1992年初版 酒井邦秀/訳 赤星亮衛/挿絵
※「作家別」カテゴリー内に追加しました
『宝さがしの子どもたち』の続編で、またバスタブル家の子どもたちに会えるのは嬉しい
オズワルドが書いているせいか、時々意味不明な言葉が出てくるのも含めて
心底、少年になりきって書いている作者のネズビットは素晴らしいな
【内容抜粋メモ】
登場人物
バスタブル家
父 ディック
母 亡
長女 ドラ
長男 オズワルド
ディッキー
アリス 双子 10歳
ノエル 双子 10歳 詩人
ホレス・オクテイビアス 通称H・O 8歳
女中エライザ
愛犬ピンチャー
アルバートのおじさん 売れない小説家
ペティグルー夫人 掘割屋敷の家政婦
●ジャングル
前作の事件があって、インド帰りのおじさんと一緒に
ブラックヒースに建つ赤い屋敷に住んでいる子どもたち
でも、すぐに贅沢も当たり前になって、飽きてきて
それ以上の刺激が欲しくなる
子どもたちは学校に通うようになり、夏休みにフォークス氏の子ども
デニーとデイジーを招待すると
黒づくめのお堅いおばさんがついて来て
2人の子どもは「ええ」「いいえ」くらいしか言わない退屈な子だと分かる
それでも、せっかくの休みを台無しにしないためにも
2人を加えて楽しい遊びをしようと考えあぐねて
『ジャングル・ブック』のようなごっこ遊びを思いつく
インドのおじさんのコレクションからリアルな剥製を持ってきて並べ
ホースから水を出して見事な滝をつくる
デイジーは2頭のトラを見て失神してしまう
子どもたちは罰として、3日間はパンと水だけで過ごし
アルバートのおじさんが本を書いている田舎の掘割屋敷に行って
よい子になるよう言われる
●いつかよい子連盟
田舎は自然の遊び場がたくさんあって、子どもたちは大喜び
早速、緊急時しか鳴らさない鐘を鳴らして人々を驚かせる
アリスとドラは、よい子になるための新しい協会をつくって、みんな会員になろうと提案
名前を「いつかよい子連盟」として、会長はオズワルドに決まる
「金行録」に善い行いを記録することにして
自己申請でなく、他の子が善行をした時のみカウントされる
ディッキーとオズワルドは心の中では反対だが、姉の意見をたてる
早速、開かない窓を直すが、窓にかけておいたミルクわかしが堀に落ちて怒られる
貴重な財宝が底に沈んでいることにして、ベッドのシーツで堀の底をさらい
いかだを組んでミルクわかしを取った時、バランスを崩して転倒
ドラは空き缶を踏んで、足を何か所も切ってしまい
その後長いこと寝ていなきゃならなくなった/汗
●なぞの塔
ドラとデイジーは仲良くなって、『子ども天使』などの退屈な本に夢中になり
次第に下の子たちと遊ばなくなる
遠足に出て、遠くに見える塔に行こうとして馬車に乗せてもらう
塔はラブナル氏のお墓で、仮死状態だったから生き返る噂がある
途中で、裸足の旅行者がいて、6ペンスをあげると
オズワルドの財布を見て目が光る
塔の上は見晴らしを楽しんだ後、ドアがふいに閉まって、ラブナル氏が蘇ったと思って慌てる
さっきの男が錠をかけて、みんなのお金を全部落とせと脅す
オズワルドの金貨がニセモノと分かり、悪態をついて森へ去る
子どもたちは白旗を振り、荷馬車で家まで送ってもらう
●用水路
双子のアリスとノエルの誕生日を祝う
ノエルがもらったプレゼントの中にクリケットボールがあり
オズワルドはココナツと鉛筆と交換したが
ノエルはココナツを食べてしまった後に返してくれと頼む
2人はケンカして、オズワルドは天井裏にステキな隠れ場所を見つけて
本を読み、ボールを置いて、ノエルと仲直りしてお茶を飲む
翌日は、つり大会があり、お茶屋のおばさんは大忙し
子どもたちも見に行くと、友だちの船頭さんが寝ていて、はしけが置いてある
子どもたちは“よいこと”をしようと思い、水門を開けて
水が滝のように流れるのを見て満足する
その夜、嵐になり、屋根から水が流れてベッドが水浸しになる
みんなを起こして、水をかいだして夜が明ける
原因は雨どいになにか詰まったせいだと言うのを聞いて
オズワルドはクリケットボールだと分かったが言い出せない
しかも、水門を開けたことで、つり大会が台無しになり
みんな帰ってしまって、お茶屋が用意したご馳走がムダになり
