メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少女・世界推理名作選集 26 あらしの夜の出来事 キャロリン・キーン/著 金の星社

2023-06-24 10:42:15 | 
1965年初版 1989年 第20刷 塩谷太郎/訳
ブックデザイン・カバーイラスト/依光隆 挿画/野々口重

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください








少女・世界推理名作選集はキーンとサットンの作品が多く
少女探偵ナンシーシリーズも初めて読む私は
子ども向けと想像してたら
ものすごい行動力とタフなスーパーガール!

怪しい人物が次々現れて
新しい事件も次々起きて
互いに絡み合っているのかも分からず
どう伏線を回収するのかとハラハラドキドキ

夏休みの数日の出来事とは思えない冒険
ほかの巻も全部読みたくなった


【内容抜粋メモ】

登場人物
ナンシー・ドール 探偵好きな少女
ベス・マービン ナンシーの友だち
ジョージ・フェイン ベスのいとこ

ドルー弁護士 ナンシーの父

オーエン夫人
チャールズ・オーエン

モース 多額を持ち歩く謎の老婦人
ミッツア モースの金を狙う青年




●開園式




ナンシーはベス、ジョージといっしょにハリスン公園の開園式に向かう
途中ではぐれたブルテリアがついてきて離れない(イラストは犬種が違うのでは?
3人はトーゴと名付けるが、とんだイタズラ者であちこちで迷惑をかける






オーエン夫人がスピーチをする予定だが
トーゴがバッグを盗んで池に落としてしまう
原稿の草稿がなければ話せないと困るオーエン夫人

ナンシーは園丁を呼び、ボートで池の中のバッグを取り戻す
ヒーターで原稿を乾かす時、「レクシー、帰宅されたし 万事ゆるす アリス」という
広告の切り抜きを見てフシギに思う






●ささやく少女
オーエン夫人は演壇に立ち、つかえたところは後ろに隠れたナンシーが助ける
スピーチは大成功でとても感謝される






ナンシーの姿が昔見た彫像に似ていると話す
シークリフという町のコンガー邸にある


●謎の老婦人
夏の休暇にナンシーらは父のドルー弁護士に海の避暑地に連れていってもらう
そこは偶然にもシークリフ

父の顧客の名前がチャールズ・オーエンという名前で
オーエン夫人と親戚ではないかと思う

汽車の中にまでトーゴがついてきて
老婦人に突進し、ケープが落ちた時、札束をたくさん隠しているのに気づく

向かいに座る青年もそれを見て、親し気に話しかける様子を見て
老婦人の金を盗むつもりだと疑うナンシー

老婦人はモース、青年はミッツアという名前と分かる
ナンシーはモースに警告するが突っぱねられる






●モース夫人のゆくえ
ナンシーらは海のそばのホテルに滞在
モース夫人を知る者がいないか聞いて回るが誰も知らない

モース夫人のスーツケースが間違えてホテルに届いて困惑する





リューマチで温泉に療養に来たトリクスラー氏を送り迎えする代わりに
その間は自由に車を貸してもらえることになったナンシー


●ミッツアの悪だくみ
ミッツアを町で見かけて、隠れて話を聞くと
仲間に協力させてモース夫人の金を盗む計画をしている

レストランを1万ドルで買おうともちかけ
ミッツアと半分ずつ金を出し合うという流れ


●ジャック




ボートで遊んでいると、足がつって溺れているジャックを助けて親しくなる
家に招待されて、コンガー邸について聞く

元は金持ちだったが、娘が悪い男にひっかかり駆け落ち
夫の巻き添えで逮捕され、釈放してもらった際に大金を使った

コンガー氏が亡くなり、家は荒れ果てて海に沈みそうだが
娘に遺して、彼女は行方不明なためそのままになっている

3つの像はたしかにナンシーにそっくり






●請負師
この屋敷を買いたいという外国人が来て、ナンシーが主だと思い込む
彼のサルが逃げ出して、屋敷に入る
いくら呼んでも出てこないため、諦めて去る

ナンシーはピーナッツで空腹のサルをおびき出してつかまえ請負師に返す


●キャンプ場の女
トリクスラー氏がキャンプ場にモース夫人がいるという情報をくれて
早速行くと、同名の別人

子どもがモース夫人のスーツケースのカギをいじって
中身が出ると、メイクや若い女の服が詰まっていてフシギに思う


●オーエン氏
オーエン氏はワームロースと共同で仕事を始めたが
倉庫に泥棒が入り、その後、ワームロースは新しい会社を作ったことから
泥棒は彼の仕業ではないかという相談

重要な書類が盗まれたことに気づき、ナンシーは父の部屋にボタンを見つけ
奥の部屋に逃げ込む男の姿を見かける

女中の服を買って変装し、ベッドメイクに入ると
ボタンの取れた服と、父の書類を引き出しから見つける

父に言うと、男はシラを切る







●飛行機事故
オーエン氏は命を狙われているかもしれないから
ナンシーが見守ってあげると提案し、父は早速電報を出す

ジャックらと釣りに出ると、飛行機が不時着して操縦士は睡眠薬を盛られて意識不明
老人は彼をかついで、ジャックの投げた救命具につかまりなんとか助かる
老人がオーエン氏だと分かる






●アルビン氏の話
キャンプ場でミッツアを見かけ、モースからの手紙を持っている
トーゴがじゃれついて手紙を破いてしまう
見ると「今夜、5000ドルを持参します」とある

アルビンという老人からコンガー邸について聞く
フレッド・コンガーはアルビンの親友

船の模型を作るのが好きで精巧な模型が屋敷にあるのに
朽ち果てるままになっているのが残念でならないと嘆く

フレッドは娘バーニスを愛していたため
バーニスのふりをして数年ハガキを出したら
娘に全財産を遺して亡くなった
バーニスが戻らないと屋敷は誰も手がつけられない






●オーエン氏の秘密




心臓が悪く、興奮すると昏睡状態におちいるのを知らず
ナンシーはオーエン夫人は親戚かと聞く

オーエン氏の妻は昔に死んだ
ボルネオに行っている間、病気だったのに気づかず
帰宅したら、別の家族が住み、妻の埋葬場所も分からない

妻の名前がアリスで、オーエン氏のあだながレクシーだと分かり、早速、電報を打つ
興奮したため、また昏睡状態になり、責任を感じるナンシー

なぐさめるために、ジャックはまたコンガー邸に連れて行くと
明かりが信号のように光るのを見る

アリスは本当に妻で、2人は感動の再会を果たす


●彫像のささやき
またコンガー邸に行くと、モース夫人とミッツアが来る
ミッツアに泥棒をやめさせようと、ナンシーは彫像の後ろから
「てをひけ」とささやくと、ミッツアは金を置いて逃げ、警官に追われる





ミッツアの落とした札束を拾うとニセ札
ミッツアは警官をまいて屋敷に入る

ナンシーはモース夫人にミッツアのニセ札を見せて、また警告するが
なにかワケがあるらしく信じない

警官に包囲されていると気づいて、ナンシーは縛られて監禁される







●モース夫人とミッツア
モース夫人の本名はバーニス・コンガー コンガー邸の娘
そして、ミッツアは駆け落ち相手との息子だと明かす

あまりのショックにミッツアは屋敷を放心のまま出る
ナンシーは縄を自分でほどき、嵐で傾く屋敷にモース夫人と閉じ込められる











外で待っていたベスとジョージは、ドルー弁護士に事情を話し
コンガー邸に戻ると、屋敷はもう海に流されている

沿岸警備隊を呼び、ロープで救命胴着を渡すと
先にモース夫人が来る

その次に、アルビン氏の言っていた船の模型を抱えてナンシーも来る!







