
とはいえ、開いてすぐの「この物語について」で
いきなりネタバレしてあってビックリ&ショック大!!
勧善懲悪ものとはいえ
ミステリー小説の冒頭で真犯人を言っちゃうようなもの↓↓↓
タイトルはなんとなく聞いたことがあるけれども
映画でも多分見たことがない
でもこれを読めば映画化したくなるのも納得
ハリウッドの黄金期であれば
主人公は大スペクタクル映画で活躍した俳優チャールトン・ヘストンだろうか
調べたら、全然知らない俳優ばかり
リメイクしないかなあ
久々夢中になって物語の世界に没頭した
これは実話を元にして書いたそうだけれども
ポンペイとはどこら辺だろう?
こうして一夜にして廃墟と化した街や国が
これまでいくつもあるという伝説がある
マチュピチュやマヤ文明…
それが本当ならば、そこで暮らしていた人々は
人生をそれぞれ謳歌していただろうに
自然の大いなる力には無力だということがよくわかる
それにしても神様はなぜ人々に
時々このような無残な天災を与えるのか
少年少女ものとして描き直した部分も多々あるだろう
本書ですら、火山の大噴火の描写は身震いがするのに
原作の濃さを思うと、きっと小心者の私には耐えられないかも
【内容抜粋メモ】(こちらもネタバレ注意
■この物語について
著者リットン卿は1803年ロンドン生まれ
少年の頃から詩集を出すほど文才にたけていた
後に政治家にもなり、グラスゴー大学総長、男爵を授けられる
インドの副王、伯爵となる
この当時は奇怪な神々を信じて、魔術などがさかんだったため
本書にも出てきますが、昔のことだと頭に置いてお読みください(w
■不吉な予言
ポンペイの町の中央の大広場は今日も大賑わい
みんな目の覚めるような美しい衣装をまとっている
ジュピターの宮でキリスト教徒の老人オリンサスが説教をしている
「この町には不吉な影がさしている
神さまにお祈りしなければなりません」
キリストが十字架に磔にされてまだまもない時代
イタリアでは知る人はいなかった
そこに50歳くらいの背が高く体格のよい僧官長アーベエシイズが通りかかる
彼はエジプト人でエジプトのアイシスの女神を祀り、世界支配を企んでいる
オリンサス:ベスビアス山の頂に灰色の雲がある
と噴火を予言するが
人々は何年も休火山のベスビアスがあり得ないとどっと笑う
■秘密
たった一人信じたのは盲目の薄幸な少女ニジア
元は貴族の出だが、両親を失い、奴隷として売られ
居酒屋の女将の元で働き、花を売り、歌ったりしている
立派な体格で人格者の青年貴族グロウカスがアテネから帰還する
親友のサラストが喜び迎える
当時、ローマは貴族と平民、奴隷の差が酷く
奴隷は牛のように扱われていた
グロウカスは身分を鼻にかけるのを嫌って年中旅行し
ポンペイが気に入り、別荘を買い、夏ごとに来る
金持ちのあくどい大商人ダイミオミイドの娘ジュリアが挨拶する
ポンペイで一番の美人だと自惚れている気の強さが嫌いで
ダイミオミイドが娘とグロウカスを結婚させて財産を狙っていると知り
自分はニジアのような清廉、正直者が好きだと言う
グロウカスはある兄妹を妖術使いアーベエシイズから救いに戻った
ネアポリスの宮で一心に祈る美女アイオンを見て何を祈っているのか聞く
兄妹はポンペイに行く際、先に出した船が嵐で沈み
全財産を失ってしまったという
グロウカスは持ち金をすべて渡して別れた
兄妹の後見人になったアーベエシイズが海賊に金を渡して沈ませたと知って憤り
いつか一戦交えると誓う
■アイシスの女神
人々は人と同じ大きさの木造のアイシスの女神を崇めている
ダイミオミイドも明日、アレキサンドリアに出帆する船のために祈りに来ている
裸の僧官がふしぎな踊りを踊りお告げをする
「嵐が起きても船は大丈夫だ」と聞いて安心するダイミオミイド
しかし実は、女神の声はアーベエシイズの片腕カレナスの声
アーベエシイズは女神の声はアイオンが適役だと秘密の相談をする
アーベエシイズ:
わしはギリシア人もローマ人も大嫌いじゃ
世界の支配者のように威張っている
一人残らず、わしの足元に跪かせてやる
アーベエシイズはカレナスに海賊ブルボにその船の宝物を奪うよう命じる
■奉行パンサ
グロウカスの別荘に奉行パンサが来る
8月9日に円形劇場で闘獣が行われるが
獅子に食わせる罪人がいないと困っているパンサは
グロウカスの奴隷を出してくれと頼む
(ギリシア人はなぜこうも闘牛だの血生臭いエンタメが好きなの???
