1990年初版 辻昶/訳 梶鮎太/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
以前読んだ『アルプスのタルタラン』と同じ著者
プロバンス地方にある風車小屋でパリっ子が郷愁たっぷりに書いた手紙という形をとっている
【内容抜粋メモ】
■20年も放置されていた製粉用の風車小屋を買ったドーデ
立会人は横笛吹きのママイ
●家をかまえる
ウサギやミミズクが住んでいる風車小屋で手紙を書いている
暑い時期には、家畜をアルプスの山に連れて行き、5、6か月過ごして
山をくだってくるのを眺める
ママイは時々訪れて、煮ぶどう酒を飲みながら夜話をする
●コルニーユ親方の秘密
以前は粉屋が繁盛していて、どの丘にも風車が立っていたが
パリの連中がタラスコンに蒸気の製粉工場を建てて
風車の仕事はなくなり取り壊されていった
コルニーユ親方だけは風車を守り、工場でつくった粉には毒が入っていると言っていた
孫娘のビベットは15歳 両親は亡く、コルニーユ親方しか身寄りがないが
あちこちの農家で働いてどうにか暮らしていた

コルニーユ親方は毎日、ロバに荷袋を積んで風車に運び
輸出の仕事をしていると話していたが、誰も風車小屋に入れない
ママイの息子とビベットが結婚する相談に来た時
親方が出かけていたので、小屋を覗くと
親方が運んでいたのは、粉ではなく漆喰のクズだと分かり
みんな同情して、あるだけの小麦を運んで行き、親方は大喜びした
親方が亡くなると、最後の風車も動かなくなった
●スガンさんの雌山羊
パリの新聞社に記者の職があるのに、断ったグランゴワールに忠告する

スガンのヒツジはみな小屋から逃げ、山の上でオオカミに食い殺されてしまう
7頭目の雌山羊ブランケットも山の上で自由に暮らすことを夢見て痩せ細る
オオカミの話をしても泣いて懇願する
家畜小屋に閉じこめたのに逃げだして、自由を満喫していたら日が暮れて
オオカミとひと晩中戦って、明け方に食われてしまった
●星
プロバンスの羊飼いは、何週間も誰にも会わずに一人で牧場で暮らしている
羊飼いは20歳の若者で、主人の家のステファネットお嬢さんに恋している
ある日曜日、2週間分の食糧が届くのが遅れて、心配していると
お嬢さんが運んで来てくれる
羊飼いの小屋を物珍しく眺めてからかい
羊飼いはすっかり上がって何もしゃべれなかった
お嬢さんはいったん帰ったが、川が増水し、おぼれそうになり
帰るには遅くなりすぎて、ずぶ濡れで戻ってきた
わらのベッドに寝かせても眠れず、外で2人、流れ星を見て、あれは何かと訊ねる
羊飼い:魂が天国へ入るところですよ

星の名前や物語を聞かせているうちに寝てしまったお嬢さんを見て
たくさんの星の中で一番キラキラした星だと思う
●アルルの女
プロバンスの農家の息子ジャンは
アルルの闘技場で見かけた女に一目惚れして、結婚したいと思い詰める
結婚式の日、男が現れて
男:
やつは2年間、オレの女だった
あんたの息子さんが追いかけ回すようになり
あっしにゃもう用がないことになった
父はジャンに話したが、プライドが高くて
両親を安心させるために陽気なフリをしていた
聖エロワの祭りの日 ジャンはひと晩中すすり泣いていた
屋根裏部屋にのぼり、母が止めるのも聞かずに自死してしまった
●法王のらば
執念深い男の噂をする時“あいつは法王のらばみたいな奴だ”という格言の基になった話
アビヨンは毎日お祭り騒ぎで、代々の法王は人民を上手に治めていた
中でもボニファス法王は人気で、自分のぶどう園とラバを愛していた
チステは子どもの頃からずる賢く、法王のラバを褒めて
ぶどう酒をラバに運ぶ役目を任されて、枢機卿らは不快な思いをした

