1991年初版 石井桃子/訳 ハロルド・R・ミラー/画
※「作家別」カテゴリー内に追加しました
ひさびさ本を読んで笑った
ネズビットの生涯にも興味を持ったし
その他の作品も全部読んでみたい
きっとハズレはないだろう
比ゆ的な意味のタイトルかと思いきや、ひさびさ直球のファンタジーで
人間の願いを1日1つ叶えてくれるという妖精のけっこうブキミな姿が
私の好きなエドワード・ゴーリー系統で気に入った
『不思議の国のアリス』とその挿絵が切っても切れない関係のように
今作と挿絵がピッタリで上品な線画も気に入った
夢が叶うと言っても、日が暮れるまでの間で
どっさり出てきたお金も時間が経つと消えてしまうし
妖精が生きていた頃の古銭となれば、なおのこと使えない
日が暮れるまでは、リアルだから、戦争シーンなどはハラハラして
眉村卓さんの『とらえられたスクールバス』を思い出した
【内容抜粋メモ】
登場人物
長男 ロバート
長女 アンシア
次男 シリル
次女 ジェイン
末子 ぼうや ヒラリー
砂の妖精 サミアド
子どもの世話役 マーサ
台所係 ばあや
●花のように美しく
一家はロンドンから田舎の一軒家に越してきた
都会の子どもたちが怒りっぽくて、言うことを聞かないのは
周りに自由に遊ぶ自然がないため
少し探検すると、チョーク堀場や砂利堀場がある
昔は海だったと聞いて、シャベルで砂を掘り、城をつくる
砂の中から茶色の毛皮に覆われた生き物が出てきて
「ほっといてくれ」と言ったので、ビックリ
長い角の先に目がついてて、砂の妖精サミアドだと名乗る
何千年も前からいて、人間にメガテリューム(恐竜?)などの肉を与える望みを叶えてあげていた
あたりが海だった頃、ヒトが城をつくり、その周りに堀をつけるから
砂の妖精は濡れると同時に風邪をひいて死んでしまい、数が減った
左上くちびるの12本目のヒゲの先が濡れたことがあって
今でも痛むと言う
なんでも願いを叶えると聞いて、アンシアは花のようにキレイにして!と言うと
サミアドはぷーっとふくらみ、ブランクがあったから1日4人で1つという約束にして
望みを叶えると砂をかいて消えてしまう
みんなクリスマスカードのオシャレな子みたいに別人になって分からなくなる
末子のぼうやだけは数に入らず、アンシアが抱こうとすると人見知りして大泣きするし
子どもの世話役のマーサと台所係のばあやは4人を家に入れようとせずカギをかける
日が暮れて魔法が解けて安心する
●金貨の山
マーサはぼうやを連れてローチェスタ町のいとこに会いに行くのに
おめかしして郵便馬車に乗る
子どもたちは早速サミアドに会い
魔法をねえやたちが気づかないようにして欲しいと頼む
ロバート:数えきれないくらいお金持ちになりたい
砂利堀場のふちまで金貨でいっぱいになるが
普段使うソブリン金貨ではない
ポケットに入るだけ入れて、宿屋兼食堂「青ぶた屋」でジンジャビヤを買おうとすると
ニセ金だと言われて、仕方なくウサギを買うつもりで貯めていたお金を払う
貸し馬車のチェッカー屋の主人に渡すとスペード金貨だと言われる
大型馬車を買うならサラセン人の頭屋だと教わる
お腹が空いて、12個のパンに食いつき、金貨を出すと主人は怒ってお釣りもくれない
馬車屋の主人は、金貨を見ると、どこからか盗んだと思いおまわりを呼ぼうとする
妖精の話をすると、今度は精神病院行きだと話す
そこでマーサと出くわし、魔法が見えないマーサは猛烈な勢いで警官を言い負かす
日暮れとともに金貨は消えて、警部は子どもを連れてきたおまわりを怒鳴りちらす
マーサはゴハン抜きの罰を与える
●かわいい子
いたずらっ子のぼうやは、朝から元気いっぱい
砂利堀場に行くと、サミアドの居場所が分からず
その上、ぼうやの世話に追われて、イライラしたロバートが
ロバート:だれか、この坊主を欲しくてたまらない人が出て来てくれればなあ!