たとえ罪人でも、同じ人間
あまりに残酷すぎると断るグロウカス
そして木造の女神が喋るなんてニセモノだから調べるよう頼む
アーベエシイズに睨まれたらどうなるか分からないと
小心者のパンサは断り
自分が挑むしかないと改めて決心するグロウカス
■めくらの少女(※めくらも今じゃ禁句だけど
グロウカスがいない間、庭の手入れをしていたニジアのために
また毎日来ておくれと頼む
ニジアは貴族の出で、なにかの不運で奴隷に売られたのだろうと推測し哀れに思う
ニジアから火山噴火の話を聞いて、にわかに信じられないものの
「ベスビアスが火をふいたら、ローマへ連れてってあげよう」と約束する
■正義と邪悪
グロウカスはアイオン兄妹の別荘を訪ねる
大きな恩を受けた人が訪ねてきて驚くアイオン
アーベエシイズは兄に宮の僧侶になるよう勧めてくれたと話すと
あれは異神だと警告するが
アイオンはアーベエシイズは賢者だと恩を感じている
兄アペサイデス:
無一文になって初めて自分がどんなにつまらない人間かが分かった
親からもらった財産でのらくら暮らしてきた
商人になるには世の中を知らず
剣士になるには体が弱すぎる
アーベエシイズは僧官になるよう勧めるが
アペサイデスも木造の女神は怪しいと断る
そこにグロウカスが現れ、アーベエシイズはひと目で敵と悟る
アイオンにもグロウカスは酒のみのならず者で
信用させた挙句、奴隷にして売り飛ばしているとウソを吹き込む
■妖術
アペサイデスは同じネアポリス出身のオリンサスと再会して驚く
オリンサスはキリスト教徒になったためにネアポリスを追放された
オリンサス:
人は欲望ゆえに罪を犯して苦しむ
キリストこそ天国に導くただ一人のお方です
毎夜の会合に誘うが迷うアペサイデス
アペサイデスはアーベエシイズと約束したアイシスの宮で待つと
音楽が聞こえ、花の香りを嗅ぎ、女神の声を聞く
「われに遣える僧官になるのじゃ」
その声もアーベエシイズの妖術で
まんまとひっかかり僧官となる
■ポンペイの裏町
盗人や荒くれの船乗りが集まる居酒屋で
賭けをしてケンカする若者の剣士たち
剣士ニゲルと海賊ブルボはいつもケンカをしている
剣士リドンはどうにも勝てない相手と戦って勝ち
賞金で貿易商人から奴隷になった父を救うと誓う
■母を呼ぶ声
そこにカレナスが来て、ブルボとダイミオミイドの船を沈める計画を話す
金の2割はカレナス、3割はブルボ、あとはアーベエシイズがもらう手はず
ニジアが入ってきて、この奴隷を売ってくれと女将に頼むブルボ
別の土地でもっと高い値段で売るという
恩人と思っていた女将の企みを知り泣いてすがるニジア
「奴隷の売買に口を出すんじゃない!」と鞭うつ
■高い買いもの
居酒屋にグロウカスが来て、闘獣は嫌いだが
剣士の試合は好きだから賞金をはずむとスカウトする
リドンは昨年の勝者テトライデスに挑むと意気込み
その理由を話すと破格の30セスタルシア出すと約束
リドンの父が奴隷になったのもアーベエシイズの仕業だろうと話すと驚く
ニジアがブルボに買われる前に買い
アイオンらの船を襲ったのはブルボだと指摘
女将もグロウカスを怖れて
5セスタルシアで買ったから8セスタルシアでニジアを売る
グロウカス:今日から毎日庭の手入れをして歌ってくれればいい
■おそろしい招待
アーベエシイズはアイオンにアイシスの声を伝える役目をしてくれと頼むが断られ
グロウカスも招待して仲直りするからとウソをついて別荘に誘う
■深夜のうらない
金字塔の上で星読みをするアーベエシイズ
数日前から恐怖雲にも気づいていたが
噴火したら自分の計画が泡になると占いを始める
答えは「汝の頭上に死の神が落ちるであろう」
カレナスからグロウカスが海賊のことを調べていると聞き
ブルボと仲間に暗殺するよう命じる
■行きちがい
ニジアはグロウカスの庭に水をやり、どれほど幸せかしみじみ思う
グロウカス:
心が清らかな者はきっと幸せになる
僕はお前を早くお母さんの元へ返してあげたいんだ
(死んだというのもウソ?
しばしアイオンのもとで働き
アーベエシイズが何か企んだら教えて欲しいと頼む
別荘を訪ねると、アイオンはアーベエシイズの別荘に経った後
慌てて戻るとグロウカスも出かけた後
「遅すぎた!」
ニジアは自分でなんとかしようとする
■奴隸の父
大広場の後ろは金持ち商人たちの大邸宅地
ダイミオミイドの下で奴隷として働いているのはリドンの父メドン
メドン:
勝つということは、相手の剣士を傷つけること
そんな金で自由になるより、一生奴隷でいたほうがいい
リドン:
おれは神は信じない
きっと勝ってみせるよ と約束する
■大浴場の血闘
剣士はグロウカス暗殺の仲間にリドンも誘うが
賞金だけが目当てのことには関わらないと断る
剣士はブルボに雇われ
公衆浴場の読書室で剣を持たないグロウカスを殺そうとしている
ローマとはくらべものにならないが
ポンペイの公衆浴場も立派
カリダリウム(水浴室)、スダトリウム(温浴室)、テピダリウム(蒸し風呂)などがある
奴隷が香油を塗ってマッサージしてくれる
(『テルマエ・ロマエ』を思い出すw
なんでも奴隷にやらせていた時代だから
自動洗浄のトイレも奴隷がやってると思い込んでもフシギじゃないかも
リドンから襲撃を聞いたグロウカスが待ち伏せている
4、5人の剣士が襲っても飛ぶ鳥のような剣術使いと分かる
ブルボにアイオンの船を沈めたことを白状させる
■妺をすくいに
ニジアはアイシスの宮に走り、アペサイデスに
アーベエシイズが船を沈めて財産を盗んだことを話す
アペサイデス:僕はアーベエシイズと戦うぞ!
■口をきく石首
アイオンはアーベエシイズの別荘にいる
アーベエシイズ:
私こそ地上の魔法使いだと思っている
金さえあれば、どんな者でも偉く見えるものじゃ
お前は運命の仕事が知りたくないか?