モース夫人はひどい風邪をひいて、亡くなった

ささやく少女の像はホテルの敷地に置かれ
除幕式にナンシーがカーテンを引いて、みんなを驚かせる



解説
これは「ナンシー・ドルー・ミステリー・シリーズ」と呼ばれる
ほかにもキーンはダナ姉妹の推理作品が親しまれている

今日、アメリカで偉大と言われる人物はたいてい推理小説の読者である

ヴァン・ダインは推理小説をクロスワードパズルと比較して
共通要素があり、それが読者をひきつけると言っている










コメント

少年少女世界推理文学全集 No.10 学園の名探偵 ヒルトン著 あかね書房

2023-06-24 10:13:18 | 
1985年 第35刷 高橋豊/訳 駒埼晶子/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


「スパイの秘密」と「学園の名探偵」の2作
これまで読んだ推理小説とは違った「スパイ小説」というジャンルらしい

戦争中のスパイの話は短編をつなげた感じ
とても陰鬱な空気が漂い、読後の後味が悪くて
すぐに2つ目の話に移ったほど

著者の体験に基づいていると聞いて納得
平和な時代、平和な国に生まれて本当にありがたいなあとしみじみ思う

それにしてもこの全集で使われているイラストレーターは独特だな


【内容抜粋メモ】

スパイの秘密
第一次世界大戦の最中、イギリスの作家アシェンデンはR大佐から
数か国語を話せて、作家は煙幕になるという理由で
スパイにうってつけだと言われて協力することにした

スイスのジュネーブに行き、1か月が過ぎた
当時、ドイツ側はインドに駐留するイギリス軍を釘付けにするため
内乱を起こそうとして地下活動をしていた

スイスで国際スパイ活動をすると最低2年は刑務所に入れられるため
さとられないように細心の注意を配る

週に2度、指令を受けに行く
早朝に市場に行き、百姓のおばあさんからバターを買い
おつりをもらう際、手紙を受け取る

彼女は息子が西部戦線で戦っているため危険な任務を引き受けた
大きな胸の下に手紙を隠して国境を越えてくる!

ジュネーブはウイーンとともに、スパイの都!
あらゆる国のスパイが活動している

アシェンデンはミス・キングと呼ばれる老女と知り合いになろうとするが嫌われる
彼女はエジプトのアリ殿下の2人の王女の世話をする英国婦人

ミス・キングが急病でアシェンデンに会いたいと言っていると呼ばれて驚く
なにか重要な情報を伝えようとしているが体がきかず涙を流す

「トルコが・・・」とひと言言って亡くなる
その3日後、トルコはロシアに宣戦布告し、イギリスに攻撃を開始した



アシェンデンはルーティンに退屈し、スパイと思われるヒギンス男爵令嬢と交際していると
R大佐から注意され、アシェンデンの行動もまた監視されていることに気づく

チャンドラー・ラールというインド独立党員の幹部は
各地で爆弾事件や暴動を起こし、国外に逃れた

亡き妻に似たイタリア女性ジュリア・ラザリーナという踊り子に書いたラブレターを使い
スイスの国境を越えてフランス領におびきだし、射殺する計画

スパイ容疑で刑務所にいたジュリアは大佐に脅されて自供書を書かされたと話す
チャンドラー宛てに会いに来てくれと手紙を書かせられる

ホテルに1人で自由にさせておくと
諜報部員フェリックスの報告で逃げ出そうと試みたことが分かる

チャンドラーからフランス領に行くのは自殺行為に等しいからムリだと返事が来る
ジュリアはこれは罠だから来るなと手紙を渡そうとして、それもバレる

2人の刑事に囲まれ、手紙を書かなければ、また刑務所に送ると脅す
会いに来れないなら、パリへ行くという手紙を仕方なく書く

チャンドラーはついに国境を越えるが
罠に気づいて、用意していた青酸カリを飲んで自死

ジュリアにチャンドラーの死を伝え、希望していたスペインの切符を渡すと
チャンドラーにプレゼントした腕時計を返して欲しいと言う



R大佐はグスターフの報告書を見習うようにと読ませる
彼はドイツの情勢を暗号の手紙で妻に送り
妻はアシェンデンに渡し、中から重要と思われるものを本部に知らせる流れ

そのグスターフの仕事ぶりを監視する仕事
連合国軍、同盟軍、両方に適当な情報を送り、金をもらっている疑いがある

それを見逃す代わりに、スイスにいるドイツ側のスパイのイギリス人
グラント・ケイパーについて知らせたら2000フラン支払うと持ちかける

ケイパーは植物学者で、ほぼ毎日歩き回っているという噂
妻はドイツ人でイギリス人を心底憎んでいる様子

ケイパーは戦争前からドイツ情報部の仕事をしていて
最近は、ドイツで活動する連合国側のスパイを暴いていたため
R大佐お気に入りの若いスペイン人が銃殺され、暗号も解読された

ケイパーが金をもらえばイギリス側につくかどうか調べるのが
アシェンデンの任務

ケイパーの自慢のスコッチテリアを褒めて近づき
ドイツ語の個人教授を探していると言って、夫人に頼む

ケイパーは新しい商売を始めるという理由でベルンに行ったが
本当はフォン・M少佐と会っていた

最近、ケイパーが仕事をしないので注意し
イギリスに行って情報を探るよう指示した

ケイパーはアシェンデンが検閲局に勤めていると聞いて
仕事を紹介して欲しいと頼む

その後、ケイパーからの手紙が届かないので
郵便局員に問い詰める夫人

愛犬が長く物悲しい遠吠えをしたため
ケイパーの運命を知ってよろめきながら出て行く



アシェンデンは、横浜から敦賀を経由して(!)
ウラジオストクからシベリア鉄道でペテログラードに向かう

イギリス領事館の通訳ベネディクトは
アメリカ人のハリントンという商事会社の男が一緒だと伝える

10日間の旅の間、潔癖症のハリントンはトイレでの身支度を忘れず
下着、シャツも着替えるほど

ロシアはケレンンスキー政権が危うく、大飢饉になることも分かっていた
戦前チェコからアメリカに亡命した神学者オルト博士に通訳を頼む

ハリントンの通訳には、以前婚約したことのある女性を紹介した
アナスターシャ・アレクサンドローウブナの一家は
毎朝いりたまごを食べると分かり結婚を諦めたw

1917年 大暴動が起こり、内閣の大臣は捕らえられ
レーニンとトロツキーが政権をとった

暴動軍の死刑名簿にアナスターシャの名も入っていると逃げてくる
逆にハリントンはようやく契約がとれたと喜び
そんな契約は無効だと聞いて驚く

今すぐ列車に乗らないと帰国できなくなるという事態なのに
ホテルのボーイに洗濯を預けたシャツを取り返すと言って聞かない

町中に戦車が来て、いきなり機関銃を撃った
アナスターシャと見に行くと、ハリントンは
シャツを大事に持ったまま死体となっていた



学園の名探偵
コーリン・レベルは、母校オーキントンのローズビア校長から手紙を受け取る
今は作家のレベルが以前小さな事件を解決したことを思い出し協力して欲しいとのこと

ウィルブウラム・マーシャルの弟ロバートが
寄宿舎のベッド上にあるガス灯が落ちてきて頭に命中して死んだ

マーシャル兄弟の叔父で舎監のエリントンが見回った時は何も異常はなかった

兄弟の後見人グラーム大佐が荷物をまとめて欲しいと言われて見ると
事件の夜に遺書っぽい手紙を遺していたことが分かった

学校の名誉を守るために警察沙汰にはしたくないが
しばらく泊まって監視してもらいたいという依頼

美しく、優しいエリントンの妻ロザムンドと親しくなるレベル
日曜のお説教をするダガット牧師の口ぐせは「神のおぼしめし」

ランボーンは戦争で毒ガスにやられてから砲弾恐怖症になった
校長は医学博士で、なかなかのしたたかものだと話す

校長は急に今回は偶然の悲劇的事故だったと意見をかえたため
レベルもロンドンに帰る

半年後、今度は兄のウィルブウラムが水のないプールに飛び込んで
死体で発見された記事を読む

飛び込み台の上に彼の腕時計が置かれていた
プールの電灯はなぜかヒューズが切れていた

さすがに事件性を感じて、再び校長を訪ねて、調べるレベル
兄弟が死んで多額の遺産をもらうのはエリントン

ウィルブウラムの遺体を見せてもらうと包帯に巻かれて顔が分からない
レベル:これは絶対、殺人事件だ!