と言った望みを叶えてしまうサミアド
馬車が通りかかり、富豪のチッテンデン卿夫人が「この子をぜひ養子にしたい!」と言い張り
坊やを抱き上げて、そのまま馬車を出してしまう
馬車を追い、屋敷に着いて、夫人が用をしている間
御者とおつきがぼうやをもらいたいと殴り合うw
眠っているぼうやを抱えて森に逃げると、今度はジプシーの男女が寄ってくる
男:なんとこりゃ、オレのさらわれた子だ!(w
きょうだいは、ぼうやはとても人見知りだから、日が暮れるまで面倒をみると言う
日が暮れると魔法が解けるが、子どもを亡くしたアメリアはぼうやのために祈ってくれる
アメリア:
この子が勇敢になりますように
よく考える強い頭と、ひとを愛する強い心と
働く強い手と、遠くまで旅して、無事に家に戻れる強い足を持ちますように
●つばさ
翌日は雨で、みんなで祖母の看病に行っている母宛てに手紙を書こうとして
インクをひっくり返してしまう
次の日はリチャード叔父が来て、町でおもちゃを買ってもらったり
ボートに乗ったりして楽しく過ごす
夏の朝5時に起きたアンシアは、サミアドになぜ魔法が消えた後、石にならないか質問する
サミアド:
こんにちの人間は理想が高くなりすぎた
花のような美しさとか、どうしたら石にできる?
アンシアは空飛ぶ美しい翼が欲しいと願い、みんなの背中に羽が生えて町の上空を飛ぶ
お腹が空いて、プラムをとると、果樹園の持ち主が怒ろうとして天使のような羽を見て仰天
お百姓:わしは今日からより感心な人間になろう
疲れた子どもたちは教会の塔の上にとまり
牧師さんの食料品部屋の窓から肉などの食べ物を拝借し
“飢え死にしそうになった時、食べ物をとるのは盗むとは違う”という手紙と
少額を添えて置き、たらふく食べた後、急に眠くなって寝てしまう
目が覚めた時は日が暮れて、魔法は解け
下におりるドアにはカギがかけられていることに気づく
4人で何度も叫んで助けを呼ぶと、牧師夫婦、下男、料理番はバケモノかと驚き
銃を持って塔の上にいる子どもを見つけるとさらに驚く
牧師さんは長々と説教し、子どもたちが理由を話さないのは
仲間(サミアド)をかばっているためと分かると逆に感心し
ケーキとミルクを出して、馬車で家まで届ける
これがきっかけで猟場の番人はマーサと仲良くなる
“あ、でも、これはまた別のお話になります”(言い方が『はてしない物語』みたい
●お城と敵兵
子どもたちは、家から出てはいけない罰を喰らう
ロバートは30分だけ許可を得て、サミアドに会い
砂利堀場まで来なくても、家で頼み事を聞いてくれたらなあ!と口を滑らしたのを叶えるサミアド
家に戻ろうとすると、そこには大きなお城が建っていて
周りを敵兵に囲まれている
ズボン姿のロバートを異国の密使と誤解して
立派な大将タルボット卿は事情を語れと命令する
ロバート:サミアドという妖術つかいのせいで、あなたたちはここにいるんです
ロバートはサミアドにシリルたちと一緒になりたいと願いを叶えてもらう
シリルが「敵に囲まれた城に住んでみたいなあ」と言ったことが分かる
魔法が見えないマーサとばあやは台所で料理をしていて
ぼうやは見えない子どもイスに座っているため空中に浮いて見えるw
またもやお腹が空いた子どもたちは、見えない食べ物を引き寄せて食べる
ジェイン:これってほんとはゲームなんでしょ?