ラバにぶどう酒の香りだけ嗅がせて、酒は自分たちで飲んでしまい
ろくでなしの小僧たちは、いじめたい放題
ある日、鐘楼の上にラバを上げて、恐怖のあまり悲鳴を上げる
チステは法王にラバが自分で勝手にのぼったと報告
ラバを下すのに大変な騒ぎになり、町の人たちはラバを見て笑うようになった
ラバはいつかチステに復讐しようと毎日蹄を研いで機会を待つ(w
チステはその後も昇進し、貴族とともにナポリの宮廷に旅立ち、7年が経った
法王の料理頭が急死した知らせを聞いて、後釜に入るために戻り
またラバを褒めたため、気を良くした法王はチステを料理頭にすると約束
聖職者が一斉に集まる式で、立派な身なりのチステが現れ
ラバの背中を親しそうに叩こうとした瞬間
ラバは7年つのった恨みを晴らすためにものすごい勢いで蹴飛ばした

●サンギネールの燈台
風が荒れ狂う晩 3年前の出来事を思い出す
燈台守は30日務めると、10日間陸で過ごすことができる
あの日、3人の燈台守が私を夕食に呼んで、5年前に起きた話をする

その晩、2人の燈台守しかおらず、夕食後、相棒のチェコが急死した
非常警報を出しても誰も来ないまま3日も経ち
検疫所の小部屋まで運んだ恐怖体験を忘れられない
日が暮れると4時間ごとに当直を交替する
眠気をはらうために『ブルータルコス英雄伝』を朗読し
日誌を書く「午前零時 しけ 嵐 船が一せき 沖を航行中」
●セミヤント号の最期
私はサルデーニャの沖を航海していた
ボニファーチョ海峡に来て、墓地に行こうと誘うリオネッティ船長
10年前、セミヤント号はひどい嵐の日にトゥーロンを出航し
ひどい霧で真昼間なのに何も見えない状態になり
難破して、乗員600人が死んだ
さらに悲惨なことには、その3週間前
同じクリミアに向かって航海していた軍艦が
同じ場所で難破して、運よく20人の兵士を救い出した
彼らはトゥーロンに戻り、もう一度クリミアに向かった セミヤント号に乗って
●キュキュニャンの司祭
マルタン神父はキュキュニャン(かわいい名前だなw)の主任司祭
あまりに不信心な町の人々に説教をする
天国の門に行き、キュキュニャンの人が何人いるか聞いたら
聖ペテロは分厚い名簿を見て1人もいないと答える
煉獄(カトリックで説く天国と地獄の間の所)で聞くと
天使がさらに分厚い名簿を見て、やはり1人もいないと答える
地獄の門に行き、角の生えた悪魔に聞くと
キュキュニャンのやつらはみんなここにいると答えた
この話を聞いて恐ろしくなった町の人びとに
月曜から早速、告解を聞く
マルタン神父は、神の国へ続く道を信者とともにのぼる夢を見る
●おじいさんとおばあさん
アザンじいさんのもとに、パリの友人モーリスから手紙がきて
10年も会ってない祖父母を訪ねにエギエールへ行ってくれと頼まれる
手紙にある通り、孤児修道院に行くと
おじいさんが顔中くしゃくしゃに笑って迎える
おばあさんは喜びで震えて泣き出す

モーリスについてすべて喋り、ランチをご馳走になり
帰りは広場まで送るというおじいさんの様子を見て
おばあさん:うちのおじいさんは、まだまだ足がしっかりしていること!
●散文のバラード
「王太子の死」
幼い王太子は病気で臥せっている
王は宮殿の奥に閉じこもって涙を隠し
王妃は枕元に座って泣きじゃくる
王太子:僕は死神なんかにつかまりはしないぞ
神父が十字架を見せながら、小声で話しかける
王太子:神さまはボクのいとこで、きっと身分にふさわしく扱ってくださるでしょう
神の前では身分はなんの値打ちもないと聞くと
壁を向いて悔しそうにさめざめと泣く
「野原の郡長」
村人の前でやる大演説について考えようとするが
「郡民のみなさん・・・」のあとが続かない
小さな森に誘われて、そこで言葉を書こうとするのを
鳥や草木が邪魔をする

