メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ホテル・ルワンダ

2006-10-01 12:28:12 | 映画
『ホテル・ルワンダ』

以前、予告を観てから気になってた今作を、会社の映画好きなSさんから借りて観た。
先日、感動レポを書いた『クラッシュ』の男優・ドン・チードル主演。
アフリカで長いこと敵対してきたフツ族ツチ族がついに紛争に発展。
フツ族リーダーはラジオを通じて連日プロパガンダを流して敵対心を煽る。
「ツチ族はゴキブリ。みんな駆除しなければならない」

4ツ星ホテルの支配人・ポールはフツ族だが、妻、兄夫婦はツチ族。
なにかあった時のためにと軍人、政治家など要人、権力者に賄賂を渡して
コネクションを作っていたが、街での大量の無差別虐殺、レイプ、
放火などの混乱の中、ホテルは難民収容所と化してゆく。

とりあえず門兵のいるホテル内より、たった1km先の道にあふれた死体の山と
ナタで切り殺している映像を撮影した欧米の記者が言った言葉が重い。
「これを世界中のニュースで流しても、”あ~怖いね”といって夕食をつづけるだけさ。」

現地で実際、パワーを持つのは欧米の軍隊。でも、救助部隊すら丸投げして撤退。
「ルワンダを救ってもなにも得にならない。君たちは黒人で、ニガーですらない」
これも深い問題のひとつ。

USドル、酒、葉巻、車、女などが賄賂の主なアイテム。
人の命とも交換できるモノの力。ある意味、単純なシステムだけに、
これらが人に与える影響の大きさまでも考えさせられた。

まずは、自分の家族ありき。
常に不安定な政情の国に住む者は、わたしたちの考える「家族」という集まりより
ずっと強い絆で結ばれているのかもしれない。

そもそもどうして憎み合い、殺しあわなきゃならないのか。
モノを持つ人、持たない人、背の高い人、低い人、色の黒い人、白い人、
みんな違うから素晴らしい。
他人と比べることで生まれる「優越感」「卑下して屈折する心」
わたしたちは日常の1分、1秒、他人と自分を比べない日はないくらいだ。

そして、本作がもっとも訴えたかったこと。
自分の命と同様に、人の命を思い遣る心
自分も犠牲にすることなく、自分の利益を省みず、
扉を開いた状態で、分け与え、支えあうということ。
極限の状態にあっても、平穏な日常にあっても、自然に分け与えられるということは
難しいゆえに素晴らしい。


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