はしけはひっくり返って、荷の石炭が川に落ちたため弁償しなくてはならなくなった
アリス:
ここに来てからずっと、よい子になろうとしたのに全部ダメだったわ
みんな死んじゃったほうがいいのよ
アルバートのおじさん:
私は君たちを見てきたが、一度でもウソをついたことはない
これからもよい子になれるよ
オズワルドは黙っていられず、ボールのことを告白する
もし君が今までに一度も悪いことをしたことがないのなら
それは君の想像力が貧困だからだ
●ビーバーごっこ
子どもたちはナイル川の源流(または北極点)を探す探検に出る
粘土で皿をつくって貧しい人にプレゼントしようと思いつき
日光で乾かして、たき火に入れて焼く
橋につづく柵に燃え移って、慌ててシャツを濡らして火を消し
農場持ち主のお百姓さんに謝りに行く
それでもへこたれず、小川でビーバーごっこをして
何時間もかけてダムをつくり、トンネルを抜ける
疲れたデニーは池で水浴びをして、たくさんのヒルに吸われる/汗
ダムをせきとめたために、刈り入れた麦をダメにして、橋を焼いたことも怒られる
●カンタベリーまいり
雨の日に退屈した子どもたち
ドラに“いつかよい子連盟”はどうなったと問い詰められて
アリス:悪いことがあんなに面白くなけりゃいいのにって思うわ(w
ドラは、昔、善男善女になるために巡礼した“カンタベリーまいり”をしようと提案
デニー:靴の中に豆を入れたって詩で読んだことがあります
子どもたちは巡礼者の衣装をこしらえて家を出る
長く歩いていると、突然泣き出すデニー
他の子よりよい子になりたいと思い、靴にたくさん豆を入れていたのがバレる
馬車に乗った女性が通りかかって、カンタベリーまで乗せて行き
いろんな観光地を周って説明してくれるが
実はそこはヘーゼルブリッジという町
家に送ってもらうと、アルバートのおじさんが慌てて自転車に乗って馬車を追うが間に合わなかった
子どもたちは、彼女はおじさんの行方知れずだった妹で
財産を分けてもらいたかった、などと想像する
ドラ:おじさんはあの人が好きなのかもしれない
あらゆる楽しみを与えて、男の子同様に相手をしてやっても
ミルクが酸っぱくなるように、女の子もある日急におかしくなるのです
おじさん:長い間行方知れずだったおばあさんさ ずっと昔、インドで知っていたんだ
●龍の歯
仲良かったブタが死んで、菜園に埋めていた時、龍の骨を見つける
ギリシアの歴史で、龍の歯を土に植えたら、武装した兵士が出てきたという話がある
H・Oとノエルは、龍の歯を十町原っぱにまいたら、野営中の兵士一隊分出てきたと慌てる
半信半疑で見に行くと、本当に敵の野営隊がいる
子どもたちは、愛国心から、敵兵が迷うように
道の矢印を逆向きにして、イギリス兵にしらせる
大佐と一緒に原っぱに行くと、敵兵に降伏を要求し
オズワルドを斥候長として褒め讃え、お茶をともにし
陸軍省への報告書に名前を書くと言って
得意になったオズワルドは5シリングをもらう
アルバートのおじさんの話では、野外演習をしていた義勇軍で
自分がとんでもないマヌケなことをしていたことに気づいたオズワルド
●アルバートのおじさんのおばあさん
夏休みはあと少し
オズワルドとディッキーは、行方知れずのおばあさんを探そうと提案
ヘイゼルブリッジの馬車を借りた食料品屋さんに
親切な女性の名前アシュレーと住所“杉の木荘”を聞きだし
そのまま訪ねると、一緒に連れてきたブルドッグのマーサの足が腫れて
抱いていかなければならなくなる
アシュレーは知らない紳士と座って、親し気にしている
いつも“天使も二の足を踏む所へ突っ込んで行く”H・Oが
「アルバートのおじさんの行方知れずのおばあさんですか?」などと直球に聞く(w
2人はインドで婚約したのに、ケンカして別れ別れになっていたことや
紳士は牧師の兄だと明かす
2人はその後、結婚し、子どもたちはブラックヒースの家に帰る
デニーとデイジーはお父さんに、あのお堅いおばさんは嫌いだと言ったと思う
そして、自分たちだけで新しいイタズラを考えて実行したと確信する
心ある読者よ
よい子になるために連盟なんかつくっちゃダメだよ
■解説
イーディス・ネズビット
5人きょうだいの末っ子(あれ、6人じゃなくて?
父はイーディスが4歳の時に亡くなった(3歳では?