アイシスの声をやるよう言い
異様な臭いがたちこめ
真っ黒な大理石の首が動いた
「そなたの運命は、アイシスの女神の声になることじゃ」
アイオン:
私はエジプト人ではありません
あなたは善良な人々を騙している
アーベエシイズは拷問道具を見せると脅す
■大地震
アベサイデスが怒って助けに来る
暗殺したと思ったグロウカスも来る
もめていると、大地震が起きて部屋が30度も傾く
■大広場のできごと
オリンサスは大広場で地震は大変事の前触れではないかと
また説教をして、今度は誰も笑わない
パンサが来て恐怖を与える説教をするのを禁じる
ニジアはグロウカスに早くこの町から出てもらおうと思う
アベサイデス:アーベエシイズは地震の瓦礫の下敷きになって死んだと思う
オリンサス:悪人はやがて滅びるであろうよ
アベサイデスは老翁から祝福を受けてキリスト教徒となる
■令嬢ジュリア
ジュリアはニジアからグロウカスとアイオンが近々結婚するのではと聞いて驚く
一番の美人の自分の誘いを断ったことを恨み
結婚を邪魔しようと企み
ニジアを贅沢の限りを尽くした邸宅に誘い
3日に1日、自分の屋敷の庭にも来て欲しいと頼む
父には優れた魔法使いを紹介してほしいと頼み
アーベエシイズの別荘に行く
■生きていた怪僧
アーベエシイズは瓦礫からカレナスが引き出し
みるみる回復し、グロウカスの復讐に燃えていた
ジュリアの悪企みを知り、復讐に悪用しようと考える
アーベエシイズ:
ベスビアスの麓に年老いた巫女が住んでいる
あさって、大理石像で待つがよい
奴隷が案内してくれる
■妖婆と大蛇
グロウカスはアイオンと散歩に出かけると大嵐に見舞われ
雨宿りに入った洞窟で
この世の者とは思えないほど醜い老婆に出会う
老婆:
用心なされ 恐ろしい禍が迫っている
私はひと目で未来が分かるのじゃ
私は幸福な人間を不幸にするのが楽しみじゃ
グロウカスは襲ってきた大蛇を傷つけて老婆を怒らせる
老婆:
私の大事な家来を殺そうとしたな!
守り神オリカスさまにお願いして、お前を呪ってやる!
猛獣に食われてしまえ!
グロウカスは呪いなど信じず
帰り道、アーベエシイズの馬車とすれ違い驚く
■地獄の火
アーベエシイズ:
立って迎えよ! エレブスの召使
魔法の長者がやって来たのじゃ
アーベエシイズが火の帯のハーミイズと分かりひれ伏す老婆
アーベエシイズがグロウカスに復讐してくれと頼むと
自分も憎んでいるから毒薬を調合すると約束
洞窟の奥深くに行くと火花が見えて
「この世の最後が来る!」と慄く老婆
■はかりごと
ジュリアは老婆から毒薬をもらい
グロウカスとアイオンに半分ずつ飲ませれば
互いに嫌うようになるというウソを信じるが
本当は気が違ってしまうほどの威力があるのを知らない
ニジアにこれを主人に飲ませれば
目が見えるようになると言うと
天にものぼる気持ちになるニジア
■森の中
森の中でオリンサスとアベサイデスが相談をしている
明日、30人の信徒が集まり大広場に行進する
その時、アベサイデスはアーベエシイズの悪事と
アイシスの女神のウソをみなに告げる
(ここでアーベエシイズが男だった初めて分かった!
魔女かと思っていたけど、魔術を使う僧侶なのか
オリンサスは洞窟に出かけ、ブキミな噴煙を見たと話す
2人の相談を盗み聞きしていたカレナスは
パンサに密告しようとたくらむ
■毒薬のきゝめ
いつものようにグロウカスから
ぶどう酒を持ってくるよう言われたニジアは
コップに震える手で1/3入れて渡し
1/4飲んだグロウカスは
激しくもだえた後に気が狂って
老婆からアイオンを救うと言って出て行ってしまう
何が何だか分からずうろたえるニジア
■殺人
毒薬の効き目が早く知りたくて森に来たアーベエシイズは
アベサイデスに出くわし
頭に血がのぼり悪事を大声で叫ぶ決心を話してしまう
アーベエシイズは口塞ぎにアベサイデスを一突きで殺すのを
影で見ていたカレナス
そこにフラフラのグロウカスが来て
蹴って気絶さえ、その手に剣を持たせ
「グロウカスがアベサイデスを刺すのを見た!」と叫ぶ
そこにカレナスが呼んだパンサが来て
グロウカスを逮捕する
アベサイデスと待ち合わせていたオリンサスは
アーベエシイズが殺したに違いないと言うが
彼もまた謀反の疑いで牢屋行きとなる
アーベエシイズはカレナスがにやにやして見ているのに気づき
自分の犯行を見られたのでは?と疑う
人々は獅子と戦わせる罪人が出来たと噂する
(犯罪は隠そうとすればするほど、誰かしら見ているものだよね
■悪魔の笑い
自分のせいでグロウカスが死ぬかもしれないと
ニジアは牢屋の前で誰かれとなく助けを求める
アーベエシイズはグロウカスが正気を取り戻したと聞き
自分の犯行を思い出すのでは?と疑心暗鬼となり牢屋に会いに来る
すっかりやつれたグロウカスに記憶がないことを確かめて安心する
跪いたら、正気でなかったと証言してもよいと提案するも断られ
「今度会うのは法廷じゃ!」
ニジアも毒薬のことを話すのでは?と不安になり
言葉巧みに連れ帰る
■誘拐
この時代の葬式は、夜明けに執り行われる
遺体を焼き、遺骨を銀の壺におさめて墓に置き
会葬者たちは拝んで帰って行く
(ギリシアでは火葬なのね
悲しみに暮れるアイオンをブルボらが誘拐していく
■ニジアの決心
ニジアはアーベエシイズの別荘の奥の小部屋に閉じ込められる
人の良い見張りの奴隷からグロウカスが無実の罪で獅子に食われると聞き
ここを抜け出すため、自分は魔法使いだと奴隷を騙して抜け出す
■だましあい
カレナスは別荘の地下室に
金銀、ネロ皇帝の財産もどっさりあることを知っていて
アーベエシイズに真犯人が誰か知っていると脅す
ニジアが逃げた先に、この2人がやって来てもの影に隠れる
アーベエシイズはカレナスを蹴って閉じ込める
アーベエシイズ:
黄金を抱いて飢え死にしろ!