敵兵の銃や槍などは本物だが、それをあえて伏せるロバートとアンシア
ラッパ手:なんじらに降伏を勧告する
ロバート:するもんか!
ジャキンがはね橋をおろそうとして、ロバートはドアを閉めて兵を掘りに落とす
銃眼から石を落としながら、敵兵がケガをしないか心配するアンシアw
鉛穴に水を流した時、魔法が解ける
マーサ:手洗い水を頭にぶっかけるなんて! 晩御飯なしです!(ww
●大男
願い事が決まるまで遊んでいたところにパン屋の小僧が来て
山賊隊ごっこで「金を出せ!」と言うと、本気で怒って、ロバートとケンカになる
アンシアが泣いて止めに入るも、ロバートにとっては恥でしかない
ロバート:早くあいつよりうんと大きくなりたい!
その願いが叶えられ、3mもの大男になってしまう
ロバートはパン屋の小僧をつまんで持ち上げ、小僧はすっかりぼーっとしてしまう
マーサがお祭りに行くのを聞いて、ロバートを見世物にしてお金がとれると思いつく
見世物小屋の主人ビルと妻は、ロバートを見るなり「いくらなら出す?」と交渉する
ロバートは15シリングと言い、1週間2ポンドの契約を結ぶ
ビルの口上:お目にかけまする大男は、サンフランシスコ皇帝の弟王子!
あっという間に客が列をなし、遠方からもやって来て
握手したり、つねって本物かどうか確かめたりw
紳士:ここの契約が終わったら、わしの所に来るがいい
子どもたちは、日が暮れる前にテントを抜け出す
●おとなになって
サミアド:
わしはもうイヤになってきた
どの子もカボチャほどの知恵もありゃせん
森へ栗拾いに行き、ぼうやがまたいたずらし放題で
シリル:大人になってもらいたいんだよ!
すっかり大人になったぼうや:
僕はちょっとロンドンへ出かけて
クラブで食事しようかと思う(ww
日が暮れてぼうやに戻ったら大変とみんなで止める
自転車のタイヤに穴を開けると、農家でパンクを直している時
女性が通って、彼女のパンクまで直してあげる
女性と一緒に出掛けようとするのを必死で止めるアンシアら
ジェイン:私たち、この子の兄さんと姉さんなんです!
女性は気味悪がって逃げていく
家に戻ると魔法の分からないマーサは青年のぼうやを抱き上げてあやす
●インディアン
シリルは『モヒカン族の最期』を夢中で読んだ後
シリル:イギリスにもアメリカ・インディアンがいればいいのにな!
と言ってしまう
アンシア:もうそこら中にいて、ヒトの頭の皮をはいで歩いているんじゃないかしら!
ぼうやの皮がはがれてはいけないと、母の水さしを割り
マーサにぼうやを連れて町まで買いに行って欲しいと頼む
とうとうインディアンが現れ、子どもたちもインディアン風衣装に変え
休戦の白旗をふり、互いに名乗り合う
サミアドに助けを求めに行こうとして、裏切ったと誤解され
頭の皮をはごうとして、カツラにしていた黒い布をはぎとる
インディアンの酋長が国に帰りたいと願ったために姿が消えて
マーサが帰ってくるなり、猟場の番人ビールと結婚すると言う
●最後のおねがい
母が帰ると手紙が来て、母を喜ばせるものを考える
マーサはビールがチッテンデン卿夫人の宝石がごっそり盗まれた話をする
ジェイン:お母さんが帰ってきたら、宝石が部屋から出てきますように!