お供の者が迎えに行くと、いい匂いや音楽に酔って
すっかりだらしない身なりで草の中に腹ばいになり
詩をつくっている郡長を見てビックリする
●ビクシューの紙入れ
ずっとパリで皮肉な文章やマンガを書いていた有名なひやかし家ビクシューは
硫酸塩でものを書いていたために盲人となり、誰も見向きもしなくなり
今ではタバコ屋でもしようと役所を周っている
ビクシュー:
芸術家の生活の行きつく所なんてこんなもんだ
夢ばかり見ている田舎っぺたちよ、この惨めな姿が教訓になればいいんだが!
妻とどっぷり慈善事業に浸かって
子どもも口減らしに養育院へ入れてしまった
ビクシューは急に即興演説を始める
彼が去った後も不愉快な気持ちが残る
仲間の間で有名になっていた紙入れが落ちていて、中を見ると
娘セリーヌが孤児院から出した手紙と髪の毛が入っている
大ぼらをふいても、結局はみんな感傷的な人間なのだよ

●金の脳みそを持った男の話
純金の脳を持つ男の子が生まれ、両親は盗まれまいと秘密にしてきた
18歳になり、今まで育ててきたお返しにほんの少しおくれと頼み
その子は頭蓋骨から純金を出した
家を出て、散財するたび、頬がこけていき
改心して、人から離れて自分で働くようになった
男は金髪の少女を愛し、結婚したが、秘密は隠していた
ぜいたくな娘のために散財したが
娘は2年後、ぽっくり死んでしまった
男はほうぼうへ寄付し、ショーウィンドウの中に娘が気に入りそうな靴を見つけた
店のおかみは、靴を握り、爪の先に金の最期のクズをつけて死んでいる男を見て驚く
世の中には、自分の骨身を削って働く人がいて
毎日が苦しみなのです
●三つの小ミサ
トランクラージュ家のお抱え司祭バラゲール神父の下で修行している
見習い聖職者の少年ガリグーは、実は悪魔の化身
神父を食いしん坊の罪におとしいれようと
クリスマスイブにお城で出されるあらゆるご馳走の話をする
神父は七面鳥の丸焼き、金色の鯉、大きなニジマスのことで頭がいっぱいになり
教会に来る人々も深夜ミサの後のご馳走を楽しみにしている

3つあるミサのうち、1回目は無事に済んだが
できるだけ早く終わらせようとして
2、3のミサでは文句をすっ飛ばしてしまう
神父はようやくご馳走を楽しみ、やたら食べたり、飲んだりしたために発作で死んでしまった
天国で神さまから叱られ、ミサを300回あげて償うよう命令される
毎年、クリスマスになると、廃墟となった城に妖しい光がさまようという噂がたつ
ガリグーの子孫が、あるクリスマスの晩に酔って、教会にあの日と同じ光景を見た
●いなご
私は20年前、人々がサエルの谷に来て住み着いたことを想像する
苦しい時代が過ぎ、やっと財産を持ち、焼け付くような蒸した夏のある日
いなごの群れが襲う
いなごがあられのように降ってきて
殺せば殺すほど増えていく
狙撃兵が火薬をまいて焼き殺して
家に戻っても、外と同じくらいいなごが入っている(!
貯水槽、タンク、井戸水にもイナゴの死体のイヤな臭いがする
翌日、イナゴは去ったが、一りんの花も草もなくかみ切られ、焼き尽くされている
人々は池や貯水池を清掃し、いなごの卵を殺して土に埋める
●ゴーシェ神父の長命酒
プレモントレ会の修道院でつくる長命酒は世界でも有名で、そのいわれを聞く
20年前、白衣会は貧乏のどん底で、鐘を買うお金もなかった
修道院で議論していると、牛飼いでバカにされていたゴーシェ神父が意見する