いくらあってもパンの屑も買えんわい!
2人のやりとりを聞いていたニジアは
出してあげる代わりにカレナスに証言させる約束をさせる
■牢獄
明朝、死刑が決まり、自分が記憶がないうちに殺したのでは?と苦しむグロウカス
隣りの牢屋にいたオリンサスは、アーベエシイズの仕業だと言い救われる
その夜、キリストの教えをとくとくと聞かせる
■手紙のつかい
グロウカスの親友サラストに助けを求めに行く途中
女将に捕まり、酒蔵に放り込まれるニジア(どれだけ薄幸なんだ!
そこに酔っ払いが来て、ネロ皇帝が飲んだという名酒をやるから
サラストに手紙を渡してくれと頼む
当時は蝋の板に鉄筆で書いた(彫った?)のか
だが、サラストは心配なあまりイライラして酒を飲み
手紙を破り捨てろと命令する
■その日の朝
とうとうポンペイ最後の日 8月9日
山の恐怖雲はなぜかスッキリとれている
とうとう復讐できると大喜びするアーベエシイズ
そこに妖婆が来て、早く逃げないと噴火すると警告する
アーベエシイズ:
今日は行かぬ
2、3日後にローマへ渡ろう
円形劇場の見物には、身分ある者は奴隷を全員連れて行く習わしで
アーベエシイズは貴賓席に座る
奴隷らは平民席を奪い合う
■リドンの死(小見出しでもネタばれって・・・
死刑の前に剣士の戦いが始まる
最初は騎馬武者の試合
相手の胸に剣が刺さると湧き上がる観衆
リドン対テトライデスは、なんとリドンが勝ち
父メドンはほっと溜息をつく
5人抜きの試合に出ないかと誘われるリドン
テトライデスに勝っても5セスタルシアしかもらえず
奉行は20出すと言い、出場すると決めるリドン
相手のユウモルパスはリドンの相手ではなく
ユウモルパス:
軽く傷つけるから剣を引き給え
それなら名誉も傷つかない
おれはお前を殺したくない
その申し出も断り、あっという間に胸を刺されて絶命するリドン
■ほえるしし
サラストはようやく手紙に気づく
(「紙手」て誤字になってる
誤字多いなあ・・・
慌ててパンサに手紙を書くが、パンサもそれどころではなく
手紙を懐にしまってしまう(みんな何やってるんだか!
獅子は24時間食べ物を与えず気が立っている
(ライオンて毎日狩りに成功するわけじゃないから
野生なら何日か食べなくても平気なのでは?
獅子はグロウカスの前でなぜかうずくまる
そこにサラストが間に合い、真犯人はアーベエシイズだと叫び
カレナスも証言する
サラスト:
もしグロウカスが死ねば、パンサは皇帝陛下の前で死刑を宣告されるぞ!
(皇帝はここには来ないのか
ものすごいピラミッド型の構造
大体、神官や役人が腐ってるし
観衆:
獅子がとびかからなかったのは
グロウカスさんが無実だったからだ!
奇跡だ! エジプト人をやっつけろ!
(ここにも長い歴史の差別が見られる
民衆の無知さに悲しくなる
私たちは同じことを何万年も繰り返してきたのだろう
その時、とうとうベスビアスから真っ黒な煙がたちのぼる
■地獄の中の決闘
灰の雨、焼石のあられが降りそそぎ
群衆は我先にと外へ逃げる
黒煙は世界を一瞬に夜にする
グロウカスは屍室で血まみれの遺体となったリドンと
その場で祈る父メドンを見て驚く
早く逃げるよう促すが
メドン:
もう生きる望みを失いました
せがれのそばで死にます
グロウカスはアイオンがアーベエシイズの別荘にいると聞き駆けつける
気を失ったアイオンをかかえて出ると
天地が轟音とともに大爆発し、火の塊が降ってくる
深紅の溶岩が噴き出してくる
熱灰は人々の命を奪いながら町を埋め尽くす
城門を出ればハーキュラニウムはもうすぐだと先を急ぐグロウカス
ダイミオミイドは建物の下敷きになり「金をやるから助けてくれ!」と叫び
その横には息絶えたジュリアがいる
毒ガスの臭気で息が詰まる
熱風が吹きおろし、まさにこの世の地獄だった
オリンサスは仲間とともに聖歌を歌いながら静かに行進している
アーベエシイズはたくさんの品物を
奴隷にかつがせて逃げようとしている
2人は凄烈きわまる中で決闘となる
あっさりとアーベエシイズの胸を刺すグロウカス
ニジアはやすらかな微笑みのまま息絶える
■あけぼの
地獄の一夜が明ける
一艘の小舟に乗ったグロウカス、アイオン、30人あまりの人々
(こんな島全体の危機でも生き延びる人がいるのがスゴイ
その先祖がいるのかなあ?
あとかたもなく消え失せた町を見て
グロウカス:
さようなら、ポンペイよ!
もう二度とふたたびここへ来ることはあるまい
*
最後は定番ながら、ヒーローとヒロインが生き延びるパターン
昔の女性はすぐに気を失うのはなぜだろう?
でもこんな地獄絵図を見るくらいなら
ずっと気を失っていたほうが幸せだね
柴田錬三郎/訳
岡本かんじ/装幀
沢田重隆/表紙絵
土村正寿/挿絵
※「ジュヴェナイル」カテゴリー参照
以前読んだ『幽霊屋敷』と同じ『少年少女世界の名作』シリーズの中の貴重な1冊
こうした当時のシリーズものは名作ばかり
画像検索したら横浜の図書館にもあった!