それだと母が宝石どろぼうになってしまうと青くなる子どもたち
母が帰宅し、部屋に入ると、指輪や真珠のネックレスなどがわんさか出てきて
巡査を呼びに出かけてしまう
アンシアはサミアドに会い、今日のお願いを聞いてくれれば
もう二度とお願いはしないと約束する
サミアド:
お前たちがわしのことを誰にも話さないよう約束してくれ
でないと、大人が知って、中学校を義務教育にするとか退屈なものを欲しがるようになる
(義務教育は良いことでは?
母は事件のことを忘れ、万事うまくおさまる
子どもたちは、その後ふたたびサミアドに会ったけれども
それはまた別のお話
■あとがき
イーディス・ネズビット
1858年 ロンドン生まれ
父は有名な農芸化学者で、イーディスが3歳の時に亡くなった
姉メアリが健康を害したため、南海岸に引っ越し
ヨーロッパ大陸を放浪するが、イーディス9歳の時、姉が亡くなり、イギリスに戻る
その頃のことを『わたしの学校時代』に書く
素晴らしい詩人になるのが夢
ヒューバート・ブラントと結婚し、5人の母となる
ブラント氏と他の女性の間の子どもも一緒に育てる
社会改良運動「フェビアン協会」の中心的会員
劇作家ジョージ・バーナード・ショウ、作家のH.G.ウェルズなどの会員で友人だった!
突然子どもの本を書き始めたのは40歳の時
自分の中にあるいたずら好き、冒険心、好奇心を発揮し
『宝さがしの子どもたち』はたちまちベストセラーとなる
バスタブル家の子どもたちの話
『よい子連盟』
『新・宝さがし』
サミアドの物語は本作につづいて
『不死鳥とじゅうたん』
『お守り物語』の3冊
その他
『アーデンの家』と続編『ハーディングの幸運』
『魔法の城』
『鉄道の子どもたち』
1899年「ウェル・ハウス」という大きな屋敷を買い、23年住む
ブラントが長い病気の末に盲目になって亡くなり、第一次世界大戦が始まる
前からの友人で造船技師トマス・テリー・タッカーと再婚
1924年 65歳で死去
挿絵を描いたミラーは、イーディスのお気に入りの挿絵画家
※「作家別」カテゴリー内に追加しました
ひさびさ本を読んで笑った
ネズビットの生涯にも興味を持ったし
その他の作品も全部読んでみたい
きっとハズレはないだろう
比ゆ的な意味のタイトルかと思いきや、ひさびさ直球のファンタジーで
人間の願いを1日1つ叶えてくれるという妖精のけっこうブキミな姿が
私の好きなエドワード・ゴーリー系統で気に入った
『不思議の国のアリス』とその挿絵が切っても切れない関係のように
今作と挿絵がピッタリで上品な線画も気に入った
夢が叶うと言っても、日が暮れるまでの間で
どっさり出てきたお金も時間が経つと消えてしまうし
妖精が生きていた頃の古銭となれば、なおのこと使えない
日が暮れるまでは、リアルだから、戦争シーンなどはハラハラして
眉村卓さんの『とらえられたスクールバス』を思い出した
【内容抜粋メモ】
登場人物
長男 ロバート
長女 アンシア
次男 シリル
次女 ジェイン
末子 ぼうや ヒラリー
砂の妖精 サミアド
子どもの世話役 マーサ
台所係 ばあや
●花のように美しく
一家はロンドンから田舎の一軒家に越してきた
都会の子どもたちが怒りっぽくて、言うことを聞かないのは
周りに自由に遊ぶ自然がないため
少し探検すると、チョーク堀場や砂利堀場がある
昔は海だったと聞いて、シャベルで砂を掘り、城をつくる
砂の中から茶色の毛皮に覆われた生き物が出てきて
「ほっといてくれ」と言ったので、ビックリ
長い角の先に目がついてて、砂の妖精サミアドだと名乗る