ゴーシェ神父は12歳になるまで、ベゴンおばあさんに育てられていたが
死ぬ前に見事な長命酒をつくった
それを少し高く売ればお金になるだろう
早速、お酒をつくって売ったところ大評判となり
プレモントレ会はお金持ちになる
ゴーシェ神父は酒造所にこもって1人で酒をつくっていたが
酔っぱらって、ベゴンおばあさん同様、下品な歌を歌いはじめる

味見をせず、アルコール計に任せると言うと
傲慢になった修院長は、味見を20滴にすればいいと教える
修道院は工場のようになり、鐘を鳴らすのを忘れるほど
ゴーシェ神父はひと晩に3本も飲むのを止められないと嘆く
修院長はゴーシェ神父のために祈りを唱えるが下品な歌は止まらない
●兵営をなつかしむ
夜が明ける頃、松林から太鼓の音が聞こえて驚く
ビストレという連隊の鼓手が6か月の休暇で帰っていて
田舎での生活に退屈し、連隊が恋しくて叩いていると分かる
ボクもパリが懐かしい
ボクの兵営であるパリは、ここまで追いかけてきて、原稿を書いている
ああ、やっぱりパリだ!
■月曜物語
●最後の授業
フランツは学校へ行くのが遅れてしまい、アメル先生に怒られて
また鉄製の定規で叩かれると思いながら行くと
やけに静まりかえり、先生は正装して優しく迎える

アメル先生:
これが最後の授業です
これからは、アルザスとロレーヌの学校では
ドイツ語しか教えてはいけないことになりました
まだろくに書けないのに、今となってはサボって時間をムダにしたことを悔やむフランツ
暗唱の番が来てももじもじしていて
アメル先生:
いつもみんなは、かまうものか、時間はたっぷりあるんだと考える
その結果どうなったか分かっただろう
君たちの両親は、教育にあまり熱心ではなかった
先生はフランス語が世界で一番美しいこと
奴隷になっても、自分の国の言葉を守れば
牢屋のカギを持っているのと同じだと話す
先生と妹は、明日、学校を出て、この土地を永遠に去らねばならない
最後に「フランスばんざい」と黒板にチョークで書いた
●少年スパイ
ステンヌの父は元海兵隊員で、みな父さんが大好きで
父さんは息子をとても愛していた
パリが包囲され、父は石油置き場の見張りを任される
子どもたちは授業が休みになり、いろんな遊びに夢中になる
賭けをする上級生を羨ましく見ていると、プロイセン軍に新聞を売れば
30フランになると誘われて、誘惑に負けて一緒に行く
義勇兵に畑のじゃがいもを取りに行くとウソをついて通してもらう
義勇兵:今夜は一戦あるぞ
上級生はステンヌを弟だと話して、敵兵に新聞を渡し
義勇兵が攻撃しようとしている情報を教える
上級生:もし喋ったら、僕たちは銃殺されるぞ と脅され
ステンヌはスパイをした気持ちに苛まれる
夜中にすすり泣いていると、父がワケを聞き、ぜんぶ打ち明ける
父:わしが金をやつらに返しに行ってやる
父は遊動隊に加わり、その後、姿を見た者はいない
■解説