ちょうど絵のところにシール貼っちゃってるけど/汗
表紙画、挿絵が江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ同様
読む前からドキドキワクワクする!
とはいえ、開いてすぐの「この物語について」で
いきなりネタバレしてあってビックリ&ショック大!!
勧善懲悪ものとはいえ
ミステリー小説の冒頭で真犯人を言っちゃうようなもの↓↓↓
タイトルはなんとなく聞いたことがあるけれども
映画でも多分見たことがない
でもこれを読めば映画化したくなるのも納得
ハリウッドの黄金期であれば
主人公は大スペクタクル映画で活躍した俳優チャールトン・ヘストンだろうか
調べたら、全然知らない俳優ばかり
リメイクしないかなあ
久々夢中になって物語の世界に没頭した
これは実話を元にして書いたそうだけれども
ポンペイとはどこら辺だろう?
こうして一夜にして廃墟と化した街や国が
これまでいくつもあるという伝説がある
マチュピチュやマヤ文明…
それが本当ならば、そこで暮らしていた人々は
人生をそれぞれ謳歌していただろうに
自然の大いなる力には無力だということがよくわかる
それにしても神様はなぜ人々に
時々このような無残な天災を与えるのか
少年少女ものとして描き直した部分も多々あるだろう
本書ですら、火山の大噴火の描写は身震いがするのに
原作の濃さを思うと、きっと小心者の私には耐えられないかも
【内容抜粋メモ】(こちらもネタバレ注意
■この物語について
著者リットン卿は1803年ロンドン生まれ
少年の頃から詩集を出すほど文才にたけていた
後に政治家にもなり、グラスゴー大学総長、男爵を授けられる
インドの副王、伯爵となる
この当時は奇怪な神々を信じて、魔術などがさかんだったため
本書にも出てきますが、昔のことだと頭に置いてお読みください(w
■不吉な予言
ポンペイの町の中央の大広場は今日も大賑わい
みんな目の覚めるような美しい衣装をまとっている
ジュピターの宮でキリスト教徒の老人オリンサスが説教をしている
「この町には不吉な影がさしている
神さまにお祈りしなければなりません」
キリストが十字架に磔にされてまだまもない時代
イタリアでは知る人はいなかった
そこに50歳くらいの背が高く体格のよい僧官長アーベエシイズが通りかかる
彼はエジプト人でエジプトのアイシスの女神を祀り、世界支配を企んでいる
オリンサス:ベスビアス山の頂に灰色の雲がある
と噴火を予言するが
人々は何年も休火山のベスビアスがあり得ないとどっと笑う
■秘密
たった一人信じたのは盲目の薄幸な少女ニジア
元は貴族の出だが、両親を失い、奴隷として売られ
居酒屋の女将の元で働き、花を売り、歌ったりしている
立派な体格で人格者の青年貴族グロウカスがアテネから帰還する
親友のサラストが喜び迎える
当時、ローマは貴族と平民、奴隷の差が酷く
奴隷は牛のように扱われていた
グロウカスは身分を鼻にかけるのを嫌って年中旅行し
ポンペイが気に入り、別荘を買い、夏ごとに来る
金持ちのあくどい大商人ダイミオミイドの娘ジュリアが挨拶する
ポンペイで一番の美人だと自惚れている気の強さが嫌いで
ダイミオミイドが娘とグロウカスを結婚させて財産を狙っていると知り
自分はニジアのような清廉、正直者が好きだと言う
グロウカスはある兄妹を妖術使いアーベエシイズから救いに戻った
ネアポリスの宮で一心に祈る美女アイオンを見て何を祈っているのか聞く
兄妹はポンペイに行く際、先に出した船が嵐で沈み
全財産を失ってしまったという
グロウカスは持ち金をすべて渡して別れた
兄妹の後見人になったアーベエシイズが海賊に金を渡して沈ませたと知って憤り
いつか一戦交えると誓う
■アイシスの女神
人々は人と同じ大きさの木造のアイシスの女神を崇めている
ダイミオミイドも明日、アレキサンドリアに出帆する船のために祈りに来ている
裸の僧官がふしぎな踊りを踊りお告げをする
「嵐が起きても船は大丈夫だ」と聞いて安心するダイミオミイド
しかし実は、女神の声はアーベエシイズの片腕カレナスの声
アーベエシイズは女神の声はアイオンが適役だと秘密の相談をする
アーベエシイズ:
わしはギリシア人もローマ人も大嫌いじゃ
世界の支配者のように威張っている
一人残らず、わしの足元に跪かせてやる
アーベエシイズはカレナスに海賊ブルボにその船の宝物を奪うよう命じる
■奉行パンサ
グロウカスの別荘に奉行パンサが来る
8月9日に円形劇場で闘獣が行われるが
獅子に食わせる罪人がいないと困っているパンサは
グロウカスの奴隷を出してくれと頼む
(ギリシア人はなぜこうも闘牛だの血生臭いエンタメが好きなの???
