1973年初版 1981年 第9刷 内田莉莎子/訳 山中冬児/装幀 桜井誠/挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
ドイツ軍に母と弟を殺された少女が、農家に引き取られ
都会と違う生活に馴染めず苦労しつつも
凍るような冬から春にかけての自然の移り変わりに感動する
子どもの心理の描き方が素晴らしい
長女が母のマネをしたり、一段高いところからものを言う感じとか
客観的に見ると興味深い
それに、従軍している父がどんなにいい人であっても
敵側から見れば殺人をする側だと思うと、戦争の不毛さが分かる
『おかあさんは、どこ』 アデライダ・コトフシチコワ/作
『キャンディキャンディ』みたいな話
【内容抜粋メモ】
■町からきた少女
登場人物
シャリヒン家
母 ダーシャ
長女 グルーシャ
次女 タイスカ
末弟 ロマノク
祖父
ワーリャ 戦争孤児
●ネチャーエヴォ村
戦争は村から遠く、戦場から避難してきた人々が通る
母と弟を爆弾で殺されたワーリャは、近所の女性に連れられて歩きとおしてきた
ダーシャ・シャリヒンは同情してワーリャを引き取る
翌朝の朝食で、砂糖の代わりに塩を渡したりしてイジワルをするタイスカら
友だちはみな町の子が珍しくて見に来る
谷から粘土をとってきて、ままごとの茶器を作る話をするタイスカ
毎年飛んでくる小鳥の話も興味をそそる
ドイツ軍のことを聞かれて、爆弾が落ちたことを思い出すワーリャ
ダーシャ:お前は思いやりがないのかい?
●土曜日はお風呂の日
熱湯を金だらいに入れ、ペチカに置いて戸を閉め
白樺のほうきと新鮮なワラで体をたたくといい香りに包まれる
亜麻のタオルで体をふき、とてもいい気持ちになる
●名前の日
母の名前の日になにかプレゼントしようと計画する子どもたち
タイスカは汚れた皿や鍋を洗う
ロマノクはペチカの白壁に木炭で戦車の絵を描く
ワーリャはタイスカに言われてテーブルかけに花を描く
ダーシャはイタズラ書きだと思い叱るが、贈り物と知ると
なんていい子なんだろう!と喜ぶ
●お客
マーリヤおばさん:またえらく痩せた子じゃないか こんな子に田舎で何ができる?
祖父:
田舎で暮らすとは、土仕事をすることだから
土が好きでなきゃいかんが、お嬢さん育ちだからなあ
ワシリーサおばさん:田舎むきの子じゃないね
ウスチニアおばさん:いつまでたっても赤の他人さ
ダーシャ:
食べ物はみんなの分たっぷりある
私が悲しいのは、あの子がなつかないこと
私をお母さんとどうしても呼ばないんですよ
ダーシャは戦争に行っている夫にワーリャについて相談する手紙を書く
●留守番
ダーシャは駅まで薪を運びに出かける
家のことを任されたグルーシャは、イライラしてワーリャに意地悪ばかり言う
グルーシャ:マーリヤおばさんの言う通りだわ 荷のあげおろしひとつできない子よ!
暗い地下室にジャガイモを取りに行ったり、子うしのエサをもっていって
バケツごとひっくり返したりして、さらに怒られる
誰にも愛されないで、人間は生きていけるでしょうか?
タイスカはワーリャのカバンの中味を盗み見る
タイスカ:くだらない絵じゃないの
ダーシャが戻って、やっと安心するワーリャ
●種
おじいさんは、倉庫係で、小麦、カラスムギ、えんどう豆の種をえり分ける
ワーリャはいつ芽が出るか毎日見ていて、ようやく芽が出たとおじいさんに伝える
怒りっぽく、怖そうに見えていたおじいさんは、とてもやさしいと分かる
●ヒツジの子
子ヒツジが3匹生まれて、ワーリャは大喜びして世話をする
おじいさん:
うちの子は家畜にあまり優しくないが
あの子は、ここの暮らしに慣れるかもしれんな
●絵のお話
ワーリャはこれまでためてきた絵を出して、空想にひたる
マゼランが世界一周した話をすると、興味をもつタイスカとロマノク
●粘土をとりにいく
タイスカと友だちと一緒にネコヤナギをつんでいると
近所の男の子が追ってきて、遅れをとったワーリャはタイスカの名前を呼ぶと
タイスカ:私がやっつけちまうから、逃げて!