アルフォンス・ドーデ
1840年 ニース生まれ
『弟フロモンと兄リスレール』で有名になる
1897年死去
ほぼすべての小説にプロバンスの人間が登場する
貧しい人などに温かい愛情をそそぐ文章を書いた
本作は25の短編からなり、中から18編を選び
41編ある『月曜物語』から代表作2編といっしょに刊行した
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
以前読んだ『アルプスのタルタラン』と同じ著者
プロバンス地方にある風車小屋でパリっ子が郷愁たっぷりに書いた手紙という形をとっている
【内容抜粋メモ】
■20年も放置されていた製粉用の風車小屋を買ったドーデ
立会人は横笛吹きのママイ
●家をかまえる
ウサギやミミズクが住んでいる風車小屋で手紙を書いている
暑い時期には、家畜をアルプスの山に連れて行き、5、6か月過ごして
山をくだってくるのを眺める
ママイは時々訪れて、煮ぶどう酒を飲みながら夜話をする
●コルニーユ親方の秘密
以前は粉屋が繁盛していて、どの丘にも風車が立っていたが
パリの連中がタラスコンに蒸気の製粉工場を建てて
風車の仕事はなくなり取り壊されていった
コルニーユ親方だけは風車を守り、工場でつくった粉には毒が入っていると言っていた
孫娘のビベットは15歳 両親は亡く、コルニーユ親方しか身寄りがないが
あちこちの農家で働いてどうにか暮らしていた

コルニーユ親方は毎日、ロバに荷袋を積んで風車に運び
輸出の仕事をしていると話していたが、誰も風車小屋に入れない
ママイの息子とビベットが結婚する相談に来た時
親方が出かけていたので、小屋を覗くと
親方が運んでいたのは、粉ではなく漆喰のクズだと分かり
みんな同情して、あるだけの小麦を運んで行き、親方は大喜びした
親方が亡くなると、最後の風車も動かなくなった
●スガンさんの雌山羊
パリの新聞社に記者の職があるのに、断ったグランゴワールに忠告する

スガンのヒツジはみな小屋から逃げ、山の上でオオカミに食い殺されてしまう
7頭目の雌山羊ブランケットも山の上で自由に暮らすことを夢見て痩せ細る
オオカミの話をしても泣いて懇願する
家畜小屋に閉じこめたのに逃げだして、自由を満喫していたら日が暮れて
オオカミとひと晩中戦って、明け方に食われてしまった
●星
プロバンスの羊飼いは、何週間も誰にも会わずに一人で牧場で暮らしている
羊飼いは20歳の若者で、主人の家のステファネットお嬢さんに恋している
ある日曜日、2週間分の食糧が届くのが遅れて、心配していると
お嬢さんが運んで来てくれる
羊飼いの小屋を物珍しく眺めてからかい
羊飼いはすっかり上がって何もしゃべれなかった
お嬢さんはいったん帰ったが、川が増水し、おぼれそうになり
帰るには遅くなりすぎて、ずぶ濡れで戻ってきた
わらのベッドに寝かせても眠れず、外で2人、流れ星を見て、あれは何かと訊ねる
羊飼い:魂が天国へ入るところですよ

星の名前や物語を聞かせているうちに寝てしまったお嬢さんを見て
たくさんの星の中で一番キラキラした星だと思う
●アルルの女
プロバンスの農家の息子ジャンは
アルルの闘技場で見かけた女に一目惚れして、結婚したいと思い詰める
結婚式の日、男が現れて
男:
やつは2年間、オレの女だった
あんたの息子さんが追いかけ回すようになり
あっしにゃもう用がないことになった
父はジャンに話したが、プライドが高くて
両親を安心させるために陽気なフリをしていた
聖エロワの祭りの日 ジャンはひと晩中すすり泣いていた
屋根裏部屋にのぼり、母が止めるのも聞かずに自死してしまった
●法王のらば
執念深い男の噂をする時“あいつは法王のらばみたいな奴だ”という格言の基になった話
アビヨンは毎日お祭り騒ぎで、代々の法王は人民を上手に治めていた
中でもボニファス法王は人気で、自分のぶどう園とラバを愛していた
チステは子どもの頃からずる賢く、法王のラバを褒めて
ぶどう酒をラバに運ぶ役目を任されて、枢機卿らは不快な思いをした

