1973年初版 1987年 第13刷 平井芳夫/訳 山中冬児/装幀・口絵 戸次義人/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
貧しく、優しい少女が、金持ちの祖父を訪ねて、孫として認められるまでの物語
日本では『ペリーヌ物語』としてアニメになったのかな?
【内容抜粋メモ】
登場人物
エドモン 父 病死
母 病死
ペリーヌ
ボルフラン・パンダボンヌ 祖父
テオドル パンダボンヌの兄の息子
カジミル パンダボンヌの妹の息子
工場長
ロザリー 両親を亡くした少女
●旅路の親子
ロバのパリカレがひくオンボロ馬車と歩く少女ペリーヌ
中には病身の母が寝ている
野原の持ち主の片腕のおじいさんに9スー払ってひと晩過ごす
父はフランスの田舎町の立派な家の一人息子だったが
父と衝突して家を出て、インドで出会った女性と結婚してペリーヌが産まれた
旅周りの写真師となり、ほうぼう周っていたが、半年ほど前に病死
母も病気になり、夫の生まれ故郷が見たいとパリに来た
母を医者にみせるため、馬車と写真機をおじいさんに売るとたったの15フラン
医者は今すぐ入院が必要だというが、そんな余裕がないためクスリをもらう
卵とミルクとパンを買うと、あっという間に金はなくなる
馬市でパリカレを売ろうとすると嫌がって動かない
そこに1人で商売をしているラ・ルークリが通りかかり
荷車をひく用に30フランで買う
●マロクールへ
夜、母が高熱を出し、マロクールにパンダボンヌという祖父の家があるから訪ねて
結婚証明書を見せるよう遺言をのこす
母:
正しい心で、正しいことをして
いつも神さまに祈っていれば悪いようにはなさらないものです
見える! 天国の門が お母さんは行くわ
おじいさんらは小さなお葬式を出し、いっしょに歌をうたったり
あめ屋をやろうと親切に声をかけてくれるが
1人で祖父を訪ねていこうと決心するペリーヌ
パン屋でパンを買おうとして、店のおばさんに5フラン銀貨がニセモノだと難癖をつけられ
おかみさん:返したら、またどこかで使うつもりだろう? とそのままとられてしまう!
ペリーヌはおじいさんからもらった銅貨、ハンカチ、母の形見の指輪だけ持って
汽車にも乗らず歩いてマロクールを目指す
少女を使って豆を収穫している所で雇ってもらおうにも断られ
倒れている所にパリカレが来て、ラ・ルークリと再会
事情を話すと、クレイユという町までくず屋の手伝いをして
アミアンまで百姓の馬車に乗せてもらい、汽車に乗り、ビッキニィに着く
●少女ロザリー
年恰好の同じ少女ロザリーが重いかごを持ってマロクールに帰るところだと聞いて
運ぶのを手伝う代わりに案内してもらう
ロザリーも両親が亡く、パンダボンヌの工場で働いていると聞いて驚く
ペリーヌはオーレリと名前を変えて、しばらくその工場で働こうと思いつく
祖父は1人で宮殿のようなお屋敷に住み
2人の甥は仕事を手伝っているが仲が悪い
工場の給料は1日10スー
ロザリーのいる下宿の部屋代は1週間28スー
2階はいい部屋で、建築技師のファブリ、事務長モンブロ、渉外係バンディらが住む
●マロクール村
ロザリーの祖母はペリーヌの父エドモンの乳母をしていたため
パンダボンヌから優しくされている
パンダボンヌは気性が激しく、目がほとんど見えない
手術をすれば治ると言われているが、体が弱くてそのままになっている
下宿に行くと狭い一室に6つもベッドがあり、むかつくような臭いがする
工場で働いている3人の少女が工場長タルウェルの悪口を言って、眠れないペリーヌ
弱い者いじめをする工場長タルウェルも
パンダボンヌの兄の息子テオドル、妹の息子カジミルも
みな工場を乗っ取ろうと画策している
●おつとめの日
工場の汽笛が響くと、みんな工場に働きに行く
ペリーヌはトロッコ係の女子工員となって働く
義足のオノオじいさんが仕事を教えてくれる
糸をつむいでいたロザリーは、機械に手を挟んで、指を2本つぶす怪我をする/汗×5000
タルウェルは赤チンをつけて仕事に戻れと言うが
ボルフランは帰宅して養生するよう言う
おじいさんは本当は優しい人なんだと思うペリーヌ