何千年も前からいて、人間にメガテリューム(恐竜?)などの肉を与える望みを叶えてあげていた
あたりが海だった頃、ヒトが城をつくり、その周りに堀をつけるから
砂の妖精は濡れると同時に風邪をひいて死んでしまい、数が減った
左上くちびるの12本目のヒゲの先が濡れたことがあって
今でも痛むと言う
なんでも願いを叶えると聞いて、アンシアは花のようにキレイにして!と言うと
サミアドはぷーっとふくらみ、ブランクがあったから1日4人で1つという約束にして
望みを叶えると砂をかいて消えてしまう
みんなクリスマスカードのオシャレな子みたいに別人になって分からなくなる
末子のぼうやだけは数に入らず、アンシアが抱こうとすると人見知りして大泣きするし
子どもの世話役のマーサと台所係のばあやは4人を家に入れようとせずカギをかける
日が暮れて魔法が解けて安心する
●金貨の山
マーサはぼうやを連れてローチェスタ町のいとこに会いに行くのに
おめかしして郵便馬車に乗る
子どもたちは早速サミアドに会い
魔法をねえやたちが気づかないようにして欲しいと頼む
ロバート:数えきれないくらいお金持ちになりたい
砂利堀場のふちまで金貨でいっぱいになるが
普段使うソブリン金貨ではない
ポケットに入るだけ入れて、宿屋兼食堂「青ぶた屋」でジンジャビヤを買おうとすると
ニセ金だと言われて、仕方なくウサギを買うつもりで貯めていたお金を払う
貸し馬車のチェッカー屋の主人に渡すとスペード金貨だと言われる
大型馬車を買うならサラセン人の頭屋だと教わる
お腹が空いて、12個のパンに食いつき、金貨を出すと主人は怒ってお釣りもくれない
馬車屋の主人は、金貨を見ると、どこからか盗んだと思いおまわりを呼ぼうとする
妖精の話をすると、今度は精神病院行きだと話す
そこでマーサと出くわし、魔法が見えないマーサは猛烈な勢いで警官を言い負かす
日暮れとともに金貨は消えて、警部は子どもを連れてきたおまわりを怒鳴りちらす
マーサはゴハン抜きの罰を与える
●かわいい子
いたずらっ子のぼうやは、朝から元気いっぱい
砂利堀場に行くと、サミアドの居場所が分からず
その上、ぼうやの世話に追われて、イライラしたロバートが
ロバート:だれか、この坊主を欲しくてたまらない人が出て来てくれればなあ!
と言った望みを叶えてしまうサミアド
馬車が通りかかり、富豪のチッテンデン卿夫人が「この子をぜひ養子にしたい!」と言い張り
坊やを抱き上げて、そのまま馬車を出してしまう
馬車を追い、屋敷に着いて、夫人が用をしている間
御者とおつきがぼうやをもらいたいと殴り合うw
眠っているぼうやを抱えて森に逃げると、今度はジプシーの男女が寄ってくる
男:なんとこりゃ、オレのさらわれた子だ!(w
きょうだいは、ぼうやはとても人見知りだから、日が暮れるまで面倒をみると言う
日が暮れると魔法が解けるが、子どもを亡くしたアメリアはぼうやのために祈ってくれる
アメリア:
この子が勇敢になりますように
よく考える強い頭と、ひとを愛する強い心と
働く強い手と、遠くまで旅して、無事に家に戻れる強い足を持ちますように
●つばさ
翌日は雨で、みんなで祖母の看病に行っている母宛てに手紙を書こうとして
インクをひっくり返してしまう
次の日はリチャード叔父が来て、町でおもちゃを買ってもらったり
ボートに乗ったりして楽しく過ごす
夏の朝5時に起きたアンシアは、サミアドになぜ魔法が消えた後、石にならないか質問する
サミアド:
こんにちの人間は理想が高くなりすぎた
花のような美しさとか、どうしたら石にできる?