ラバにぶどう酒の香りだけ嗅がせて、酒は自分たちで飲んでしまい
ろくでなしの小僧たちは、いじめたい放題
ある日、鐘楼の上にラバを上げて、恐怖のあまり悲鳴を上げる
チステは法王にラバが自分で勝手にのぼったと報告
ラバを下すのに大変な騒ぎになり、町の人たちはラバを見て笑うようになった
ラバはいつかチステに復讐しようと毎日蹄を研いで機会を待つ(w
チステはその後も昇進し、貴族とともにナポリの宮廷に旅立ち、7年が経った
法王の料理頭が急死した知らせを聞いて、後釜に入るために戻り
またラバを褒めたため、気を良くした法王はチステを料理頭にすると約束
聖職者が一斉に集まる式で、立派な身なりのチステが現れ
ラバの背中を親しそうに叩こうとした瞬間
ラバは7年つのった恨みを晴らすためにものすごい勢いで蹴飛ばした

●サンギネールの燈台
風が荒れ狂う晩 3年前の出来事を思い出す
燈台守は30日務めると、10日間陸で過ごすことができる
あの日、3人の燈台守が私を夕食に呼んで、5年前に起きた話をする

その晩、2人の燈台守しかおらず、夕食後、相棒のチェコが急死した
非常警報を出しても誰も来ないまま3日も経ち
検疫所の小部屋まで運んだ恐怖体験を忘れられない
日が暮れると4時間ごとに当直を交替する
眠気をはらうために『ブルータルコス英雄伝』を朗読し
日誌を書く「午前零時 しけ 嵐 船が一せき 沖を航行中」
●セミヤント号の最期
私はサルデーニャの沖を航海していた
ボニファーチョ海峡に来て、墓地に行こうと誘うリオネッティ船長
10年前、セミヤント号はひどい嵐の日にトゥーロンを出航し
ひどい霧で真昼間なのに何も見えない状態になり
難破して、乗員600人が死んだ
さらに悲惨なことには、その3週間前
同じクリミアに向かって航海していた軍艦が
同じ場所で難破して、運よく20人の兵士を救い出した
彼らはトゥーロンに戻り、もう一度クリミアに向かった セミヤント号に乗って
●キュキュニャンの司祭
マルタン神父はキュキュニャン(かわいい名前だなw)の主任司祭
あまりに不信心な町の人々に説教をする
天国の門に行き、キュキュニャンの人が何人いるか聞いたら
聖ペテロは分厚い名簿を見て1人もいないと答える
煉獄(カトリックで説く天国と地獄の間の所)で聞くと
天使がさらに分厚い名簿を見て、やはり1人もいないと答える
地獄の門に行き、角の生えた悪魔に聞くと
キュキュニャンのやつらはみんなここにいると答えた
この話を聞いて恐ろしくなった町の人びとに
月曜から早速、告解を聞く
マルタン神父は、神の国へ続く道を信者とともにのぼる夢を見る
●おじいさんとおばあさん
アザンじいさんのもとに、パリの友人モーリスから手紙がきて
10年も会ってない祖父母を訪ねにエギエールへ行ってくれと頼まれる
手紙にある通り、孤児修道院に行くと
おじいさんが顔中くしゃくしゃに笑って迎える
おばあさんは喜びで震えて泣き出す

モーリスについてすべて喋り、ランチをご馳走になり
帰りは広場まで送るというおじいさんの様子を見て
おばあさん:うちのおじいさんは、まだまだ足がしっかりしていること!
●散文のバラード
「王太子の死」
幼い王太子は病気で臥せっている
王は宮殿の奥に閉じこもって涙を隠し
王妃は枕元に座って泣きじゃくる
王太子:僕は死神なんかにつかまりはしないぞ
神父が十字架を見せながら、小声で話しかける
王太子:神さまはボクのいとこで、きっと身分にふさわしく扱ってくださるでしょう
神の前では身分はなんの値打ちもないと聞くと
壁を向いて悔しそうにさめざめと泣く
「野原の郡長」
村人の前でやる大演説について考えようとするが
「郡民のみなさん・・・」のあとが続かない
小さな森に誘われて、そこで言葉を書こうとするのを
鳥や草木が邪魔をする