タイスカがケンカをしたのを叱られて
タイスカ:だって、うちのワーリャを殴ったんならケンカしても構わないでしょ?
おじいさん:そうさ、うちの者がやられたら、許せんぞ!
●春のお祭り ねり粉のヒバリ
ライムギのねり粉でみんなでヒバリをつくって、鉄板に並べて焼く
タイスカのヒバリは華やか、グルーシャは母のマネ
グルーシャは3枚羽の尾をつけた
●氷が流れる
川は荒れ狂い、男の子が乗った岸の氷も割れて流れ出すのを見て
とっさに水に飛び込んでロマノクを助け出すワーリャ
スラーヴィナおばあさんの家で介抱してもらうと
誰もワーリャをのけものにする子はいなくなる
タイスカ:うちのワーリャは勇気があるのね
ワーリャ:もしロマノクが弟なら、あなたも飛び込んだと思うわ
●あかが太陽を見る
急に日が照って、雪はもう消えている
農場長さんに聞いて、みんな一斉に家畜を牧場に放つ
子うしの“あか”もモーレツに喜ぶ
牡牛に追いかけられたワーリャは「ママ!」と叫んでダーシャに抱きつく
いいにくい言葉を一度言ってしまうと、繰り返すのはラクなこと
●戦地からの手紙
ようやく待ちに待った父からの手紙が届く
父:
人が何を言おうと気にかけず、ワーリャが自分の本当の家
本当の家族と思うようにしてやりなさい
●マツユキソウ
シラカバが花を咲かせた
おじいさんと一緒に外に出ると、ダーシャが畑を耕している
戦争で男性がいないため、女性が鋤を使っている
子どもたちはアミガサダケというキノコを集める
ワーリャは本当の生きているマツユキソウを見て感動する
ワーリャ:お母さん、これをお母さんに摘んできたの
■おかあさんは、どこ アデライダ・コトフシチコワ/作
●迷子
レニングラードの通りを泣きながら歩いている少女グーリャ
母は夫が戦死した後、再婚したが、急病で亡くなり
二度目のおとうさんはグーリャがいなくなっても探そうとしない
●ガーリャ・ママ
戦後11年目 『子どもの家』に新しい子ミーシカが来て、早速面倒をみるガーリャ
母は入院しているため、自分がママになるという
親類のある子は、手紙やお菓子をもらえたり、日曜に会えたりするが
ガーリャは“捨て子”なため、誰も来ない
●ワレルカ
ワレルカはガーリャにあげようと、母の家でもらったケーキを出すが
ポケットの中ですっかり潰れてしまっている
ガーリャは子どもたちの世話を優先して、算数の成績が落ちる
●ジーナ
ジーナの家に遊びに行くと、コーチャという弟がいてうるさくつきまとい怒るジーナ
4時半に帰ろうとすると
ジーナ:残念だけど怒れないわ あんたは“みなしご”だもの
ガーリャは傷ついて帰る
●ワーリャ
2か月前、子どものいない夫婦に引き取られたワーリャが
『子どもの家』に顔を見せに来たら
新しい服を着て、顔つきもすっかり変わったことに気づく
他の子:私のお母さんは、手紙もくれない 5歳の時だから何も覚えていない
マリーナ:親と暮らしても、私たちより不幸な子どももいる
●おわかれ
ミーシカの母が退院して、迎えに来る
ガーリャも一緒に暮らそうと誘い、困ってしまう
●軍人さん夫婦
ガーリャは園長先生に呼ばれて、軍人さん夫婦の前で質問に答える
パーヴェル・フェドートヴィチ大佐の家を訪ねると案内してくれる
夫人は潔癖症で、テーブルがけにコーヒーのシミをつくると怒るが
大佐は同じシミをつくって誤魔化してくれる
子どもがいない夫婦はガーリャを引き取る
自分の部屋を与えられ、「ママと呼んでもいい?」と聞くと
カレリヤ:呼ぶ必要ないわ カレリヤおばさんと呼ぶほうがいいでしょう
カレリヤの支配する家は埃ひとつ許されず
ガーリャは部屋から出なくなる
引き取られてから『子どもの家』に一度も行くことが叶わず泣くと
大佐は驚いて、電話をかけてみたら?と提案
カレリヤの決めた時間はキッチリでどこにも隙間がない
●があ子のトーニャ
転校した先でいじめられているトーニャと仲良くなる
トーニャの家に遊びに行くと、だらしなくしていても誰も怒らないため
カレリヤに隠れて、遊びに行くようになる
これまでお金について何も知らなかったため
父のいないトーニャの母が働いてやりくりしているのを見て驚く
●白ユリ
大佐の友だちがカレリヤに大きなユリの花束をプレゼントして大喜びし
お気に入りのチュッコ製のクリスタルガラスの花瓶にさす
カレリヤが不在の時、外で遊んでいた子どもが怪我をしたため
部屋に入れて介抱していると、花瓶を割られてしまい
それを見たカレリヤは激怒し、子どもたちを汚いもののように扱う
その件で大佐と大ゲンカとなるカレリヤ
大佐は長期の出張に行くことになり
その間、カレリヤはガーリャとうまくやれる自信がないと言い
ガーリャは自ら『子どもの家』に戻ると言い出す
大佐:お前はおじさんの大事な子だ 手紙を書くから返事をよこすんだよ
『子どもの家』に戻ったガーリャは、控えめでむっつりした子になる
ガーリャ:私のお母さんは誰なんですか? どうして捨てたりしたのかしら?