たとえ罪人でも、同じ人間
あまりに残酷すぎると断るグロウカス
そして木造の女神が喋るなんてニセモノだから調べるよう頼む
アーベエシイズに睨まれたらどうなるか分からないと
小心者のパンサは断り
自分が挑むしかないと改めて決心するグロウカス
■めくらの少女(※めくらも今じゃ禁句だけど
グロウカスがいない間、庭の手入れをしていたニジアのために
また毎日来ておくれと頼む
ニジアは貴族の出で、なにかの不運で奴隷に売られたのだろうと推測し哀れに思う
ニジアから火山噴火の話を聞いて、にわかに信じられないものの
「ベスビアスが火をふいたら、ローマへ連れてってあげよう」と約束する
■正義と邪悪
グロウカスはアイオン兄妹の別荘を訪ねる
大きな恩を受けた人が訪ねてきて驚くアイオン
アーベエシイズは兄に宮の僧侶になるよう勧めてくれたと話すと
あれは異神だと警告するが
アイオンはアーベエシイズは賢者だと恩を感じている
兄アペサイデス:
無一文になって初めて自分がどんなにつまらない人間かが分かった
親からもらった財産でのらくら暮らしてきた
商人になるには世の中を知らず
剣士になるには体が弱すぎる
アーベエシイズは僧官になるよう勧めるが
アペサイデスも木造の女神は怪しいと断る
そこにグロウカスが現れ、アーベエシイズはひと目で敵と悟る
アイオンにもグロウカスは酒のみのならず者で
信用させた挙句、奴隷にして売り飛ばしているとウソを吹き込む
■妖術
アペサイデスは同じネアポリス出身のオリンサスと再会して驚く
オリンサスはキリスト教徒になったためにネアポリスを追放された
オリンサス:
人は欲望ゆえに罪を犯して苦しむ
キリストこそ天国に導くただ一人のお方です
毎夜の会合に誘うが迷うアペサイデス
アペサイデスはアーベエシイズと約束したアイシスの宮で待つと
音楽が聞こえ、花の香りを嗅ぎ、女神の声を聞く
「われに遣える僧官になるのじゃ」
その声もアーベエシイズの妖術で
まんまとひっかかり僧官となる
■ポンペイの裏町
盗人や荒くれの船乗りが集まる居酒屋で
賭けをしてケンカする若者の剣士たち
剣士ニゲルと海賊ブルボはいつもケンカをしている
剣士リドンはどうにも勝てない相手と戦って勝ち
賞金で貿易商人から奴隷になった父を救うと誓う
■母を呼ぶ声
そこにカレナスが来て、ブルボとダイミオミイドの船を沈める計画を話す
金の2割はカレナス、3割はブルボ、あとはアーベエシイズがもらう手はず
ニジアが入ってきて、この奴隷を売ってくれと女将に頼むブルボ
別の土地でもっと高い値段で売るという
恩人と思っていた女将の企みを知り泣いてすがるニジア
「奴隷の売買に口を出すんじゃない!」と鞭うつ
■高い買いもの
居酒屋にグロウカスが来て、闘獣は嫌いだが
剣士の試合は好きだから賞金をはずむとスカウトする
リドンは昨年の勝者テトライデスに挑むと意気込み
その理由を話すと破格の30セスタルシア出すと約束
リドンの父が奴隷になったのもアーベエシイズの仕業だろうと話すと驚く
ニジアがブルボに買われる前に買い
アイオンらの船を襲ったのはブルボだと指摘
女将もグロウカスを怖れて
5セスタルシアで買ったから8セスタルシアでニジアを売る
グロウカス:今日から毎日庭の手入れをして歌ってくれればいい
■おそろしい招待
アーベエシイズはアイオンにアイシスの声を伝える役目をしてくれと頼むが断られ
グロウカスも招待して仲直りするからとウソをついて別荘に誘う
■深夜のうらない
金字塔の上で星読みをするアーベエシイズ
数日前から恐怖雲にも気づいていたが
噴火したら自分の計画が泡になると占いを始める
答えは「汝の頭上に死の神が落ちるであろう」
カレナスからグロウカスが海賊のことを調べていると聞き
ブルボと仲間に暗殺するよう命じる
■行きちがい
ニジアはグロウカスの庭に水をやり、どれほど幸せかしみじみ思う
グロウカス:
心が清らかな者はきっと幸せになる
僕はお前を早くお母さんの元へ返してあげたいんだ
(死んだというのもウソ?
しばしアイオンのもとで働き
アーベエシイズが何か企んだら教えて欲しいと頼む
別荘を訪ねると、アイオンはアーベエシイズの別荘に経った後
慌てて戻るとグロウカスも出かけた後
「遅すぎた!」
ニジアは自分でなんとかしようとする
■奴隸の父
大広場の後ろは金持ち商人たちの大邸宅地
ダイミオミイドの下で奴隷として働いているのはリドンの父メドン
メドン:
勝つということは、相手の剣士を傷つけること
そんな金で自由になるより、一生奴隷でいたほうがいい
リドン:
おれは神は信じない
きっと勝ってみせるよ と約束する
■大浴場の血闘
剣士はグロウカス暗殺の仲間にリドンも誘うが
賞金だけが目当てのことには関わらないと断る
剣士はブルボに雇われ
公衆浴場の読書室で剣を持たないグロウカスを殺そうとしている
ローマとはくらべものにならないが
ポンペイの公衆浴場も立派
カリダリウム(水浴室)、スダトリウム(温浴室)、テピダリウム(蒸し風呂)などがある
奴隷が香油を塗ってマッサージしてくれる
(『テルマエ・ロマエ』を思い出すw
なんでも奴隷にやらせていた時代だから
自動洗浄のトイレも奴隷がやってると思い込んでもフシギじゃないかも
リドンから襲撃を聞いたグロウカスが待ち伏せている
4、5人の剣士が襲っても飛ぶ鳥のような剣術使いと分かる
ブルボにアイオンの船を沈めたことを白状させる
■妺をすくいに
ニジアはアイシスの宮に走り、アペサイデスに
アーベエシイズが船を沈めて財産を盗んだことを話す
アペサイデス:僕はアーベエシイズと戦うぞ!
■口をきく石首
アイオンはアーベエシイズの別荘にいる
アーベエシイズ:
私こそ地上の魔法使いだと思っている
金さえあれば、どんな者でも偉く見えるものじゃ
お前は運命の仕事が知りたくないか?