アンシアは空飛ぶ美しい翼が欲しいと願い、みんなの背中に羽が生えて町の上空を飛ぶ
お腹が空いて、プラムをとると、果樹園の持ち主が怒ろうとして天使のような羽を見て仰天
お百姓:わしは今日からより感心な人間になろう
疲れた子どもたちは教会の塔の上にとまり
牧師さんの食料品部屋の窓から肉などの食べ物を拝借し
“飢え死にしそうになった時、食べ物をとるのは盗むとは違う”という手紙と
少額を添えて置き、たらふく食べた後、急に眠くなって寝てしまう
目が覚めた時は日が暮れて、魔法は解け
下におりるドアにはカギがかけられていることに気づく
4人で何度も叫んで助けを呼ぶと、牧師夫婦、下男、料理番はバケモノかと驚き
銃を持って塔の上にいる子どもを見つけるとさらに驚く
牧師さんは長々と説教し、子どもたちが理由を話さないのは
仲間(サミアド)をかばっているためと分かると逆に感心し
ケーキとミルクを出して、馬車で家まで届ける
これがきっかけで猟場の番人はマーサと仲良くなる
“あ、でも、これはまた別のお話になります”(言い方が『はてしない物語』みたい
●お城と敵兵
子どもたちは、家から出てはいけない罰を喰らう
ロバートは30分だけ許可を得て、サミアドに会い
砂利堀場まで来なくても、家で頼み事を聞いてくれたらなあ!と口を滑らしたのを叶えるサミアド
家に戻ろうとすると、そこには大きなお城が建っていて
周りを敵兵に囲まれている
ズボン姿のロバートを異国の密使と誤解して
立派な大将タルボット卿は事情を語れと命令する
ロバート:サミアドという妖術つかいのせいで、あなたたちはここにいるんです
ロバートはサミアドにシリルたちと一緒になりたいと願いを叶えてもらう
シリルが「敵に囲まれた城に住んでみたいなあ」と言ったことが分かる
魔法が見えないマーサとばあやは台所で料理をしていて
ぼうやは見えない子どもイスに座っているため空中に浮いて見えるw
またもやお腹が空いた子どもたちは、見えない食べ物を引き寄せて食べる
ジェイン:これってほんとはゲームなんでしょ?
敵兵の銃や槍などは本物だが、それをあえて伏せるロバートとアンシア
ラッパ手:なんじらに降伏を勧告する
ロバート:するもんか!
ジャキンがはね橋をおろそうとして、ロバートはドアを閉めて兵を掘りに落とす
銃眼から石を落としながら、敵兵がケガをしないか心配するアンシアw
鉛穴に水を流した時、魔法が解ける
マーサ:手洗い水を頭にぶっかけるなんて! 晩御飯なしです!(ww
●大男
願い事が決まるまで遊んでいたところにパン屋の小僧が来て
山賊隊ごっこで「金を出せ!」と言うと、本気で怒って、ロバートとケンカになる
アンシアが泣いて止めに入るも、ロバートにとっては恥でしかない
ロバート:早くあいつよりうんと大きくなりたい!
その願いが叶えられ、3mもの大男になってしまう
ロバートはパン屋の小僧をつまんで持ち上げ、小僧はすっかりぼーっとしてしまう
マーサがお祭りに行くのを聞いて、ロバートを見世物にしてお金がとれると思いつく
見世物小屋の主人ビルと妻は、ロバートを見るなり「いくらなら出す?」と交渉する
ロバートは15シリングと言い、1週間2ポンドの契約を結ぶ
ビルの口上:お目にかけまする大男は、サンフランシスコ皇帝の弟王子!
あっという間に客が列をなし、遠方からもやって来て
握手したり、つねって本物かどうか確かめたりw
紳士:ここの契約が終わったら、わしの所に来るがいい
子どもたちは、日が暮れる前にテントを抜け出す
●おとなになって
サミアド:
わしはもうイヤになってきた
どの子もカボチャほどの知恵もありゃせん
森へ栗拾いに行き、ぼうやがまたいたずらし放題で
シリル:大人になってもらいたいんだよ!