園長先生:
私も知らないのよ・・・
世の中には悪い人より、良い人のほうがずっとたくさんいるのよ
(こう教えてくれる人がいいな
●めぐり逢い
ガーリャはしょうこう熱でうなされる
熱がひいても元気にならず、なにもかもイヤになる
ガーリャの隣りのベッドにミーシカが来て喜ぶ
大佐からは手紙が2通来ていて、いつも想っていると書いてある
ガーリャ:園長先生は、私たちのお母さんね!
園長先生:知らなかったの? おばかさん
■解説
リュボーフィ
ソビエト児童文学の第一人者
1906年 モスクワの貧しい家の長女に生まれる
1914年 第一次世界大戦が始まり、父の田舎へ移住
画家になるのが夢だったが、児童雑誌『ピオネール』に勤めて作品を発表
自分が見た戦争の中の子どもの姿を書き続けた
本書でも、戦争犠牲者への優しいいたわりが響く
アデライダ・アレクサンドロヴナ・コトフシチコワ
レニングラードで活躍した女流児童作家
『ふしぎな少女』
『森の湖からきた子』など
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
ドイツ軍に母と弟を殺された少女が、農家に引き取られ
都会と違う生活に馴染めず苦労しつつも
凍るような冬から春にかけての自然の移り変わりに感動する
子どもの心理の描き方が素晴らしい
長女が母のマネをしたり、一段高いところからものを言う感じとか
客観的に見ると興味深い
それに、従軍している父がどんなにいい人であっても
敵側から見れば殺人をする側だと思うと、戦争の不毛さが分かる
『おかあさんは、どこ』 アデライダ・コトフシチコワ/作
『キャンディキャンディ』みたいな話
【内容抜粋メモ】
■町からきた少女
登場人物
シャリヒン家
母 ダーシャ
長女 グルーシャ
次女 タイスカ
末弟 ロマノク
祖父
ワーリャ 戦争孤児
●ネチャーエヴォ村
戦争は村から遠く、戦場から避難してきた人々が通る
母と弟を爆弾で殺されたワーリャは、近所の女性に連れられて歩きとおしてきた
ダーシャ・シャリヒンは同情してワーリャを引き取る
翌朝の朝食で、砂糖の代わりに塩を渡したりしてイジワルをするタイスカら
友だちはみな町の子が珍しくて見に来る
谷から粘土をとってきて、ままごとの茶器を作る話をするタイスカ
毎年飛んでくる小鳥の話も興味をそそる
ドイツ軍のことを聞かれて、爆弾が落ちたことを思い出すワーリャ
ダーシャ:お前は思いやりがないのかい?
●土曜日はお風呂の日
熱湯を金だらいに入れ、ペチカに置いて戸を閉め
白樺のほうきと新鮮なワラで体をたたくといい香りに包まれる
亜麻のタオルで体をふき、とてもいい気持ちになる
●名前の日
母の名前の日になにかプレゼントしようと計画する子どもたち
タイスカは汚れた皿や鍋を洗う
ロマノクはペチカの白壁に木炭で戦車の絵を描く
ワーリャはタイスカに言われてテーブルかけに花を描く
ダーシャはイタズラ書きだと思い叱るが、贈り物と知ると
なんていい子なんだろう!と喜ぶ
●お客
マーリヤおばさん:またえらく痩せた子じゃないか こんな子に田舎で何ができる?