事件当夜、エリントンを見かけたと話すランボーン
エリントンは間もなくアフリカで農業経営する計画

ロバートのベッドの上は中二階の古い病室で
はめ板を外せばガス灯に工作することが可能と分かる

そこにガスリー刑事がきて、ウィルブウラムの後頭部に
ピストルの弾丸を見つけたと話す

後見人が事件を疑い警察に捜査を依頼した
レベルも内部で調査して欲しいと頼む

校長に改めて話を聞くと、ロザムンドは夫がロバートを殺したのではないかと怯えていることから
レベルを呼び、遺書をでっち上げた

その後、エリントンのピストルがなくなったことが判明
校長は自殺説を推すが捜査に協力することにする

ガスリーが尋問する間、隣りの部屋で聞くよう言われる
エリントンの話が校長と同じであることに不審を抱く
クリケットのバットも紛失していた

ランボーンはプールにいたのを見られていた
その夜、プールに行って死体を見つけたことを明かす

エリントンが犯人だと思い、クリケットのバットに血をつけて隠した
ランボーンは神経衰弱で気絶して、ロザムンドが介抱する

ランボーンはそのまま死体で発見される

ロザムンドはランボーンがエリントンを殺すつもりで
間違えてロバートを殺したと告白したと話す

死体の解剖で睡眠薬を飲みすぎて心臓麻痺を起こしたと推定される

ランボーンの兄ジョフリーがレベルを訪ね
ランボーンの財産をロザムンドに遺していたと話す

弟は自殺するような人間ではないとほのめかし
レベルはランボーンの告白はロザムンドをかばうためのウソだと気づく

真犯人について書いた手紙を出すところだとロザムンドに話すと
お喋りが長引いて、集める時間が過ぎる

その後、部屋で小説を書いていたレベルは銃で狙われる
ガスリーの助けで、ロザムンドが犯人だと分かる

ロバートの事件は事故だったが
それをきっかけに兄弟の財産を手に入れようと計画したロザムンドは
夫を犯人にしたてた

好意を寄せていたランボーンに睡眠薬を盛ったのもロザムンド

ジョフリーは兄ではなくガスリーの部下ターナー



作者と作品について 高橋豊

サマーセット・モーム「アシェンデン」
生まれはフランス 作品はすべて英語
ゴーギャンの一生について書いた『月と6ペンス』ほか
自分をモデルにした小説も書いた
本書もモームが第一次世界大戦でイギリス情報部に勤めていた経験を土台にしている


ジェームズ・ヒルトン 「学園の名探偵」
イギリスの作家 1900年生まれ
『チップス先生、さようなら』で流行作家となった(!
長編推理小説は本書の1編のみ



読書の手びき 滑川道夫

「スパイ小説」
スパイ:
軍事探偵、秘密諜報機関支配下で活動する部員のこと
敵の情勢をいちはやく味方に通報して
戦争を有利に導くことが大事な任務

第二次世界大戦の様相はさらに深刻化
第二次世界大戦を扱ったエリック・アンブラー、エセル・ヴァンス、
ヘレンマキーンズなどのスパイ小説が生まれる源泉となった

推理小説を面白く読むには、どこまで読んだ時に犯人を発見したか、という点にも関わる


コメント

少年少女サスペンス推理 6 海に消えた男 ジョン・ガン/作 学研

2023-06-23 18:41:50 | 
昭和51年初版 片岡政昭/訳 霜野二一彦/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


「少年少女サスペンス」シリーズは「推理編」と「冒険編」に分かれている
はじめに「推理編」をまとめて借りてみたら
今作は推理小説というより少年少女の本格的な冒険物語だった







海では朽ちた桟橋、山では廃坑
危険なほどワクワクする子どもたち

挿絵がないと板をどうしたとか詳しい動きがよく分からないのが残念

橋の下に寝泊まりする浮浪者を装う男が
ものすごい怪しいと思っていたら違った

男の子の世界もなかなか厳しいねぇ・・・弱肉強食そのもの
常に巨勢を張って“男らしさ”を誇示してないと舐められる

コリの父は刑事なのに、息子の“教育”のためには本気で殴るのもDVだし/汗



【内容抜粋メモ】

登場人物
アンドリュー・ブレーク プリマルの中学校に転入
イワン アンドリューの弟
医者のレッツ夫妻

コル・ウィートレー
バーバラ コルの妹
ウィートレー警部 兄妹の父
チャールズ
スミス ガキ大将
ゆかいそうな青い目の男


●転入初日
アンドリューとイワンの兄弟は、父の事業が失敗し、母が病気で手術するため
医者のレッツ夫妻の元で暮らすことになった

転入初日、登校の道すがら
鉄道陸橋でコルとバーバラの兄妹に出会う

汽車が大好きなコルは、大音量で通りすぎる列車をしょっちゅう見に来ている
父は主任警部で、家は警察署の裏

ガキ大将のスミスは、いつでも取り巻きを連れて、コルをいじめているが
アンドリューの体がデカいから、ケンカしたら勝つだろうと言う

イワンを小学校に預けて、帰りに迎えに行く約束をする

中学校に着くと、校長の隣りにコルの父ウィートレー警部がいて
製鋼所強盗事件について話す







●製鋼所強盗事件
終戦の1か月後、製鋼所の給料4万ポンドが奪われた

一団は逃げる際、海で嵐に巻き込まれたが
そこで助かった1人“ゆかいそうな青い目の男”が
近所に潜伏している可能性があるため
なにか見たら報告するよう協力を要請する

男子は興奮し、コルはその大金を見つけようとアンドリューを誘う
なにか見つけることができたら賞金が出るが
警察官とその家族は規則によりもらえないのを残念がる

鉄道陸橋の下を“司令部”として4人で計画しようと決める

帰り道、スミスと取り巻きが絡んできて
アンドリューは何発かパンチを見舞ってケンカに勝つ






イワンを迎えに行くといない

頬の傷を見て、レッツ夫人はケンカを咎める


●司令部
午後5時に口笛を吹いてコルが来たが
夫妻に叱られて行けないとジェスチャーすると
夫妻が寝てから0時に司令部で落ち合うことにする

レッツさんは、犯人と格闘した警官の手当をした時
ボートがひっくり返って3人が海に飲まれ
助かった1人は、まるで桟橋近くの水面を歩いているように見えたとフシギな証言をした

バーバラは食べ物を持ちより、司令部にも少しストックを置く
コルは父のデスクから関連書類を持ち出して返すタイミングを失ったと話す
一時的にアンドリューが持ち帰り、隠すことにする


●フシギな浮浪者
イワンは古いスーツケースと毛布を見つけてくる
詩人を自称するチャールズという老人が現れて、持ち物を返す

書類が警察署から盗まれたことが新聞の一面に載り
チャールズが怪しまれる

自分たちのせいで逮捕されたらどうしようと心配したが
ウィートレー警部とすっかり仲良くなって出てくる
自分たちの計画を話す








●海の上を歩く男
桟橋の辺りが怪しいと思い調べていると
同じようにお金のありかを探るスミスらが来て
橋に使った板をはずしてしまう







知恵を働かせて、なんとか岸に着く
警官が証言した“海の上を歩く男”も同じように
板の上を滑っていたのではないかと推理する
(この辺の描写も何をしているのか分かりづらい/汗


●イワンの子犬
イワンは子犬を拾い、チビと名付けて夢中になる
アンドリューは書類を読んでみるが、難解な上、新しい事実はなくガッカリする
警察では、金はボートに乗せず、ブッシュの小屋に隠したのではないかという見立て

コル:“ゆかいそうな青い目の男”はボートの係で金を隠した場所を知らないんだ

チャールズは山に人目につかない小屋があると教える
土曜日に4人で行くことに決める


●廃坑
イワンはバスケットにチビを入れて内緒で連れてくるが、すぐにバレる

廃坑そばの小屋の戸口に蜘蛛の巣がないこと
山道に人が歩いた跡があることから、犯人グループはここに潜伏していたのを
警察の捜査で見つかり、嵐の中をボートで逃げようとしたのではないかと推理






銃の発砲音と、山の崩れる音がする
入口をふさがれ、5人は閉じ込められてしまう
“ゆかいそうな青い目の男”の仕業では?