●浮き島の部屋
少し離れた所にある小屋で寝泊まりしようと思うペリーヌ
掃除をして、シダーのベッドに寝て、パンと水だけの食事をする
靴がボロボロで痛いため、沼地でイグサをとり、編んで即席のクツをつくると
工場の少女たちから褒められる
これからもいろいろと工夫しようと思う
肌着も1枚しかないため、安いキャラコを買ってきて
ハサミの代わりにナイフで切り、肌着もつくる
がらくたの中から空き缶を拾い、鍋とスプーンをつくり
野原で食べられる野草をつんでスープをつくる
近くでバンという鳥の卵を見つけ、川で魚を釣るためのつり糸もつくる/驚
ロザリーに話すと、とても羨ましがるので、誰にも言わない約束で招き
石を集めたかまどで料理して、大きな葉のお皿に盛って、もてなす
バンディが腸チフスにかかり、ファブリが出張でいないため
ドイツ語は話せても、英語が分からないモンブロさんが困っていると話すロザリー
なんでも手伝うとうけあうペリーヌ
●小さい通訳
工場長からパンダボンヌのいるサンビボアへ行くよう言われて驚くペリーヌ
英国人技師が1週間早く着いて、機械が重すぎると訴えているのを訳してあげると
パンダボンヌは満足し、ファブリが戻るまで通訳をしてくれと任せる
翌日からペリーヌは快適な部屋をあてがわれ、立派に通訳を務める
パンダボンヌはペリーヌに英語の新聞の商業欄も訳させ
カルカッタ通信のダッカのページも読む
それは母の生まれ故郷で、ペリーヌが産まれた土地
パンダボンヌ:あの子の声をどこかで聞いたことがある気がするが思い出せない
気になったパンダボンヌはペリーヌの両親や、パリからここまで歩いてきた苦労話を聞く
パンダボンヌ:
お前はたった1人でよくそんなツライ旅を辛抱したね
わしはそういう意志の強い人間が好きなのだ
一度、親戚に手紙を出したらどうかね
一人は本当に寂しいものだよ
ファブリが帰り、通訳の仕事は終わる
浮島の近くで作物のとりいれが始まり、どうしようと迷っていると
パンダボンヌ:
わしはすっかりお前が気にいった
これからもずっと秘書をしてもらいたい
給料ははじめ月90フラン よくやれば多くしてあげるよ
小切手をもらい、服、帽子、下着、靴もすっかり買い換える
下宿の2階を借りることにして、部屋代は月12フラン
食事は50フランかかるが十分まかなえる
ロザリーが工場の仕事を教えてくれたお陰だと感謝する
●秘密の手紙
ボルフランはダッカのフイールズ神父に息子の居所を調べさせていて返事がきたため
ペリーヌに訳すよう言いつける
テオドルもタルウェルも手紙の内容が気になって見せろと言うが断わる
エドモンは教養高い美しい女性と結婚
妻の父は有名な貿易商で、4年間、実家で暮らしたが
両親が亡くなったため、女の子とともにダルージに移った、という内容
ボルフランは、ペリーヌを家に置こうと考える
ボルフラン:
息子と意見が合わず、他国で結婚して帰ってこない
一時は腹を立てたが、近ごろになって恋しくなった
わしの財産や工場を狙ってるやつらがうようよしている
わしの味方はオーレリだけだ
お前が他人でない気がする
屋敷の図書室で父の若い頃の写真を見つけて泣いていると
ボルフランは、ペリーヌが死んだ両親を思い出したのだと思って同情する
それからは御殿のような家に住み、小間使いに朝夕かしづかれ
美味しいご馳走を食べ、祖父の用事がない時は自由にしたり
家庭教師ベロンム先生をつけてもらい、勉強もはかどる
ボルフラン:息子を奪った女が憎い その女を許すことができない
ペリーヌ(おじいさまの心をとくのが私の役目だわ
●村人の気持ち
ボスニヤからの知らせが届き、エドモンはボスニアで旅まわりの写真師をしていたが
まもなく病死したと知り、悲しみに暮れるボルフラン
エドモンの葬式が村の教会で行われるが、主だった少人数しか出席しなかった
ベロンム先生:日頃、村の人たちの面倒をみなかったからむりはない
ペリーヌは祖父の欠点を直してあげたいと願う
マロクール村で火事があり、火傷をした3人の子どもが亡くなった
ペリーヌ:
もしあなたがお葬式においでになれば
お母さんたちはどんなに喜ぶかしれません