祖父:
田舎で暮らすとは、土仕事をすることだから
土が好きでなきゃいかんが、お嬢さん育ちだからなあ
ワシリーサおばさん:田舎むきの子じゃないね
ウスチニアおばさん:いつまでたっても赤の他人さ
ダーシャ:
食べ物はみんなの分たっぷりある
私が悲しいのは、あの子がなつかないこと
私をお母さんとどうしても呼ばないんですよ
ダーシャは戦争に行っている夫にワーリャについて相談する手紙を書く
●留守番
ダーシャは駅まで薪を運びに出かける
家のことを任されたグルーシャは、イライラしてワーリャに意地悪ばかり言う
グルーシャ:マーリヤおばさんの言う通りだわ 荷のあげおろしひとつできない子よ!
暗い地下室にジャガイモを取りに行ったり、子うしのエサをもっていって
バケツごとひっくり返したりして、さらに怒られる
誰にも愛されないで、人間は生きていけるでしょうか?
タイスカはワーリャのカバンの中味を盗み見る
タイスカ:くだらない絵じゃないの
ダーシャが戻って、やっと安心するワーリャ
●種
おじいさんは、倉庫係で、小麦、カラスムギ、えんどう豆の種をえり分ける
ワーリャはいつ芽が出るか毎日見ていて、ようやく芽が出たとおじいさんに伝える
怒りっぽく、怖そうに見えていたおじいさんは、とてもやさしいと分かる
●ヒツジの子
子ヒツジが3匹生まれて、ワーリャは大喜びして世話をする
おじいさん:
うちの子は家畜にあまり優しくないが
あの子は、ここの暮らしに慣れるかもしれんな
●絵のお話
ワーリャはこれまでためてきた絵を出して、空想にひたる
マゼランが世界一周した話をすると、興味をもつタイスカとロマノク
●粘土をとりにいく
タイスカと友だちと一緒にネコヤナギをつんでいると
近所の男の子が追ってきて、遅れをとったワーリャはタイスカの名前を呼ぶと
タイスカ:私がやっつけちまうから、逃げて!
タイスカがケンカをしたのを叱られて
タイスカ:だって、うちのワーリャを殴ったんならケンカしても構わないでしょ?
おじいさん:そうさ、うちの者がやられたら、許せんぞ!
●春のお祭り ねり粉のヒバリ
ライムギのねり粉でみんなでヒバリをつくって、鉄板に並べて焼く
タイスカのヒバリは華やか、グルーシャは母のマネ
グルーシャは3枚羽の尾をつけた
●氷が流れる
川は荒れ狂い、男の子が乗った岸の氷も割れて流れ出すのを見て
とっさに水に飛び込んでロマノクを助け出すワーリャ
スラーヴィナおばあさんの家で介抱してもらうと
誰もワーリャをのけものにする子はいなくなる
タイスカ:うちのワーリャは勇気があるのね
ワーリャ:もしロマノクが弟なら、あなたも飛び込んだと思うわ
●あかが太陽を見る
急に日が照って、雪はもう消えている
農場長さんに聞いて、みんな一斉に家畜を牧場に放つ
子うしの“あか”もモーレツに喜ぶ
牡牛に追いかけられたワーリャは「ママ!」と叫んでダーシャに抱きつく
いいにくい言葉を一度言ってしまうと、繰り返すのはラクなこと
●戦地からの手紙
ようやく待ちに待った父からの手紙が届く
父:
人が何を言おうと気にかけず、ワーリャが自分の本当の家
本当の家族と思うようにしてやりなさい
●マツユキソウ
シラカバが花を咲かせた
おじいさんと一緒に外に出ると、ダーシャが畑を耕している
戦争で男性がいないため、女性が鋤を使っている
子どもたちはアミガサダケというキノコを集める
ワーリャは本当の生きているマツユキソウを見て感動する
ワーリャ:お母さん、これをお母さんに摘んできたの
■おかあさんは、どこ アデライダ・コトフシチコワ/作
●迷子
レニングラードの通りを泣きながら歩いている少女グーリャ
母は夫が戦死した後、再婚したが、急病で亡くなり
二度目のおとうさんはグーリャがいなくなっても探そうとしない
●ガーリャ・ママ
戦後11年目 『子どもの家』に新しい子ミーシカが来て、早速面倒をみるガーリャ
母は入院しているため、自分がママになるという