コルは頭上5mに出口を見つける
トロッコに板を乗せて、組み合わせ、器用に坑木を登る

嬉しさで「出口が見つかったぞ!」と叫んだ声が犯人にも聞こえたらしく
救援を呼びに行く前にまた岩でふさがれてしまう







●脱出
疲れきったコルは9mも下に落ちて、下が水だったために奇跡的に助かる
先へ進むとさっきより大きい出口が見つかり歓喜する







暗くなった林を歩いて戻る途中、チビを落として、驚いた子犬は逃げ
ようやく見つけると、狭い縦坑に落ちてしまう

チャールズ:
ここは壁が崩れて、狭いから危険だ
君たちは野宿をして、私が1人で山をおりて救助を呼んでくる


●ゆかいそうな青い目の男
チャールズが出かけると、コルは試しに穴に下りてみようと
モンキーロープを切る

バーバラ:男の子は、自分が一番いいと思ったことをしないでいられないんだわ

そこにとうとう“ゆかいそうな青い目の男”がやって来て
銃で脅して小屋に連れていき、手足を縛る
金は見つけられていない様子

ゆかいそうな青い目の男:逃げる準備をする間、静かにしていろ







3人で喋っていると、イワンの片手が縄から抜けてしまうw
他の2人の縄もほどいて、逃げたら男に見つかってしまうから
逆におびき寄せて網にかけようと罠を準備するアンドリュー

カンテラの火を移すと、あっという間に火事が広がり
様子を見に来た男に網をからげて身動きがとれなくして
バーバラは奪った銃を向ける









体中を縛って、木の下で銃を構えて見張ろうと言って男を残して
穴に落ちたコルのもとに戻る

チビは穴から持ち上げたが、コルはムリ
そこにようやくチャールズとウィートレー警部、救助隊が駆けつける

ウィンチでコルを持ち上げ、ゆかいそうな青い目の男、サンディ・ウィリアムズを逮捕する


●穴底の4万ポンド
サンディは金のありかを知っているフリをして
刑期を終えたら戻って来ると言うが

コルが落ちた穴にスチール製の箱があり、中にびっしり札が詰まっていた









コルとバーバラは賞金はもらえないが
アンドリューはもらう資格があると聞いて
両親が諦めた土地にあてられる希望が出る

イワンにはチビの首輪、コルとバーバラには
ずっと欲しがっていた自転車をプレゼントする約束する

チャールズには何もないが、子どもたちの元気な笑顔だけで満足する

(最後の文章の意味もよく分からない

前を歩く他の大人たちの広い背中は別に振り返りもしなかった
この人たちは、つい1、2秒前、この世のすべてがクズのように投げ捨てられ
今や、もっと素晴らしい、明るいものに変わったことを知らないらしい
こんなことは、子どもたちが幸福な時には、よくあることなのだ







あとがき
オーストラリアは、スペイン人が通過して以来、調査、探検され
キャプテン・クックが探検し、イギリス領としてからイギリスの植民地になり
さかんに開発された

第二次世界大戦後、日本との関係を深くし
日本の輸出の第6位、輸入の第2位を占める

普通、ブッシュは茂みの意味だが
オーストラリアでは多くの木が生い茂る林のこと


ジョン・ガン
1925年 イギリスのノーサンバランド州生まれ
3歳の時、オーストラリアに移住

空軍に入り、パイロットとして航空母艦に乗り、活躍した
海軍をやめてからは、小さな劇場を建てたりした
オーストラリア放送でこども番組の指導をしながら著作に従事
海軍中尉ピーター・ケントの冒険シリーズなど
本作の原題は『丘の上の小屋』(邦題のほうがセンスあるね








コメント

あつまれ どうぶつの森(1~25/全51回)@ゲーム実況 トシゾーさん

2023-06-22 13:15:32 | ゲーム
【あつ森】あつまれどうぶつの森

キヨ。さんで観て癒されて、すごい面白かった

トシゾーさんもホラー系が多い中
時々、こうしたのんびりまったり系もプレイしてるのが嬉しいv

男の子、女の子からアバターをつくって
移住先の無人島を4つ中から選ぶ(ほぼ変わらないが






「初期メン、のりまき」




パタヤさんはキヨ。と同じだけど、ちゃちゃまるじゃなくて
のりまきっていうペンギン? 口ぐせは「クルクル」
筋肉を増やそうとしている性格は同じ

トシゾー:どっちも鳥類やな(www

「パタヤさん」




同じ関西弁同士で話しやすい感じ
名言「なんだい、どうだい」が大好き/爆
後々、トシゾーさんを「おトシ」てあだなで呼ぶようになった

「テントの設置」
どこに設置するかで、後々のことも考えて
映える場所を見つけるのにものすごい時間かけてた

「ヒゲのすむ島」
島の名前は「ヒゲのすむ」に決定
その他のメンバーの案が独特w




「とたけけ」
キヨさんの島にはまだ呼べてない・・・w




「モモ」
自生する果物も島によって変わるのか 今回はモモ
食べると、岩を叩き割ったり、木を根ごと掘り起こせたりする力が出る

「ローン地獄」
これだけ平和なキャンプ生活に、渡航費・人件費・設備費・スマホ代
もろもろで49800ベルを笑顔で請求してくるたぬきち・・・

ようやく落ち着いた頃に、今度はマイホームを建てるサービスを囁いて
ローンを組んじゃう、ほんとうにやり手なタヌキ






「増築に次ぐ増築」
家を大きくするたびに「今の家は狭い?」と疑って
さらに増築&巨額のローンを組むたぬきち
実はみんな見た目の可愛さに騙されてる? タヌキだけにw






「まめきち、つぶきちのタヌキ商店」
兄弟なんだな
トシゾーさんは2人が可愛くて仕方ないw

開店時間が合わずに店の前にたくさんの魚や虫を並べるのはキヨさんと同じww
1匹ずつ値段を確かめて、効率的にお金を貯めていくのは商人気質が出てて、さすがv

「フータの博物館」
フクロウなのに虫が苦手なんだね
ちゃんと寄贈しているから、水族館、虫、恐竜コーナーも充実










「ジョニー」
せっかく部品を集めたのに、ちょっと目を離した隙にいなくなった





「モーリス」
離島で出会ったモーリスを島に勧誘 口ぐせは「だなっす」





「リアクション」
びっくり、やあ、笑う、ブルブル、、、などなど
島の仲間からもらって、リストに入れて
お気に入りはすぐに出せるようになってる
キャラの前でやると、同じリアクションを返してくれるのもカワイイ!

「ローラン」




ラグや壁紙はまめきち兄弟の店にも売ってるけど
規格外のデザインは彼しか持ってない? 例:雲が動いたり
引換券を使った商売が上手い

「セレモニー」




新しい建物やインフレが整備されるたびにセレモニーがある
多忙すぎてなかなか参加できないとたまっていく一方w
「やったね!」のシンプルなフレーズの前にトシゾーさんならではの長い演説入れてたw

「マイデザイン」
自分でデザインした服やキャップ、スマホケースができる
島の旗もこのヒゲデザインに変えてた





「ゆうたろう」
夜にフラついてて、声をかけると驚いて、魂をまき散らす
5個拾ってくると、プレゼントをくれる




「グルミン」
口ぐせは「キュン」
カワイイキャラなのに、急に悪い顔になる瞬間があるw






「エイブルシスターズ」
きぬよと姉あさみの洋服屋
3人姉妹の苦労話が泣ける





あさみさんは最初、口数少ないけど、仲良くなると
いろんなプレゼントをくれたりする
両親はだいぶ前に亡くなり、あさみが2人の妹の世話をしてきた





端から買っていく経済の回しっぷりもスゴイ
壁にマイデザインの服を飾ると、他のキャラも着てくれてるのが超カワイイ


「やよい」
まさかの弥生式土器!!! 口ぐせは「はにょ」
土器好きにはたまらないけど、はに丸とかぶってないかな?ww






「ウリ」
株ならぬ野菜のカブなのね!
おばあちゃんが作ったカブが、その日によって売値が変動







あるだけ買って、別室に置いたけど、半値以下の日が続いて
1週間以内に売らないと腐ってしまう(!)から
生配信した時に他の島で売った?!
その方が時間の操作をしていると知らなかったと謝罪してたけど、なんにこっちゃ???