すっかり大人になったぼうや:
僕はちょっとロンドンへ出かけて
クラブで食事しようかと思う(ww
日が暮れてぼうやに戻ったら大変とみんなで止める
自転車のタイヤに穴を開けると、農家でパンクを直している時
女性が通って、彼女のパンクまで直してあげる
女性と一緒に出掛けようとするのを必死で止めるアンシアら
ジェイン:私たち、この子の兄さんと姉さんなんです!
女性は気味悪がって逃げていく
家に戻ると魔法の分からないマーサは青年のぼうやを抱き上げてあやす
●インディアン
シリルは『モヒカン族の最期』を夢中で読んだ後
シリル:イギリスにもアメリカ・インディアンがいればいいのにな!
と言ってしまう
アンシア:もうそこら中にいて、ヒトの頭の皮をはいで歩いているんじゃないかしら!
ぼうやの皮がはがれてはいけないと、母の水さしを割り
マーサにぼうやを連れて町まで買いに行って欲しいと頼む
とうとうインディアンが現れ、子どもたちもインディアン風衣装に変え
休戦の白旗をふり、互いに名乗り合う
サミアドに助けを求めに行こうとして、裏切ったと誤解され
頭の皮をはごうとして、カツラにしていた黒い布をはぎとる
インディアンの酋長が国に帰りたいと願ったために姿が消えて
マーサが帰ってくるなり、猟場の番人ビールと結婚すると言う
●最後のおねがい
母が帰ると手紙が来て、母を喜ばせるものを考える
マーサはビールがチッテンデン卿夫人の宝石がごっそり盗まれた話をする
ジェイン:お母さんが帰ってきたら、宝石が部屋から出てきますように!
それだと母が宝石どろぼうになってしまうと青くなる子どもたち
母が帰宅し、部屋に入ると、指輪や真珠のネックレスなどがわんさか出てきて
巡査を呼びに出かけてしまう
アンシアはサミアドに会い、今日のお願いを聞いてくれれば
もう二度とお願いはしないと約束する
サミアド:
お前たちがわしのことを誰にも話さないよう約束してくれ
でないと、大人が知って、中学校を義務教育にするとか退屈なものを欲しがるようになる
(義務教育は良いことでは?
母は事件のことを忘れ、万事うまくおさまる
子どもたちは、その後ふたたびサミアドに会ったけれども
それはまた別のお話
■あとがき
イーディス・ネズビット
1858年 ロンドン生まれ
父は有名な農芸化学者で、イーディスが3歳の時に亡くなった
姉メアリが健康を害したため、南海岸に引っ越し
ヨーロッパ大陸を放浪するが、イーディス9歳の時、姉が亡くなり、イギリスに戻る
その頃のことを『わたしの学校時代』に書く
素晴らしい詩人になるのが夢
ヒューバート・ブラントと結婚し、5人の母となる
ブラント氏と他の女性の間の子どもも一緒に育てる
社会改良運動「フェビアン協会」の中心的会員
劇作家ジョージ・バーナード・ショウ、作家のH.G.ウェルズなどの会員で友人だった!
突然子どもの本を書き始めたのは40歳の時
自分の中にあるいたずら好き、冒険心、好奇心を発揮し
『宝さがしの子どもたち』はたちまちベストセラーとなる
バスタブル家の子どもたちの話
『よい子連盟』
『新・宝さがし』
サミアドの物語は本作につづいて
『不死鳥とじゅうたん』
『お守り物語』の3冊
その他
『アーデンの家』と続編『ハーディングの幸運』
『魔法の城』
『鉄道の子どもたち』
1899年「ウェル・ハウス」という大きな屋敷を買い、23年住む
ブラントが長い病気の末に盲目になって亡くなり、第一次世界大戦が始まる
前からの友人で造船技師トマス・テリー・タッカーと再婚
1924年 65歳で死去
挿絵を描いたミラーは、イーディスのお気に入りの挿絵画家