親類のある子は、手紙やお菓子をもらえたり、日曜に会えたりするが
ガーリャは“捨て子”なため、誰も来ない
●ワレルカ
ワレルカはガーリャにあげようと、母の家でもらったケーキを出すが
ポケットの中ですっかり潰れてしまっている
ガーリャは子どもたちの世話を優先して、算数の成績が落ちる
●ジーナ
ジーナの家に遊びに行くと、コーチャという弟がいてうるさくつきまとい怒るジーナ
4時半に帰ろうとすると
ジーナ:残念だけど怒れないわ あんたは“みなしご”だもの
ガーリャは傷ついて帰る
●ワーリャ
2か月前、子どものいない夫婦に引き取られたワーリャが
『子どもの家』に顔を見せに来たら
新しい服を着て、顔つきもすっかり変わったことに気づく
他の子:私のお母さんは、手紙もくれない 5歳の時だから何も覚えていない
マリーナ:親と暮らしても、私たちより不幸な子どももいる
●おわかれ
ミーシカの母が退院して、迎えに来る
ガーリャも一緒に暮らそうと誘い、困ってしまう
●軍人さん夫婦
ガーリャは園長先生に呼ばれて、軍人さん夫婦の前で質問に答える
パーヴェル・フェドートヴィチ大佐の家を訪ねると案内してくれる
夫人は潔癖症で、テーブルがけにコーヒーのシミをつくると怒るが
大佐は同じシミをつくって誤魔化してくれる
子どもがいない夫婦はガーリャを引き取る
自分の部屋を与えられ、「ママと呼んでもいい?」と聞くと
カレリヤ:呼ぶ必要ないわ カレリヤおばさんと呼ぶほうがいいでしょう
カレリヤの支配する家は埃ひとつ許されず
ガーリャは部屋から出なくなる
引き取られてから『子どもの家』に一度も行くことが叶わず泣くと
大佐は驚いて、電話をかけてみたら?と提案
カレリヤの決めた時間はキッチリでどこにも隙間がない
●があ子のトーニャ
転校した先でいじめられているトーニャと仲良くなる
トーニャの家に遊びに行くと、だらしなくしていても誰も怒らないため
カレリヤに隠れて、遊びに行くようになる
これまでお金について何も知らなかったため
父のいないトーニャの母が働いてやりくりしているのを見て驚く
●白ユリ
大佐の友だちがカレリヤに大きなユリの花束をプレゼントして大喜びし
お気に入りのチュッコ製のクリスタルガラスの花瓶にさす
カレリヤが不在の時、外で遊んでいた子どもが怪我をしたため
部屋に入れて介抱していると、花瓶を割られてしまい
それを見たカレリヤは激怒し、子どもたちを汚いもののように扱う
その件で大佐と大ゲンカとなるカレリヤ
大佐は長期の出張に行くことになり
その間、カレリヤはガーリャとうまくやれる自信がないと言い
ガーリャは自ら『子どもの家』に戻ると言い出す
大佐:お前はおじさんの大事な子だ 手紙を書くから返事をよこすんだよ
『子どもの家』に戻ったガーリャは、控えめでむっつりした子になる
ガーリャ:私のお母さんは誰なんですか? どうして捨てたりしたのかしら?
園長先生:
私も知らないのよ・・・
世の中には悪い人より、良い人のほうがずっとたくさんいるのよ
(こう教えてくれる人がいいな
●めぐり逢い
ガーリャはしょうこう熱でうなされる
熱がひいても元気にならず、なにもかもイヤになる
ガーリャの隣りのベッドにミーシカが来て喜ぶ
大佐からは手紙が2通来ていて、いつも想っていると書いてある
ガーリャ:園長先生は、私たちのお母さんね!
園長先生:知らなかったの? おばかさん
■解説
リュボーフィ
ソビエト児童文学の第一人者
1906年 モスクワの貧しい家の長女に生まれる
1914年 第一次世界大戦が始まり、父の田舎へ移住
画家になるのが夢だったが、児童雑誌『ピオネール』に勤めて作品を発表
自分が見た戦争の中の子どもの姿を書き続けた
本書でも、戦争犠牲者への優しいいたわりが響く
アデライダ・アレクサンドロヴナ・コトフシチコワ
レニングラードで活躍した女流児童作家
『ふしぎな少女』
『森の湖からきた子』など