その後、腐ったカブからありんこが列つくってたのもカワイイ


「ハッピーホームアカデミー」
定期的に評価されて、記念品をくれる
家の者がいない間に部屋に入って調査してる?怖


「とたけけライブ計画“プロジェクトK”」
島民を増やしたり、インフラ整備をして、島の評価を上げる必要がある
坂や橋をかけるにもトシゾーさんがお金払ったり、材料集めたり、大変!!

「島メロ」




タヌキ商店に入る時に流れたりするメロディも変えられる
「モ」の音はカエルの鳴き声?w
しずえさんがメロディを歌ってくれるのもステキv

「流星群」




ものすごい数の流れ星が流れて、お祈りすると願い事が叶う??
これもマイルを貯める対象だから
作業を何度も中断されながら何百回もこなす執念がスゴイ

「フータの妹 フーコ」




「スターなステッキ」
流星群の翌日?海岸に“星のかけら”がたくさん落ちていて
これも集めておくと、後々、いろいろDIY材料になる

お気に入りのコーデを登録しておくと、ステッキを振るだけで
頭から靴まで変身できちゃう便利アイテム


「案内所がリニューアル」
しずえさんが加わる





「イースター ぴょんたろう」




着ぐるみ説がぬぐえないラッキーバニー
うしろにチャックがついてて、見ようとすると注意されるw
誰も見ていないと跳ねるのを止めて、ボーっと立ってる





イースターの期間長いな
その間、魚釣っても卵、化石を掘っても卵、木をゆすっても卵、風船割っても卵、、、
キャラの会話もイベント一色になるし

でも、全部のDIYグッズを作って、ぴょんたろうにもビックリされてた
ぴょんたろうの起き上がりこぼしをたくさん作って置いておくと
他のキャラがたまにゴロゴロして遊んでる時があるのねw





「ストロー」




あつ森のキャラって、いろんな性格分けされてるのね
彼はたぶん「キザ」 口ぐせは「とかー」
みんなと早く仲良くなりたいって言ってたのに
早々と引っ越してしまった/寂 そんなこともあるのか!

「ちょろきち」




離島で会ってひと目惚れしてすぐ勧誘したというキャラ
口ぐせは「がってん」
部屋の中が城壁ぽいww


「ジャスティン」




魚を高価に買い取ってくれるのと
3匹集めたらグッズを作ってくれる
桟橋、池、河口などの場所、時期によって獲れる魚が違うのも凝ってる


「ことののファッションリサーチ」




エイブルシスターズの1人
デザイナー時代は「ケイト」と名乗っていた
一流デザイナーになる夢を叶えるために修行中
コーディネートを見せると評価してくれる


「釣り大会」
3分以内にどれだけ数を釣れるかの勝負
3匹揃うと模型にしてくれる





「ホッケー」
口ぐせは「さぶー」




「レム」
口ぐせは「ふわぁ」 食いしん坊





ついに、とたけけがやって来た♪♪♪




とたけけ:いつだったか、ここによく似た素敵な無人島の夢を見た気がするんだ

ライヴが始まると制作スタッフの名前が出る
たくさんの曲も販売していて、ライブver.はまた格別!

家にオーディオがあれば好きな音源をいつでも聴ける
♪みんなあつまれ はもちろん、他の曲も素晴らしい

タイトルが分かればリクエストして、生演奏してくれる♪♪♪
♪けけじょんがら
♪けけえんか
♪けけのロケンロール

毎週土曜の夜にライヴに来るってスゴイ!
セレモニーでみんな移動してる時は休憩してるのかなw






つづく。。。


コメント

少年少女世界推理文学全集 No.19 人工頭脳の怪 シオドマク、ハイライン あかね書房

2023-06-21 17:04:50 | 
1987年 第32刷 内田庶/訳 松下勲/絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


人工頭脳ってAIのことかと思ったら、脳だけを生かしておく研究の話だった
シオドマクは初見だが、ハイラインはよく聞く名前なので
ジュブナイルで読めるのは嬉しい


【内容抜粋メモ】

はじめに 内田庶
ここには、科学小説の中でも、推理小説の面白さもいっぱいもった作品を2編入れてみました


人工頭脳の怪 シオドマク

●悪魔の研究




アリゾナ州の砂漠の真ん中の小さな村で怪しい研究をしている兄パトリック
その研究に反対している妹ジャニース

パトリックは死にかけたサルの脳をカラダから引き離して保存し
人工呼吸器で酸素、血液を送って生かし
脳波計で周波数を計っている
いつかヒトでも試してみたいと思っている

この屋敷を訪ねるのはただ1人
不時着用の飛行場の老医師シュトラット博士
博士もパトリックの研究は悪魔だと説得するが聞かない


●飛行機事故
旅客機が墜落し、シュトラットの代わりに行くパトリック

瀕死だったのは、有名な富豪W.H.ドノバン
どうにも助かりそうにないと判断すると
これこそ絶好のチャンスだという誘惑に勝てず
シュトラットに協力するよう頼む

もうすぐ救急車が死体の収容に来るため仕方なく協力し
死亡診断書も書くが、責任を放棄したことでクビになる

ドノバンは会社を息子に譲り
弁護士2人を乗せて自家用機に乗り事故に遭った
そして、大金が行方不明になった

パトリックはドノバンの脳とコミュニケーションをとるため
モールス信号を教えるがうまくいかないため
シュトラットに助言を求めると
ドノバンから来た脳波をパトリックの脳で受信すればいいと答える







●左利きの字
まず、ドノバンの脳を元気にするため
アミノ酸、脂肪、タンパク質を多く与えるとよく眠るようになる
(! やっぱり、この栄養が睡眠の質を改善して脳に良いんだな/驚

ミスで感電させてヒヤっとするが、その後、疲労でうたた寝していると
「W.H.ドノバン」と左利きでサインした文字が書いてある
ドノバンは左利きだった

クルマで離れた距離からも受信できると確認
だが、脳が起きている間、パトリックはぼんやりすることが増える


●殺人未遂
「カルフォルニア商業銀行」
「ロジャー・ハインズ」
「アントン・スターンリ」
という自動手記について調べてみる必要を感じるパトリック

シュトラットはパトリックきょうだいを救うため
電気を切って脳を死なせようとして
逆にドノバンに乗っ取られたパトリックから首を絞められる

ジャニースは、ロスの病院に看護婦として働くといって家を出る
その日から、シュトラットはなぜか脳の世話を黙ってするようになる

カリフォルニア商業銀行で5万ドルを引き出そうとして
支配人から」12年ほど前、ハインズから
大金を預かったままになっていたことを知る

スターンリを訪ね、500ドルを渡す
彼は長年ドノバンの秘書をしていたが
目を悪くしてから給料は半分にされ、クビにされた

ハインズについて聞くと、シリル・ハインズが母親殺しで逮捕された
彼のために弁護士を連れて行こうとして事故に遭った

パトリックもクルマに轢かれて、ジャニースの勤める病院で入院する
頭を打って、激痛がするのに、脳が痛みを引き受けている間は普通に戻る

「ナサニエル・フラー」
名前を調べて訪ねると腕利きの弁護士
ハインズを無罪にしたら5万ドル支払うと交渉

パトリック:
もうすぐ僕はドノバンの操り人形になってしまう
未来世界では、選ばれたスーパー脳により
人造人間のように動かされるのではないだろうか



●殺人鬼
州刑務所にハインズに会いに行く
ロジャーはシリルの叔父で首を吊って自死した

シリルはお金を無心した母親に断られてクルマで轢き殺した
そこれも二度轢いたため、顔が潰れたという

パルス:
陪審員は300人ほどから12人選びだす
断る人もいるから、100人の秘密を探り、無実にする

スターンリ:
ロジャーはドノバンの唯一の友人だが
婚約者と結婚したい一心で大金を借りて返さなかった

親友に裏切られたロジャーは自死
その後、結婚したが、妻は早くに亡くなり、とても後悔した

ロジャーの唯一の親戚シリルを助けて罪を償おうとした


●目撃者




13歳の少女が殺人場面を見ていたと聞いて
パルスのクルマで轢き殺そうとして失敗

シュトラット:
研究室に泥棒が入った
電気を切ろうとして、脳に殺されたんだ!