子どもを亡くした親の悲しみはみな同じです
ボルフランは葬儀の費用を全額だし、葬儀に出席すると決める
ボルフラン:
わしは事業にばかり気をとられていた
人の上に立つ者がそれではいけない
人を愛さなければ、人にも愛されない
母親が働きに出た後、子どもを預ける託児所をつくらなかったのも失態だ
託児所の責任者としてベロンムを任せる
それらがすべてオーレリの提案と知られると、村人みんなが褒める
その後、下宿、食堂も新しく建て直される
タルウェルと2人の甥は、エドモンの死後、財産をもらうつもりだったため
ボルフランの公共事業に反対する
●かわいい孫
その後も病院、遊園地、図書館なども建てられる
ボルフランは穏やかで親しみのあるおじいさんに変わる
ボルフラン:わしは初めて生きた金の使い道が分かった
ファブリが調査から戻り報告する
パリに入って、母親が病死し、令嬢はマロクール村に来て
オーレリと名乗ってボルフランの秘書をしている
とうとう2人は祖父と孫として再会の喜びを交わす
祖父はすでにペリーヌの母を許していた
パリから有名な眼科医が来て、手術を受け、ペリーヌの姿を初めて見て感激する
タルウェルは工場でケガをし、2人の甥は分工場に転任となる
ボルフランはパリカレを取り戻して、立派な馬車をひかせる
●誕生パーティー
ボルフランの誕生日を祝って、ほうぼうの工場から何千人も集まりパーティーが催される
ペリーヌはロザリーを見かけて、部屋に遊びに来てと手紙を出す
■解説
エクトル・マロ
1830年 フランス生まれ
本作は、『家なき子』と並ぶ代表作
愛の勝利、愛こそすべてという考えを広く訴えている
同時期、ユーゴーの『レ・ミゼラブル』、デューマ『椿姫』などが書かれ
一般の読者から「暗い」「難しすぎる」と言われ
「作者と読者が一体となって喜んだり、悲しんだりする家庭小説を書こう」とした
イギリスではフランスの小説は露骨すぎると
子どもには読ませたがらない傾向があったが
本作は広く好まれている
時代の隔たり、国の違いを忘れ、夢中で読めるのは
人間のありかたがいつの世も変わらないから
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
貧しく、優しい少女が、金持ちの祖父を訪ねて、孫として認められるまでの物語
日本では『ペリーヌ物語』としてアニメになったのかな?
【内容抜粋メモ】
登場人物
エドモン 父 病死
母 病死
ペリーヌ
ボルフラン・パンダボンヌ 祖父
テオドル パンダボンヌの兄の息子
カジミル パンダボンヌの妹の息子
工場長
ロザリー 両親を亡くした少女
●旅路の親子
ロバのパリカレがひくオンボロ馬車と歩く少女ペリーヌ
中には病身の母が寝ている
野原の持ち主の片腕のおじいさんに9スー払ってひと晩過ごす
父はフランスの田舎町の立派な家の一人息子だったが
父と衝突して家を出て、インドで出会った女性と結婚してペリーヌが産まれた
旅周りの写真師となり、ほうぼう周っていたが、半年ほど前に病死
母も病気になり、夫の生まれ故郷が見たいとパリに来た
母を医者にみせるため、馬車と写真機をおじいさんに売るとたったの15フラン
医者は今すぐ入院が必要だというが、そんな余裕がないためクスリをもらう
卵とミルクとパンを買うと、あっという間に金はなくなる
馬市でパリカレを売ろうとすると嫌がって動かない
そこに1人で商売をしているラ・ルークリが通りかかり
荷車をひく用に30フランで買う
●マロクールへ
夜、母が高熱を出し、マロクールにパンダボンヌという祖父の家があるから訪ねて
結婚証明書を見せるよう遺言をのこす
母:
正しい心で、正しいことをして
いつも神さまに祈っていれば悪いようにはなさらないものです
見える! 天国の門が お母さんは行くわ
おじいさんらは小さなお葬式を出し、いっしょに歌をうたったり
あめ屋をやろうと親切に声をかけてくれるが
1人で祖父を訪ねていこうと決心するペリーヌ
パン屋でパンを買おうとして、店のおばさんに5フラン銀貨がニセモノだと難癖をつけられ
おかみさん:返したら、またどこかで使うつもりだろう? とそのままとられてしまう!