アイシスの声をやるよう言い
異様な臭いがたちこめ
真っ黒な大理石の首が動いた
「そなたの運命は、アイシスの女神の声になることじゃ」
アイオン:
私はエジプト人ではありません
あなたは善良な人々を騙している
アーベエシイズは拷問道具を見せると脅す
■大地震
アベサイデスが怒って助けに来る
暗殺したと思ったグロウカスも来る
もめていると、大地震が起きて部屋が30度も傾く
■大広場のできごと
オリンサスは大広場で地震は大変事の前触れではないかと
また説教をして、今度は誰も笑わない
パンサが来て恐怖を与える説教をするのを禁じる
ニジアはグロウカスに早くこの町から出てもらおうと思う
アベサイデス:アーベエシイズは地震の瓦礫の下敷きになって死んだと思う
オリンサス:悪人はやがて滅びるであろうよ
アベサイデスは老翁から祝福を受けてキリスト教徒となる
■令嬢ジュリア
ジュリアはニジアからグロウカスとアイオンが近々結婚するのではと聞いて驚く
一番の美人の自分の誘いを断ったことを恨み
結婚を邪魔しようと企み
ニジアを贅沢の限りを尽くした邸宅に誘い
3日に1日、自分の屋敷の庭にも来て欲しいと頼む
父には優れた魔法使いを紹介してほしいと頼み
アーベエシイズの別荘に行く
■生きていた怪僧
アーベエシイズは瓦礫からカレナスが引き出し
みるみる回復し、グロウカスの復讐に燃えていた
ジュリアの悪企みを知り、復讐に悪用しようと考える
アーベエシイズ:
ベスビアスの麓に年老いた巫女が住んでいる
あさって、大理石像で待つがよい
奴隷が案内してくれる
■妖婆と大蛇
グロウカスはアイオンと散歩に出かけると大嵐に見舞われ
雨宿りに入った洞窟で
この世の者とは思えないほど醜い老婆に出会う
老婆:
用心なされ 恐ろしい禍が迫っている
私はひと目で未来が分かるのじゃ
私は幸福な人間を不幸にするのが楽しみじゃ
グロウカスは襲ってきた大蛇を傷つけて老婆を怒らせる
老婆:
私の大事な家来を殺そうとしたな!
守り神オリカスさまにお願いして、お前を呪ってやる!
猛獣に食われてしまえ!
グロウカスは呪いなど信じず
帰り道、アーベエシイズの馬車とすれ違い驚く
■地獄の火
アーベエシイズ:
立って迎えよ! エレブスの召使
魔法の長者がやって来たのじゃ
アーベエシイズが火の帯のハーミイズと分かりひれ伏す老婆
アーベエシイズがグロウカスに復讐してくれと頼むと
自分も憎んでいるから毒薬を調合すると約束
洞窟の奥深くに行くと火花が見えて
「この世の最後が来る!」と慄く老婆
■はかりごと
ジュリアは老婆から毒薬をもらい
グロウカスとアイオンに半分ずつ飲ませれば
互いに嫌うようになるというウソを信じるが
本当は気が違ってしまうほどの威力があるのを知らない
ニジアにこれを主人に飲ませれば
目が見えるようになると言うと
天にものぼる気持ちになるニジア
■森の中
森の中でオリンサスとアベサイデスが相談をしている
明日、30人の信徒が集まり大広場に行進する
その時、アベサイデスはアーベエシイズの悪事と
アイシスの女神のウソをみなに告げる
(ここでアーベエシイズが男だった初めて分かった!
魔女かと思っていたけど、魔術を使う僧侶なのか
オリンサスは洞窟に出かけ、ブキミな噴煙を見たと話す
2人の相談を盗み聞きしていたカレナスは
パンサに密告しようとたくらむ
■毒薬のきゝめ
いつものようにグロウカスから
ぶどう酒を持ってくるよう言われたニジアは
コップに震える手で1/3入れて渡し
1/4飲んだグロウカスは
激しくもだえた後に気が狂って
老婆からアイオンを救うと言って出て行ってしまう
何が何だか分からずうろたえるニジア
■殺人
毒薬の効き目が早く知りたくて森に来たアーベエシイズは
アベサイデスに出くわし
頭に血がのぼり悪事を大声で叫ぶ決心を話してしまう
アーベエシイズは口塞ぎにアベサイデスを一突きで殺すのを
影で見ていたカレナス
そこにフラフラのグロウカスが来て
蹴って気絶さえ、その手に剣を持たせ
「グロウカスがアベサイデスを刺すのを見た!」と叫ぶ
そこにカレナスが呼んだパンサが来て
グロウカスを逮捕する
アベサイデスと待ち合わせていたオリンサスは
アーベエシイズが殺したに違いないと言うが
彼もまた謀反の疑いで牢屋行きとなる
アーベエシイズはカレナスがにやにやして見ているのに気づき
自分の犯行を見られたのでは?と疑う
人々は獅子と戦わせる罪人が出来たと噂する
(犯罪は隠そうとすればするほど、誰かしら見ているものだよね
■悪魔の笑い
自分のせいでグロウカスが死ぬかもしれないと
ニジアは牢屋の前で誰かれとなく助けを求める
アーベエシイズはグロウカスが正気を取り戻したと聞き
自分の犯行を思い出すのでは?と疑心暗鬼となり牢屋に会いに来る
すっかりやつれたグロウカスに記憶がないことを確かめて安心する
跪いたら、正気でなかったと証言してもよいと提案するも断られ
「今度会うのは法廷じゃ!」
ニジアも毒薬のことを話すのでは?と不安になり
言葉巧みに連れ帰る
■誘拐
この時代の葬式は、夜明けに執り行われる
遺体を焼き、遺骨を銀の壺におさめて墓に置き
会葬者たちは拝んで帰って行く
(ギリシアでは火葬なのね
悲しみに暮れるアイオンをブルボらが誘拐していく
■ニジアの決心
ニジアはアーベエシイズの別荘の奥の小部屋に閉じ込められる
人の良い見張りの奴隷からグロウカスが無実の罪で獅子に食われると聞き
ここを抜け出すため、自分は魔法使いだと奴隷を騙して抜け出す
■だましあい
カレナスは別荘の地下室に
金銀、ネロ皇帝の財産もどっさりあることを知っていて
アーベエシイズに真犯人が誰か知っていると脅す
ニジアが逃げた先に、この2人がやって来てもの影に隠れる
アーベエシイズはカレナスを蹴って閉じ込める
アーベエシイズ:
黄金を抱いて飢え死にしろ!