ドノバンと化したパトリックはジャニースを殺そうと部屋を訪ねる
兄の日記を読んだジャニースは乗っ取られていることを知りつつ説得する

ジャニース:
はじめにあなたが人を憎むから
その人もあなたを憎む
それより、互いに理解することが一番大事なことよ

妹の首を絞めると、ふと自由になる







シュトラットが研究室で電気コードを抜いて死んでいる
自らを犠牲にしてきょうだいを救ったと分かる

シュトラット:パトリックの優れた能力がもっと人々の役に立つほうに向けてもらえれば嬉しい

パトリックは不時着用空港の医師を継ぎ
インディアンのために力を尽くすと誓う

シリルは死刑となり、悪魔の力が消えたことを祈る兄妹




ノバ爆発の恐怖 ハイライン





月基地からのロケットで地球に着いたギリアド少尉
トイレで服などを引き裂いて捨て、探検家に扮する

小男が新時代ホテルに泊まらないかとしつこく客引きする

エレベーターに乗ると、急に混雑して怪しい
小男に財布をスラれて、本名が書かれた秘密機関のカードだけ盗まれる







空気管郵送チューブを3つ買い
重要なマイクロフィルムを3本ずつ入れる

郵便局ではシカゴの私書箱行きの2本と
別に用意したラベルを貼って送る







風呂に入って出ると服がない
残りのマイクロフィルムは別モノと入れ替わっている

上司に連絡しようとすると繋がらない

ホテルから脱出しようとして、2人の警官に捕まり
マルクハイム銃で撃たれて失神

気づくと牢にいる
一緒に入れられているのは、理論物理学者ハートレイ・ボールドウィン博士だと思うが
そのいとこのグレゴリイ・ボールドウィンだと名乗る

トランプで賭けをして遊ぼうと誘われ、暗号でやりとりすると
ここは新時代ホテルで、脱出を手伝うという

本物のマイクロフィルムは秘密機関FBSの私書箱だと教える


●老婦人の正体
世界一の富豪で、貧しい人を助ける親切な女性として知られるケイスリー夫人は
ギリアドがFBSの優秀な一員と知っていて
地球通貨1千万クレジットでマイクロフィルムを買うと交渉
自分の部下にならないかと誘う

断ると、途中で寄ったドラッグストアで会った給仕の少女を
目の前で拷問して殺すと脅す

財布から身分証明書をすって、身代わりがロケットに乗ったから
助けは来ないと明かす

牢に戻り、グレゴリイはギリアドとケンカするフリをして
警備の男を倒し、ヘリコプターを呼んで窓から脱出







●FBS




大陸横断ロケットでFBS(地球連邦保安局)に行き
上司のボン局長に会うと、私書箱にマイクロフィルムはなかったと怒られる

マイクロフィルムには、惑星ごと爆発させることができる
“ノバ爆発”の設計図が書いてある

月にある関係書類はすべて燃やし
実験の関係者は記憶を忘れる注射を打たれた
これまでのことを話すと作り話だと笑われる

局長に麻酔を打って、秘密捜査官を辞めると言って出る
FBSの追跡を逃れるため、マイクロフィルムを持ってると思われるグレゴリイを探すと
牧場に連れていかれる

そこでゲイルという少女と出会い仲良くなる





グレゴリイらはギリアドを月基地から見張っていた
ケイスリー夫人が金の力でマイクロフィルムを手に入れて
地球支配をもくろんでいるため

グレゴリイはマイクロフィルムを燃やしてしまう

グレゴリイ:
小惑星アンチ・アース(いつも太陽の反対側にあって見えない惑星)が
ノバになって爆発して消えた
今の人類にはそんなもの要らないんだ

彼こそがやはりボールドウィン博士だと分かる
一緒に働かないかと誘われ、そのためにはスーパーマンになるテストが必要

ボールドウィン博士:
今の人間に欠けているのは何だろう?
新人類が持つ能力で世界を平和に保たなければならない
いつも冷静に正しい判断ができるように

スーパーマンが地球を支配することになりかねないと反対するギリアドだが
ケイスリー夫人を倒すために、ゲイルから高速語を学ぶ
普通より21倍速いため、考える時間も短縮できる

パっと見ただけで、その場にあるものをすべて目に焼き付ける能力は
第二次世界大戦中、ある大学教師が考えついた

ヒトがもともと持つ五感能力

テレパシー、テレキネス(精神感動移動)には個人差がある


●月の別荘
月世界にあったマイクロフィルムをケイスリー夫人が手に入れて
信管を新時代ホテルにしかけ、ひきがねを肌身離さず持っている
地球連邦の女王にしないと、地球をノバすると脅している

ギリアドとゲイルは兄妹の使用人として潜入し
ゲイルが夫人を殺し、ギリアドが自動信号装置を壊す命令を受ける

マッサージが得意なゲイルは夫人に呼ばれて
機会を見て、絞殺すると警報が鳴る

2人は自らの命を投げて地球を守ると決意する

ギリアド:僕たちは本当のきょうだいになろう

ギリアドも装置とともに爆発する




作者と作品について 内田庶




カート・シオドマク
1902年 ドイツ生まれのSF作家
ヒトラーの政治を嫌い、スイスに亡命
ロンドンからハリウッドに移住

自由を愛し、人間性を尊ぶ

20冊ほどの小説を書き、何本もの映画の脚本を書いた
『空飛ぶ円盤、地球を襲来』は日本でも上映された

本作『ドノバンの脳』も映画化された
ストーリーが映画的









ロバート・A.ハイライン
世界のSF界を代表するSF作家
1907年 アメリカ ミズーリ州生まれ

夜空の星を眺め空想する少年だった
海軍に入り、航空母艦、駆逐艦に乗った
体を壊して、空想をSFに活かした




読書の手びき 滑川道夫
怪奇な面白さの中に、人道主義の精神を読み落とさないようにしてほしい

スーパーマンたちは、冷たさを持った人間の一面も語られている

空想科学小説は、宇宙時代と呼ばれる開発が進むにつれて増えた
ヴェルヌが『月世界旅行』を書いて以来、多くの宇宙小説が書かれた


未来を描いても、現在の世界とつながりがある
地球政府が統一していることも作者の未来図


コメント

海外SFミステリー傑作選 19 ひきさかれた過去 ヒュー・ペンティコースト/原作 国土社

2023-06-21 16:38:57 | 
1995年初版 内田庶/訳 渡辺安芸夫/装画・挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


このシリーズはほんとうにイラストがゆるいなw

当時のラジオドラマが生番組なのがビックリ

脚本家が台本を書き、オーケストラの生演奏を流して
声優たちが演じるって、今演ったら相当面白そう

でも、テレビもラジオもスポンサーが真実を捻じ曲げていることがよく分かる


【内容抜粋メモ】






●鉄鋼王クレイマー
「あすのニュース」社で社長ミルトンが会議を開き
昔、鉄鋼王と言われるほどの金持ちだったクレイマーが
アイスピックで頭を刺されて殺された事件についての話が出る