ペリーヌはおじいさんからもらった銅貨、ハンカチ、母の形見の指輪だけ持って
汽車にも乗らず歩いてマロクールを目指す
少女を使って豆を収穫している所で雇ってもらおうにも断られ
倒れている所にパリカレが来て、ラ・ルークリと再会
事情を話すと、クレイユという町までくず屋の手伝いをして
アミアンまで百姓の馬車に乗せてもらい、汽車に乗り、ビッキニィに着く
●少女ロザリー
年恰好の同じ少女ロザリーが重いかごを持ってマロクールに帰るところだと聞いて
運ぶのを手伝う代わりに案内してもらう
ロザリーも両親が亡く、パンダボンヌの工場で働いていると聞いて驚く
ペリーヌはオーレリと名前を変えて、しばらくその工場で働こうと思いつく
祖父は1人で宮殿のようなお屋敷に住み
2人の甥は仕事を手伝っているが仲が悪い
工場の給料は1日10スー
ロザリーのいる下宿の部屋代は1週間28スー
2階はいい部屋で、建築技師のファブリ、事務長モンブロ、渉外係バンディらが住む
●マロクール村
ロザリーの祖母はペリーヌの父エドモンの乳母をしていたため
パンダボンヌから優しくされている
パンダボンヌは気性が激しく、目がほとんど見えない
手術をすれば治ると言われているが、体が弱くてそのままになっている
下宿に行くと狭い一室に6つもベッドがあり、むかつくような臭いがする
工場で働いている3人の少女が工場長タルウェルの悪口を言って、眠れないペリーヌ
弱い者いじめをする工場長タルウェルも
パンダボンヌの兄の息子テオドル、妹の息子カジミルも
みな工場を乗っ取ろうと画策している
●おつとめの日
工場の汽笛が響くと、みんな工場に働きに行く
ペリーヌはトロッコ係の女子工員となって働く
義足のオノオじいさんが仕事を教えてくれる
糸をつむいでいたロザリーは、機械に手を挟んで、指を2本つぶす怪我をする/汗×5000
タルウェルは赤チンをつけて仕事に戻れと言うが
ボルフランは帰宅して養生するよう言う
おじいさんは本当は優しい人なんだと思うペリーヌ
●浮き島の部屋
少し離れた所にある小屋で寝泊まりしようと思うペリーヌ
掃除をして、シダーのベッドに寝て、パンと水だけの食事をする
靴がボロボロで痛いため、沼地でイグサをとり、編んで即席のクツをつくると
工場の少女たちから褒められる
これからもいろいろと工夫しようと思う
肌着も1枚しかないため、安いキャラコを買ってきて
ハサミの代わりにナイフで切り、肌着もつくる
がらくたの中から空き缶を拾い、鍋とスプーンをつくり
野原で食べられる野草をつんでスープをつくる
近くでバンという鳥の卵を見つけ、川で魚を釣るためのつり糸もつくる/驚
ロザリーに話すと、とても羨ましがるので、誰にも言わない約束で招き
石を集めたかまどで料理して、大きな葉のお皿に盛って、もてなす
バンディが腸チフスにかかり、ファブリが出張でいないため
ドイツ語は話せても、英語が分からないモンブロさんが困っていると話すロザリー
なんでも手伝うとうけあうペリーヌ
●小さい通訳
工場長からパンダボンヌのいるサンビボアへ行くよう言われて驚くペリーヌ
英国人技師が1週間早く着いて、機械が重すぎると訴えているのを訳してあげると
パンダボンヌは満足し、ファブリが戻るまで通訳をしてくれと任せる
翌日からペリーヌは快適な部屋をあてがわれ、立派に通訳を務める
パンダボンヌはペリーヌに英語の新聞の商業欄も訳させ
カルカッタ通信のダッカのページも読む
それは母の生まれ故郷で、ペリーヌが産まれた土地
パンダボンヌ:あの子の声をどこかで聞いたことがある気がするが思い出せない
気になったパンダボンヌはペリーヌの両親や、パリからここまで歩いてきた苦労話を聞く
パンダボンヌ:
お前はたった1人でよくそんなツライ旅を辛抱したね
わしはそういう意志の強い人間が好きなのだ
一度、親戚に手紙を出したらどうかね
一人は本当に寂しいものだよ
ファブリが帰り、通訳の仕事は終わる
浮島の近くで作物のとりいれが始まり、どうしようと迷っていると
パンダボンヌ:
わしはすっかりお前が気にいった
これからもずっと秘書をしてもらいたい