その後、母とあちこちを転々とした中で
フランスのブルターニュ地方にあるディナンで過ごしたひと夏が
とてもよい思い出として残り、今作の中に書かれているそう
『若草の祈り』は映画化され、『火の鳥とカーペット』はテレビシリーズとして大評判となった
イーディスの書く子どもたちは、当時の裕福な家庭の子で
男の子の目を通して子どもたちを生き生きと描いた
※「作家別」カテゴリー内に追加しました
『宝さがしの子どもたち』の続編で、またバスタブル家の子どもたちに会えるのは嬉しい
オズワルドが書いているせいか、時々意味不明な言葉が出てくるのも含めて
心底、少年になりきって書いている作者のネズビットは素晴らしいな
【内容抜粋メモ】
登場人物
バスタブル家
父 ディック
母 亡
長女 ドラ
長男 オズワルド
ディッキー
アリス 双子 10歳
ノエル 双子 10歳 詩人
ホレス・オクテイビアス 通称H・O 8歳
女中エライザ
愛犬ピンチャー
アルバートのおじさん 売れない小説家
ペティグルー夫人 掘割屋敷の家政婦
●ジャングル
前作の事件があって、インド帰りのおじさんと一緒に
ブラックヒースに建つ赤い屋敷に住んでいる子どもたち
でも、すぐに贅沢も当たり前になって、飽きてきて
それ以上の刺激が欲しくなる
子どもたちは学校に通うようになり、夏休みにフォークス氏の子ども
デニーとデイジーを招待すると
黒づくめのお堅いおばさんがついて来て
2人の子どもは「ええ」「いいえ」くらいしか言わない退屈な子だと分かる
それでも、せっかくの休みを台無しにしないためにも
2人を加えて楽しい遊びをしようと考えあぐねて
『ジャングル・ブック』のようなごっこ遊びを思いつく
インドのおじさんのコレクションからリアルな剥製を持ってきて並べ
ホースから水を出して見事な滝をつくる
デイジーは2頭のトラを見て失神してしまう
子どもたちは罰として、3日間はパンと水だけで過ごし
アルバートのおじさんが本を書いている田舎の掘割屋敷に行って
よい子になるよう言われる
●いつかよい子連盟
田舎は自然の遊び場がたくさんあって、子どもたちは大喜び
早速、緊急時しか鳴らさない鐘を鳴らして人々を驚かせる
アリスとドラは、よい子になるための新しい協会をつくって、みんな会員になろうと提案
名前を「いつかよい子連盟」として、会長はオズワルドに決まる
「金行録」に善い行いを記録することにして
自己申請でなく、他の子が善行をした時のみカウントされる
ディッキーとオズワルドは心の中では反対だが、姉の意見をたてる
早速、開かない窓を直すが、窓にかけておいたミルクわかしが堀に落ちて怒られる
貴重な財宝が底に沈んでいることにして、ベッドのシーツで堀の底をさらい
いかだを組んでミルクわかしを取った時、バランスを崩して転倒
ドラは空き缶を踏んで、足を何か所も切ってしまい
その後長いこと寝ていなきゃならなくなった/汗
●なぞの塔
ドラとデイジーは仲良くなって、『子ども天使』などの退屈な本に夢中になり
次第に下の子たちと遊ばなくなる
遠足に出て、遠くに見える塔に行こうとして馬車に乗せてもらう
塔はラブナル氏のお墓で、仮死状態だったから生き返る噂がある
途中で、裸足の旅行者がいて、6ペンスをあげると
オズワルドの財布を見て目が光る
塔の上は見晴らしを楽しんだ後、ドアがふいに閉まって、ラブナル氏が蘇ったと思って慌てる
さっきの男が錠をかけて、みんなのお金を全部落とせと脅す
オズワルドの金貨がニセモノと分かり、悪態をついて森へ去る
子どもたちは白旗を振り、荷馬車で家まで送ってもらう
●用水路
双子のアリスとノエルの誕生日を祝う
ノエルがもらったプレゼントの中にクリケットボールがあり
オズワルドはココナツと鉛筆と交換したが
ノエルはココナツを食べてしまった後に返してくれと頼む
2人はケンカして、オズワルドは天井裏にステキな隠れ場所を見つけて
本を読み、ボールを置いて、ノエルと仲直りしてお茶を飲む
翌日は、つり大会があり、お茶屋のおばさんは大忙し
子どもたちも見に行くと、友だちの船頭さんが寝ていて、はしけが置いてある
子どもたちは“よいこと”をしようと思い、水門を開けて
水が滝のように流れるのを見て満足する
その夜、嵐になり、屋根から水が流れてベッドが水浸しになる
みんなを起こして、水をかいだして夜が明ける
原因は雨どいになにか詰まったせいだと言うのを聞いて
オズワルドはクリケットボールだと分かったが言い出せない
しかも、水門を開けたことで、つり大会が台無しになり
みんな帰ってしまって、お茶屋が用意したご馳走がムダになり
はしけはひっくり返って、荷の石炭が川に落ちたため弁償しなくてはならなくなった
