メランコリア

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失敬な招喚 エドワード・ゴーリー/著 河出書房新社

2021-05-04 14:10:52 | 
訳/柴田元幸 1971年著 2018年初版

「作家別」カテゴリー内「エドワード・ゴーリー」に追加します


思いっきり悪魔っぽい悪魔が突然蹴りを見舞う場面から笑





ぐるぐると回すと
悪魔のしるしが胸についているのを見る






翌日、奇怪な鳥が入ってきてレシピを渡し
奇怪な料理を作る
ちょっと微笑んでいるのがおかしい






一冊の本を渡されて
そのタイトルも悪魔的






トーストを焦がしたり
牛やガチョウをひっくり返したり






蝋人形を作って隣人を病気にしたり






目のついた石や
叫んだりため息をつく植物を見つけてくる
壁にかかってる絵も不気味






悪魔がすぐに戻ってきて
髪の毛をつかんで屋根から連れて行く

そのまま地獄の火の中に落として行って
これでもうおしまい






なんとも救いようがない話したけれども
これがゴーリー流のユーモア



いつも楽しみな「訳者のあとがき」

本作は雑誌『ナショナル・ランプーン』1971年が初出
『ナショナル・ランプーン』は1969年にハーバード大学の学生が創始し
辛辣なパロディと黒いウィットで一世を風靡したユーモア雑誌

当然ながらゴーリーは何度か登場している
本作は『ランプーン』への最初の最重要級の貢献である

その他1975年12月号の表紙に使われた
『心温まるクリスマス』と題した
悲惨な家庭に見当違いのプレゼントを持ってきた
金持ちたちを描いたイラストレーションもある
瀕死の子どももちゃんと?入っている

本作は悪魔に襲われた女性が魔力を得る
再び悪魔がやってきて…というお話

なぜ『失敬な召喚』なのか?

バルザックの『人間喜劇』の中で
「リスペクトフルサモンズ」という言葉が何度か出てくる
「表敬召喚」とでも訳すのか

結婚を望む若い男女が
父母の忠告を求める義務を指す際に使われる用語のようである

本文中では韻を踏んで訳したので
以下に正確な散文訳をあげておく


(柴田さんの完璧なセンスのある韻を踏んだ文章が
 ゴーリー翻訳本には欠かせないけれども
 こうして直訳ものせてくれるなんてとっても親切


奇怪な鳥が持ってきたレシピは
粉々に砕いたちびた鉛筆と泥で作ったキャンディ
『やってみたい92の完璧な邪悪なこと』という本/笑

この作品は1973年に他の2作とセットで
ゴーリー自身の出版社ファントッドプレスから刊行された

世界的なゴーリー収集家の濱中武信さん訳により
『ミステリーマガジン』2009年11月号に掲載された

これをもとに作った実写とアニメを組み合わせた
短編映画(!)が YouTube に2本あがっている
どちらもスペイン語訳が付いているところが面白い
(見てみたい!!


悪魔とか地獄とかキリスト教の考え方がまんま出ている
型破りなゴーリーですら
熱心な信者だったのだろうか

訳を読んだ上で原文の韻のリズムで読むのもまた楽しい
普段聞かないような単語が
たくさん入っているけれども



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