いくらあってもパンの屑も買えんわい!
2人のやりとりを聞いていたニジアは
出してあげる代わりにカレナスに証言させる約束をさせる
■牢獄
明朝、死刑が決まり、自分が記憶がないうちに殺したのでは?と苦しむグロウカス
隣りの牢屋にいたオリンサスは、アーベエシイズの仕業だと言い救われる
その夜、キリストの教えをとくとくと聞かせる
■手紙のつかい
グロウカスの親友サラストに助けを求めに行く途中
女将に捕まり、酒蔵に放り込まれるニジア(どれだけ薄幸なんだ!
そこに酔っ払いが来て、ネロ皇帝が飲んだという名酒をやるから
サラストに手紙を渡してくれと頼む
当時は蝋の板に鉄筆で書いた(彫った?)のか
だが、サラストは心配なあまりイライラして酒を飲み
手紙を破り捨てろと命令する
■その日の朝
とうとうポンペイ最後の日 8月9日
山の恐怖雲はなぜかスッキリとれている
とうとう復讐できると大喜びするアーベエシイズ
そこに妖婆が来て、早く逃げないと噴火すると警告する
アーベエシイズ:
今日は行かぬ
2、3日後にローマへ渡ろう
円形劇場の見物には、身分ある者は奴隷を全員連れて行く習わしで
アーベエシイズは貴賓席に座る
奴隷らは平民席を奪い合う
■リドンの死(小見出しでもネタばれって・・・
死刑の前に剣士の戦いが始まる
最初は騎馬武者の試合
相手の胸に剣が刺さると湧き上がる観衆
リドン対テトライデスは、なんとリドンが勝ち
父メドンはほっと溜息をつく
5人抜きの試合に出ないかと誘われるリドン
テトライデスに勝っても5セスタルシアしかもらえず
奉行は20出すと言い、出場すると決めるリドン
相手のユウモルパスはリドンの相手ではなく
ユウモルパス:
軽く傷つけるから剣を引き給え
それなら名誉も傷つかない
おれはお前を殺したくない
その申し出も断り、あっという間に胸を刺されて絶命するリドン
■ほえるしし
サラストはようやく手紙に気づく
(「紙手」て誤字になってる
誤字多いなあ・・・
慌ててパンサに手紙を書くが、パンサもそれどころではなく
手紙を懐にしまってしまう(みんな何やってるんだか!
獅子は24時間食べ物を与えず気が立っている
(ライオンて毎日狩りに成功するわけじゃないから
野生なら何日か食べなくても平気なのでは?
獅子はグロウカスの前でなぜかうずくまる
そこにサラストが間に合い、真犯人はアーベエシイズだと叫び
カレナスも証言する
サラスト:
もしグロウカスが死ねば、パンサは皇帝陛下の前で死刑を宣告されるぞ!
(皇帝はここには来ないのか
ものすごいピラミッド型の構造
大体、神官や役人が腐ってるし
観衆:
獅子がとびかからなかったのは
グロウカスさんが無実だったからだ!
奇跡だ! エジプト人をやっつけろ!
(ここにも長い歴史の差別が見られる
民衆の無知さに悲しくなる
私たちは同じことを何万年も繰り返してきたのだろう
その時、とうとうベスビアスから真っ黒な煙がたちのぼる
■地獄の中の決闘
灰の雨、焼石のあられが降りそそぎ
群衆は我先にと外へ逃げる
黒煙は世界を一瞬に夜にする
グロウカスは屍室で血まみれの遺体となったリドンと
その場で祈る父メドンを見て驚く
早く逃げるよう促すが
メドン:
もう生きる望みを失いました
せがれのそばで死にます
グロウカスはアイオンがアーベエシイズの別荘にいると聞き駆けつける
気を失ったアイオンをかかえて出ると
天地が轟音とともに大爆発し、火の塊が降ってくる
深紅の溶岩が噴き出してくる
熱灰は人々の命を奪いながら町を埋め尽くす
城門を出ればハーキュラニウムはもうすぐだと先を急ぐグロウカス
ダイミオミイドは建物の下敷きになり「金をやるから助けてくれ!」と叫び
その横には息絶えたジュリアがいる
毒ガスの臭気で息が詰まる
熱風が吹きおろし、まさにこの世の地獄だった
オリンサスは仲間とともに聖歌を歌いながら静かに行進している
アーベエシイズはたくさんの品物を
奴隷にかつがせて逃げようとしている
2人は凄烈きわまる中で決闘となる
あっさりとアーベエシイズの胸を刺すグロウカス
ニジアはやすらかな微笑みのまま息絶える
■あけぼの
地獄の一夜が明ける
一艘の小舟に乗ったグロウカス、アイオン、30人あまりの人々
(こんな島全体の危機でも生き延びる人がいるのがスゴイ
その先祖がいるのかなあ?
あとかたもなく消え失せた町を見て
グロウカス:
さようなら、ポンペイよ!
もう二度とふたたびここへ来ることはあるまい
*
最後は定番ながら、ヒーローとヒロインが生き延びるパターン
昔の女性はすぐに気を失うのはなぜだろう?
でもこんな地獄絵図を見るくらいなら
ずっと気を失っていたほうが幸せだね