お供の者が迎えに行くと、いい匂いや音楽に酔って
すっかりだらしない身なりで草の中に腹ばいになり
詩をつくっている郡長を見てビックリする
●ビクシューの紙入れ
ずっとパリで皮肉な文章やマンガを書いていた有名なひやかし家ビクシューは
硫酸塩でものを書いていたために盲人となり、誰も見向きもしなくなり
今ではタバコ屋でもしようと役所を周っている
ビクシュー:
芸術家の生活の行きつく所なんてこんなもんだ
夢ばかり見ている田舎っぺたちよ、この惨めな姿が教訓になればいいんだが!
妻とどっぷり慈善事業に浸かって
子どもも口減らしに養育院へ入れてしまった
ビクシューは急に即興演説を始める
彼が去った後も不愉快な気持ちが残る
仲間の間で有名になっていた紙入れが落ちていて、中を見ると
娘セリーヌが孤児院から出した手紙と髪の毛が入っている
大ぼらをふいても、結局はみんな感傷的な人間なのだよ

●金の脳みそを持った男の話
純金の脳を持つ男の子が生まれ、両親は盗まれまいと秘密にしてきた
18歳になり、今まで育ててきたお返しにほんの少しおくれと頼み
その子は頭蓋骨から純金を出した
家を出て、散財するたび、頬がこけていき
改心して、人から離れて自分で働くようになった
男は金髪の少女を愛し、結婚したが、秘密は隠していた
ぜいたくな娘のために散財したが
娘は2年後、ぽっくり死んでしまった
男はほうぼうへ寄付し、ショーウィンドウの中に娘が気に入りそうな靴を見つけた
店のおかみは、靴を握り、爪の先に金の最期のクズをつけて死んでいる男を見て驚く
世の中には、自分の骨身を削って働く人がいて
毎日が苦しみなのです
●三つの小ミサ
トランクラージュ家のお抱え司祭バラゲール神父の下で修行している
見習い聖職者の少年ガリグーは、実は悪魔の化身
神父を食いしん坊の罪におとしいれようと
クリスマスイブにお城で出されるあらゆるご馳走の話をする
神父は七面鳥の丸焼き、金色の鯉、大きなニジマスのことで頭がいっぱいになり
教会に来る人々も深夜ミサの後のご馳走を楽しみにしている

3つあるミサのうち、1回目は無事に済んだが
できるだけ早く終わらせようとして
2、3のミサでは文句をすっ飛ばしてしまう
神父はようやくご馳走を楽しみ、やたら食べたり、飲んだりしたために発作で死んでしまった
天国で神さまから叱られ、ミサを300回あげて償うよう命令される
毎年、クリスマスになると、廃墟となった城に妖しい光がさまようという噂がたつ
ガリグーの子孫が、あるクリスマスの晩に酔って、教会にあの日と同じ光景を見た
●いなご
私は20年前、人々がサエルの谷に来て住み着いたことを想像する
苦しい時代が過ぎ、やっと財産を持ち、焼け付くような蒸した夏のある日
いなごの群れが襲う
いなごがあられのように降ってきて
殺せば殺すほど増えていく
狙撃兵が火薬をまいて焼き殺して
家に戻っても、外と同じくらいいなごが入っている(!
貯水槽、タンク、井戸水にもイナゴの死体のイヤな臭いがする
翌日、イナゴは去ったが、一りんの花も草もなくかみ切られ、焼き尽くされている
人々は池や貯水池を清掃し、いなごの卵を殺して土に埋める
●ゴーシェ神父の長命酒
プレモントレ会の修道院でつくる長命酒は世界でも有名で、そのいわれを聞く
20年前、白衣会は貧乏のどん底で、鐘を買うお金もなかった
修道院で議論していると、牛飼いでバカにされていたゴーシェ神父が意見する