給料ははじめ月90フラン よくやれば多くしてあげるよ
小切手をもらい、服、帽子、下着、靴もすっかり買い換える
下宿の2階を借りることにして、部屋代は月12フラン
食事は50フランかかるが十分まかなえる
ロザリーが工場の仕事を教えてくれたお陰だと感謝する
●秘密の手紙
ボルフランはダッカのフイールズ神父に息子の居所を調べさせていて返事がきたため
ペリーヌに訳すよう言いつける
テオドルもタルウェルも手紙の内容が気になって見せろと言うが断わる
エドモンは教養高い美しい女性と結婚
妻の父は有名な貿易商で、4年間、実家で暮らしたが
両親が亡くなったため、女の子とともにダルージに移った、という内容
ボルフランは、ペリーヌを家に置こうと考える
ボルフラン:
息子と意見が合わず、他国で結婚して帰ってこない
一時は腹を立てたが、近ごろになって恋しくなった
わしの財産や工場を狙ってるやつらがうようよしている
わしの味方はオーレリだけだ
お前が他人でない気がする
屋敷の図書室で父の若い頃の写真を見つけて泣いていると
ボルフランは、ペリーヌが死んだ両親を思い出したのだと思って同情する
それからは御殿のような家に住み、小間使いに朝夕かしづかれ
美味しいご馳走を食べ、祖父の用事がない時は自由にしたり
家庭教師ベロンム先生をつけてもらい、勉強もはかどる
ボルフラン:息子を奪った女が憎い その女を許すことができない
ペリーヌ(おじいさまの心をとくのが私の役目だわ
●村人の気持ち
ボスニヤからの知らせが届き、エドモンはボスニアで旅まわりの写真師をしていたが
まもなく病死したと知り、悲しみに暮れるボルフラン
エドモンの葬式が村の教会で行われるが、主だった少人数しか出席しなかった
ベロンム先生:日頃、村の人たちの面倒をみなかったからむりはない
ペリーヌは祖父の欠点を直してあげたいと願う
マロクール村で火事があり、火傷をした3人の子どもが亡くなった
ペリーヌ:
もしあなたがお葬式においでになれば
お母さんたちはどんなに喜ぶかしれません
子どもを亡くした親の悲しみはみな同じです
ボルフランは葬儀の費用を全額だし、葬儀に出席すると決める
ボルフラン:
わしは事業にばかり気をとられていた
人の上に立つ者がそれではいけない
人を愛さなければ、人にも愛されない
母親が働きに出た後、子どもを預ける託児所をつくらなかったのも失態だ
託児所の責任者としてベロンムを任せる
それらがすべてオーレリの提案と知られると、村人みんなが褒める
その後、下宿、食堂も新しく建て直される
タルウェルと2人の甥は、エドモンの死後、財産をもらうつもりだったため
ボルフランの公共事業に反対する
●かわいい孫
その後も病院、遊園地、図書館なども建てられる
ボルフランは穏やかで親しみのあるおじいさんに変わる
ボルフラン:わしは初めて生きた金の使い道が分かった
ファブリが調査から戻り報告する
パリに入って、母親が病死し、令嬢はマロクール村に来て
オーレリと名乗ってボルフランの秘書をしている
とうとう2人は祖父と孫として再会の喜びを交わす
祖父はすでにペリーヌの母を許していた
パリから有名な眼科医が来て、手術を受け、ペリーヌの姿を初めて見て感激する
タルウェルは工場でケガをし、2人の甥は分工場に転任となる
ボルフランはパリカレを取り戻して、立派な馬車をひかせる
●誕生パーティー
ボルフランの誕生日を祝って、ほうぼうの工場から何千人も集まりパーティーが催される
ペリーヌはロザリーを見かけて、部屋に遊びに来てと手紙を出す
■解説
エクトル・マロ
1830年 フランス生まれ
本作は、『家なき子』と並ぶ代表作
愛の勝利、愛こそすべてという考えを広く訴えている
同時期、ユーゴーの『レ・ミゼラブル』、デューマ『椿姫』などが書かれ
一般の読者から「暗い」「難しすぎる」と言われ
「作者と読者が一体となって喜んだり、悲しんだりする家庭小説を書こう」とした
イギリスではフランスの小説は露骨すぎると
子どもには読ませたがらない傾向があったが
本作は広く好まれている
時代の隔たり、国の違いを忘れ、夢中で読めるのは
人間のありかたがいつの世も変わらないから