「あすのニュース」がスポンサーとなっているラジオ番組の
脚本を書いているビルたちは、その週起きた一番大きなニュースを
ドキュメントドラマにして放送している

クレイマーの死体第一発見者はビル
スペイン大統領について聞きに行くと
部屋には冷蔵庫が1つあるきり

中にはカクテルがたくさん冷やされていて
始終酒を飲んでいるぽいが、まったく酔ってる気配がないのをフシギに思う

クレイマー:
昨日のことを調べれば、明日のことは分かる
人間は昨日したことから逃げられるものではない

この言葉がやけにひっかかった


●殺人事件には触れるな




クレイマーは社の論説委員だったため、宣伝になるから
ビルはミルトン社長からクレイマーの功績について書くよう命令されるが
殺人事件については書くなと釘を打たれる

ビルを育てた恩人サンズ編集長に聞いても
なぜクレイマーがこの社の論説委員になったか
なにも仕事をしていないのに、高い給料をもらっているかは誰も知らない

資料室に目録があるから調べれば分かるし
ワシントン支局のブローから夜0時に情報を電話で話してもらうよう手配してくれる


●切り取られた資料
資料室の受付のジョーンはビルと仲良し

先に殺人課のパスカル警部が来ていて
クレイマーが殺されたのはビルが死体を見つけた5~10分前だという

ビルはクレイマーは自分が殺されるのを知っていたのではないかという推理を話す

1939年の資料のクレイマーの部分が切り取られている
ジョーンが調べると、ラジオ放送用に使われた





ラジオを制作しているのは、脚本家のビル、マネージャーのラニイ
音楽担当のルウ、監督のマックス みんな仲が良い

しかも、半年ほど前にクレイマー自身も持ち出している

同じ資料が社長室にもあるが、それも同じ部分が切り取られていた
そこには大物の写真があったはずと言うルウ

社長が自宅に私用として保管しているものがあるが
2時までに印刷所に回さなければならないため
先にサンズ編集長が借りることになる


●クレイマーの謎
パスカル警部がクレイマーのホテルに行くのに同行するビル

凶器のアイスピックはカクテルを運んだ出前係が忘れたもの
彼のアリバイはあるし、計画性がないため
咄嗟に近くにあったアイスピックで殺したと思われる

クレイマーは大富豪のはずなのに、家の中は何も家具がなく
引き出しに書類などもないし、所持金は314ドルだけで驚く


●悲鳴!
雑誌社に戻ったビルにジョーンから電話がある

社長宅から資料を持ってきて見たら、驚く写真があり
社に1人で持ち帰るのは怖いから、刑事を呼んでくれと頼む

だが、ブローからの電話がきて、ビルはサンズ編集長に代わる







その部屋を離れてすぐ悲鳴のような声が聞こえたが、構わず仕事をしていると
サンズ編集長が16階から落下死する事件が起きる


●ジョーンは?
パスカル警部に事情を話すと、ジョーンは電話をかけた薬局にいなかった

警部は公立図書館で調べて例の記事を読んだ
記事は第二次世界大戦でナチスドイツがポーランドに侵略を始めた時

クレイマーは列車を借りきって
アメリカ人を市外の安全な所に避難させることに成功

その時助かった1人は「あすのニュース」社の大株主クリーク
それで高い給料の理由が分かる

パスカル警部:
サンズが窓から突き落とされたのは
ジョーンが記事のことを話したからだ

ルウは非常線が張られる前に雲隠れした
彼はチェコスロバキア人で、チェコ人を救うために戦時中は大活躍した

パスカル警部はルウを犯人扱いしているが、信じられないビル

ジョーンの身も心配で仕事が手につかないが
なんとかチームの助けも借りて、謄写版係に回る


●ファイルをもどせ
ビルも公立図書館へ行って資料を見ようとすると、ルウに捕まる
ジョーンは無事だが、今夜の放送が終わるまで動かないで欲しいと脅される

ユナイテッド放送局では俳優がセリフ合わせをしている
ラニイが俳優になにか話してから本番が始まる








●筋が違う!
最後のポーランドのワルシャワ駅のシーンで
いきなり台本と違うセリフを喋りはじめる俳優たち

クレイマーが金で列車を貸し切ろうとして
それでは国外に避難する亡命者が皆殺しにされてしまうと止めようとする男

警官が来て、その男を取り押さえると、マックスだと分かる

放送は途中で中止され、監督のマックスはビルが勝手に書き換えたと思い銃で脅すが
ルウはパスカル警部らと来て、警部の一撃で銃を落とすマックス
ジョーンも助かった







資料の写真にはクリークが写っていたが
その背後に警官に連行されるマックスが写っていた

マックスはポーランドの生まれ
ワルシャワ大学で1人の女の子を好きになった

女の子と家族は、避難する人たちと一緒にワルシャワ駅に集まったが
クレイマーが列車を買いきったため、降ろされた

避難民らはドイツ軍に捕まり、強制収容所に送られ、毒ガスで殺された
マックスは収容所から出て、アメリカに渡り、クレイマーを探したが分からなかった

昨日の朝、社内で見つけて、クレイマーだと気づいた

クレイマー:やあ、マックス だいぶ時間がかかったね

と言われてカッとして殺してしまった
ジョーンの電話でサンズも知ったと分かり窓から突き落とした

ラニイらは放送直前に書き換えた台本を渡した

クレイマーは、当時のことを深く後悔し、その後、自分の全財産を
ヒトラーから逃れて国外に避難した人たちを助ける資金に寄付していた

社内でマックスを見て恐ろしくなり、資料を切り取ったのはクレイマーと思われる
それでも逃げずに、毎日酒を飲んで殺されるのを待っていた

ビル:みんないい人間だったのに、殺し殺され合うなんて、なんて悲劇だろう

ルウ:
戦争の急降下爆撃機の音、前線の体験をすれば
逃げ出すことしか考えられないのも分かる

ビル:戦争が生んだ悲劇だ

ジョーン:悲劇を繰りかえさないために、民主主義を壊すナチスみたいなものに反対しなきゃないない



解説 各務三郎
推理小説には、知識を増やしたり、認識を新たにする効果もある(ほんと、そうだね
本書には当時のアメリカの出版社、民間ラジオ放送局のことが興味深く描かれている

作者は登場人物を通じて、戦争を告発している

ヒュー・ペンティコースト
本名ジャドスン・ペンティコースト・フィリップス
1903年 アメリカ マサチューセッツ州生まれ

父はオペラ歌手、母は女優で、小さい頃から世界中を旅して回った

大学在学中から雑誌に短編ミステリを書いて
その後も長編100冊、短編は数百書いている

第二次世界大戦、祖国フランスの地下工作員の経験をもつ
ホテル支配人シャンブランものは有名

巨漢の赤ひげ画家ジェリコなどもあるが
あまり日本で紹介されていない


コメント

少年少女世界推理文学全集 No.16 非常階段 あかね書房

2023-06-20 17:01:09 | 
1985年 第30刷 常盤新平/訳 木村輝年/絵

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【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください



『大人は分かってくれない』、にもほどがある

空想はさまざまな創造の源なのに
「嘘つき」呼ばわりした上に
暴力という“しつけ”をするなんて虐待そのもの/哀

なのに、子どもたちは親を愛して止まないんだ
こうした連鎖も貧しいゆえなのか?