ゴーシェ神父は12歳になるまで、ベゴンおばあさんに育てられていたが
死ぬ前に見事な長命酒をつくった
それを少し高く売ればお金になるだろう
早速、お酒をつくって売ったところ大評判となり
プレモントレ会はお金持ちになる
ゴーシェ神父は酒造所にこもって1人で酒をつくっていたが
酔っぱらって、ベゴンおばあさん同様、下品な歌を歌いはじめる

味見をせず、アルコール計に任せると言うと
傲慢になった修院長は、味見を20滴にすればいいと教える
修道院は工場のようになり、鐘を鳴らすのを忘れるほど
ゴーシェ神父はひと晩に3本も飲むのを止められないと嘆く
修院長はゴーシェ神父のために祈りを唱えるが下品な歌は止まらない
●兵営をなつかしむ
夜が明ける頃、松林から太鼓の音が聞こえて驚く
ビストレという連隊の鼓手が6か月の休暇で帰っていて
田舎での生活に退屈し、連隊が恋しくて叩いていると分かる
ボクもパリが懐かしい
ボクの兵営であるパリは、ここまで追いかけてきて、原稿を書いている
ああ、やっぱりパリだ!
■月曜物語
●最後の授業
フランツは学校へ行くのが遅れてしまい、アメル先生に怒られて
また鉄製の定規で叩かれると思いながら行くと
やけに静まりかえり、先生は正装して優しく迎える

アメル先生:
これが最後の授業です
これからは、アルザスとロレーヌの学校では
ドイツ語しか教えてはいけないことになりました
まだろくに書けないのに、今となってはサボって時間をムダにしたことを悔やむフランツ
暗唱の番が来てももじもじしていて
アメル先生:
いつもみんなは、かまうものか、時間はたっぷりあるんだと考える
その結果どうなったか分かっただろう
君たちの両親は、教育にあまり熱心ではなかった
先生はフランス語が世界で一番美しいこと
奴隷になっても、自分の国の言葉を守れば
牢屋のカギを持っているのと同じだと話す
先生と妹は、明日、学校を出て、この土地を永遠に去らねばならない
最後に「フランスばんざい」と黒板にチョークで書いた
●少年スパイ
ステンヌの父は元海兵隊員で、みな父さんが大好きで
父さんは息子をとても愛していた
パリが包囲され、父は石油置き場の見張りを任される
子どもたちは授業が休みになり、いろんな遊びに夢中になる
賭けをする上級生を羨ましく見ていると、プロイセン軍に新聞を売れば
30フランになると誘われて、誘惑に負けて一緒に行く
義勇兵に畑のじゃがいもを取りに行くとウソをついて通してもらう
義勇兵:今夜は一戦あるぞ
上級生はステンヌを弟だと話して、敵兵に新聞を渡し
義勇兵が攻撃しようとしている情報を教える
上級生:もし喋ったら、僕たちは銃殺されるぞ と脅され
ステンヌはスパイをした気持ちに苛まれる
夜中にすすり泣いていると、父がワケを聞き、ぜんぶ打ち明ける
父:わしが金をやつらに返しに行ってやる
父は遊動隊に加わり、その後、姿を見た者はいない
■解説

アルフォンス・ドーデ
1840年 ニース生まれ
『弟フロモンと兄リスレール』で有名になる
1897年死去
ほぼすべての小説にプロバンスの人間が登場する
貧しい人などに温かい愛情をそそぐ文章を書いた
本作は25の短編からなり、中から18編を選び
41編ある『月曜物語』から代表作2編といっしょに刊行した