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『僕とポーク』ほしよりこ マガジンハウス
ご存知『猫村さん』を描いてる作者による2007年発売の本。
大きさも、絵のタッチも、通じるものがありながら、ちょっと考えさせられるエピソードが多い。
『たろちゃん』
たろちゃんは、砂場近くの会社にいるずっと年上のお兄さんと友だちになりたくてしょうがない。
「ネットがあればメールを送るよ」と言われ、しつこく両親に「ネット買って!みんな持ってるんだよ」とせがむ。
土木系のお父さんは、そんなもの必要ないと思ったが、親方ですら遠く離れた孫の写真や画像をやりとりしたり、
奥さんのブログにコメントしたりしてると知ってショックを受ける。
お母さんも同様、友だちの奥さんがブログを書いたり、通販ショッピングをしてると聞いて、「そんなに便利なのかしら?」と悩む。
ネットから今度は「ケータイ買って」と言い出すたろちゃんに、お兄さんは「もう2人は友だちなんだよ」と言われ、
両親が真剣にネットを買うことを検討しようとした頃には、「もういらないよ~」と平気なたろちゃんw
『僕とポーク』
いつもご飯をちょこっとだけ残してしまうイサオは、親から「外国の貧しい人たちの中には水も飲めない人もいるんだぞ」といつも叱られている。
「残したご飯をあげる」と言い、「そんな残りもの、送るまでに腐ってしまって失礼でしょ!」とまた怒られる
考えたイサオは、自分の残飯を近所の養豚場にいるブーちゃん
に食べさせ、ブーちゃんを外国に送ることを思いつく。
だが、毎日エサを与えていると情が移り、先延ばしにしているうちに、イサオは大学生になり、ある日ブーちゃんは老衰で死んでしまう。
ブタのことで興味を持ったサークル仲間の佐倉夕子と結婚して、ブーちゃんのことを思い出しつつ、
「トンカツ食べたい」ってセリフがなんだか納得できないんだけどね
しかも、
「テニス風サークル」ってw 実際の運動はしないけど、それ風の格好でブラブラするサークルなんだってw
『文豪の苦悩・・・・』
美人のちいママのいるスナックは常連さんでいつも賑わっている。
売れない小説家
Vネックはいつも「女は得だよなー」などと愚痴をたらたら。
小説家を諦めて画家になったジェリーは「日曜画家」と呼ばれるのが悔しいから平日にちょこっと描いてる。
有名な小説家・榊原雄山先生と、大ファンの出前係・モンちゃんがいる前で、どうしてちいママになったかを語る。
入院先の病院で、チンピラに尽くす看護婦に同情して、ママさんに言われて彼を誘惑して別れさせ、
チンピラに言い寄られているところを「うちのちいママに手出しはさせないよ!」と言ったのがキッカケなんだってw
それをいつか小説にして売り出すのがちいママの夢。
『鳥』
電線に止まった鳥たちが、みんなで声をそろえて「昔はよかったよね~」って話してたんだけど、
次のページで誰かが「今ほどじゃないけどね」て言い始めたら、みんなで「今ほどじゃない~」て言い始めるってゆうたった2ページのマンガw
それにしても、なんだろうこのフシギな昭和感w
著者の年齢を見たら1973年生まれってゆうからまた驚いた
どこか「おばちゃん的」な感覚が漂うセリフや絵は、個性または狙って描いてるってことだよね。
エンピツの線に水彩絵の具ってゆういわさきちひろみたいなシンプルさとともに、
このなんとも言えない昭和チックなセリフと展開でもって、猫村さんとはまたひと味違ったほしよりこさんの世界が味わえる1冊でした~。