アリス:
ここに来てからずっと、よい子になろうとしたのに全部ダメだったわ
みんな死んじゃったほうがいいのよ
アルバートのおじさん:
私は君たちを見てきたが、一度でもウソをついたことはない
これからもよい子になれるよ
オズワルドは黙っていられず、ボールのことを告白する
もし君が今までに一度も悪いことをしたことがないのなら
それは君の想像力が貧困だからだ
●ビーバーごっこ
子どもたちはナイル川の源流(または北極点)を探す探検に出る
粘土で皿をつくって貧しい人にプレゼントしようと思いつき
日光で乾かして、たき火に入れて焼く
橋につづく柵に燃え移って、慌ててシャツを濡らして火を消し
農場持ち主のお百姓さんに謝りに行く
それでもへこたれず、小川でビーバーごっこをして
何時間もかけてダムをつくり、トンネルを抜ける
疲れたデニーは池で水浴びをして、たくさんのヒルに吸われる/汗
ダムをせきとめたために、刈り入れた麦をダメにして、橋を焼いたことも怒られる
●カンタベリーまいり
雨の日に退屈した子どもたち
ドラに“いつかよい子連盟”はどうなったと問い詰められて
アリス:悪いことがあんなに面白くなけりゃいいのにって思うわ(w
ドラは、昔、善男善女になるために巡礼した“カンタベリーまいり”をしようと提案
デニー:靴の中に豆を入れたって詩で読んだことがあります
子どもたちは巡礼者の衣装をこしらえて家を出る
長く歩いていると、突然泣き出すデニー
他の子よりよい子になりたいと思い、靴にたくさん豆を入れていたのがバレる
馬車に乗った女性が通りかかって、カンタベリーまで乗せて行き
いろんな観光地を周って説明してくれるが
実はそこはヘーゼルブリッジという町
家に送ってもらうと、アルバートのおじさんが慌てて自転車に乗って馬車を追うが間に合わなかった
子どもたちは、彼女はおじさんの行方知れずだった妹で
財産を分けてもらいたかった、などと想像する
ドラ:おじさんはあの人が好きなのかもしれない
あらゆる楽しみを与えて、男の子同様に相手をしてやっても
ミルクが酸っぱくなるように、女の子もある日急におかしくなるのです
おじさん:長い間行方知れずだったおばあさんさ ずっと昔、インドで知っていたんだ
●龍の歯
仲良かったブタが死んで、菜園に埋めていた時、龍の骨を見つける
ギリシアの歴史で、龍の歯を土に植えたら、武装した兵士が出てきたという話がある
H・Oとノエルは、龍の歯を十町原っぱにまいたら、野営中の兵士一隊分出てきたと慌てる
半信半疑で見に行くと、本当に敵の野営隊がいる
子どもたちは、愛国心から、敵兵が迷うように
道の矢印を逆向きにして、イギリス兵にしらせる
大佐と一緒に原っぱに行くと、敵兵に降伏を要求し
オズワルドを斥候長として褒め讃え、お茶をともにし
陸軍省への報告書に名前を書くと言って
得意になったオズワルドは5シリングをもらう
アルバートのおじさんの話では、野外演習をしていた義勇軍で
自分がとんでもないマヌケなことをしていたことに気づいたオズワルド
●アルバートのおじさんのおばあさん
夏休みはあと少し
オズワルドとディッキーは、行方知れずのおばあさんを探そうと提案
ヘイゼルブリッジの馬車を借りた食料品屋さんに
親切な女性の名前アシュレーと住所“杉の木荘”を聞きだし
そのまま訪ねると、一緒に連れてきたブルドッグのマーサの足が腫れて
抱いていかなければならなくなる
アシュレーは知らない紳士と座って、親し気にしている
いつも“天使も二の足を踏む所へ突っ込んで行く”H・Oが
「アルバートのおじさんの行方知れずのおばあさんですか?」などと直球に聞く(w
2人はインドで婚約したのに、ケンカして別れ別れになっていたことや
紳士は牧師の兄だと明かす
2人はその後、結婚し、子どもたちはブラックヒースの家に帰る
デニーとデイジーはお父さんに、あのお堅いおばさんは嫌いだと言ったと思う
そして、自分たちだけで新しいイタズラを考えて実行したと確信する
心ある読者よ
よい子になるために連盟なんかつくっちゃダメだよ
■解説
イーディス・ネズビット
5人きょうだいの末っ子(あれ、6人じゃなくて?
父はイーディスが4歳の時に亡くなった(3歳では?
その後、母とあちこちを転々とした中で
フランスのブルターニュ地方にあるディナンで過ごしたひと夏が
とてもよい思い出として残り、今作の中に書かれているそう
『若草の祈り』は映画化され、『火の鳥とカーペット』はテレビシリーズとして大評判となった
イーディスの書く子どもたちは、当時の裕福な家庭の子で
男の子の目を通して子どもたちを生き生きと描いた