まだ12歳なのに、全然諦めず行動する姿もスゴイ
私ならとっくに諦めて、犯罪者の手にかかってるところだ

にしてもカミソリ1枚でどうやって大男の骨まで切れるわけ???
ぱっと見普通の夫婦なのに、恐るべき殺人鬼って設定も生々しくてコワイ

推理小説の中にも、こうしたスリラー要素が強いジャンルもあって幅広いんだな


『シンデレラとギャング』のほうは三谷幸喜さんが書くような
すり替えもののドタバタコメディみたい

相手はプロのワルだと思いこんでいても
ほんとは普通の女子高生

だいぶ偶然が重なって、ラッキーハプニングも多め
とはいえ、時代のせいで今のコより古風な感じ


はじめに 常盤新平
推理小説の1つのタイプに「サスペンス小説」がある
読者をハラハラさせるもの
本書の作者はサスペンスの名人


非常階段 ウールリッチ

●残酷な殺人
チャーリーは12歳の空想好きな少年

チャーリーが秘密の世界について親に話すと
父は「今度そんなウソをつたら、口がきけなくなるくらい懲らしめてやる!」と怒鳴る
母は「映画のせいなんですよ」と言い訳してかばうわけでもなく

今年の夏はどこも暑いが、貧しい人たちが住むホルト・ストリートはまるで地獄
チャーリーは涼しさを求めて非常階段を上がり7階に行く

いきなり明るい光に驚いて、窓を見ると、男女がいる
女は酔った男性のポケットから札束を取り出して数える

男が気づいて女を縛りあげると、隣りで隠れていた夫ジョーが出てきて殴り倒し
ナイフで背中を刺して殺してしまう

チャーリーは干してあった掛布団をかぶって隠れる

夫婦は死体を2つのスーツケースに入れる際
ジョーがカミソリで死体を切り刻むと言う






●つくり話
チャーリーは父に話すと顔を殴られる/汗
上の階のケラーマン夫婦はいい人だと話す母メアリー

「もう二度とつくり話はしない」と約束させるためにムチを使おうとして
チャーリーは「ウソはつかない」と言うしかない

父はチャーリーを部屋に閉じ込めて仕事に出る
母:パパの命令ですからね


●警察署
チャーリーは窓から抜け出し、警察に通報しようと考える
受付の警官も信じないまま警部の部屋を教えてくれる






警部は信じないながらも、ロス刑事に一応調べに行かせる
ロスはミセス・ケラーマンの妻に聞くと
毎晩放送している「お宅のまえで犯罪が」というラジオ番組の音だったと話す

警官が家にチャーリーを送ると、母はまた叱って怒る
その声を聞いて、ミセス・ケラーマンが聴き耳をたてている

母は彼女に謝らせようとするが、チャーリーは顔を覚えられたら仕返しされるため怯える
母はチャーリーを部屋に閉じ込めてカギを閉める

両親は共働きで父は夜勤、昼間は母が仕事に出かけるため
チャーリーが二度と逃げ出さないように窓をクギで打ち付ける父


●謎の電報
母宛てに姉から電報が来て、すぐに来てくれとあり、理由は書いていない
チャーリーを1人きりにする罠だと気づくが
それも信じずに母は急いで出かける

父:明日、お前を医者に連れていくからな!
父も仕事に出て、とうとう1人になるチャーリー


●足音
上の階で足音がして、部屋を懐中電灯が照らす
夫婦は窓から忍び込もうとするが、クギを打ってあって手間どる

家に侵入して、カギを回す音がしたため
チャーリーはイスを投げて窓を割り、非常階段を夢中で駆け降りる

外で夫婦に挟まれ、灰で目くらましを食らわす
市内電車に飛び乗るが、それも追いつかれる

通りを歩いている男性2人に助けを求めるが
夫婦はチャーリーの親のフリをして叱る


●空き家
世界中みんなが敵になったような気がするチャーリー

パトロールカーが停まった時も助けを求めると、昨日、受付にいた警官だが
親のフリをした夫婦に同情するばかり

おとなは分かってくれない、と涙を流すチャーリー

夫婦は死体を隠した空き家に行き、チャーリーの首を絞めて殺そうとする
ヒトの急所が胃であることを思い出して、思いきり蹴る

震動でボロの家が崩壊 下にいた女の悲鳴が聞こえる


●救出
チャーリーは5階の板の上にいて奇跡的に助かる
警官が来て、下に張った網に落ちて救助される

助けてくれたのはロス刑事
空き家からバラバラ死体の入ったスーツケースが見つかる

ロス刑事はラジオ放送を聞いてみたら、昨日は選挙放送で休みだったと知り
ミセス・ケラーマンのウソに気づき
家宅捜査するとカミソリを研ぐ皮のベルトが出てきた

チャーリーを家に送ると、また母が叱ろうとするのを止める
ロス刑事:坊やは警察もかなわないほどの大活躍をしたのです 褒めてあげてください



シンデレラとギャング
ペニーは16歳 ジェファーソン高校1年生






両親と姉はペニーをいつまでも子ども扱いして
映画に行く時も家に1人で置いて、宿題をするよう言いつける

退屈していると、間違い電話があり、シカゴ・ローズという女だと思われる

ブリッツ:
あんたのことはエドから聞いた
引き受けてもらいたい仕事がある
あんたも“カット”をもらえる
(カットには“分け前”の意味もあるがペニーには分からない
センター通りの角で黄色の帽子を回しているからすぐわかる


●センター通り
ペニーは遊びに行く気持ちで、姉のイブニングドレスを着て
真っ白に化粧して、家族が帰るまでに戻ろうと思って出かける

運転手に声をかけられてタクシーと気づかずに乗り
お金を持っていないと話すと脅される

ブリッツは黒い自動車にトリガー、ジョニーという仲間と一緒に乗せる
タクシーのタダ乗りもローズの得意技だと笑う

ホテルにはさらにもう2人仲間がいて、仕事の話を始める







シカゴで盗んだ大金を1人が持ち逃げしたため殺す計画
“ドロップ”は絶交の意味だと思うが、実は“殺す”の意味

その男は信用できる女の子にはなんでも話す性格
ローズがおとりになり、金のありかを聞き出したら、仲間が殺す

“カーテン”にも“死ぬ”、“アイス”はダイヤモンドという意味がある

『ジングル・クラブ』に連れて来いという指示

退屈な授業のように聞いていたペニーは分け前を渡されて意味が分からず
部屋に置いていくとバレて疑われるが
大金を持っていたら怪しまれるからだと思われる

別のホテルについて、当たり屋でも有名なローズの出番
いきなり突き飛ばされて、運よく?ブレナンの前に飛び出る

謝罪のお金を小切手で渡されて、断ると、少女だとバレる

ブレナン:
自分にも小さな娘がいて、一緒に歩けたらと常々考えていた
どこか行きたい所はないか?

ペニーは思わず『ジングル・クラブ』と言う
ダンスと音楽を見て目を輝かせるペニーを見て信用するブレナン







ペニーが「アイスが欲しい」と言うと顔色を変えるが
単にノドが乾いて、氷を食べると、再び安心していろんな話を始め
本物のアイスは自動車のタイヤに隠してあると明かす

“カーテン”が殺すという意味と知って驚き
これまでのことをすっかり話すペニー

ペニー:自分のしていることが何か知らなかった!

ペニーらの座るテーブルの天井や周りは全員ブリッツの仲間だと教えると
コンセントを撃って電気を消したら、頭を下げて裏の非常階段に向かえと指示







●脱出
弾が飛ぶ中を逃亡するブレナンとペニー
屋上から隣りのビルに移り、助けを求めるが
皆、面倒に巻き込まれたくないためドアを開けずに警察に通報する

空き部屋に入りカギを閉め、非常階段を見つけるが
ブリッツがドアの外から撃った弾に当たったブレナンは
ペニーだけ逃がそうとして断る

ブリッツに金のありかを聞かれても喋らなければ
命が助かるとアドバイスするブレナン
その間に警官が来て、ギャングを一掃する

ブレナン:いつも君みたいな可愛らしい娘を持ちたかった

と最期の言葉を告げて死ぬ


●警察署
ペニーが事情を話すと、警部の娘と同じクラスだと分かる

警部:
事件でこの子の名前を出さないようにしよう
私の子どもならそうしてもらいたいからね

自宅に送ってもらうと、ペニーが寝ている工夫をしたためか
家族は誰も気づかず寝ている

逃亡中に片方の靴をなくしたことに気づき
警官からまるで本物のシンデレラだなと冗談を言われる

ペニー:シンデレラともお別れね



作者と作品について 常盤新平




『恐怖の黒いカーテン』を書いたウィリアム・アイリッシュの本名は
本書のコーネル・ウールリッチ

NY生まれのせいか、NYの貧しい人たちを題材にすることが多い








読書の手びき 滑川道夫
すでに分かっていることを土台に
分からないことを考えて判断する心のはたらきを「推理」という
推理小説のほんとうの面白さは推理にある

作品内の少年少女は読者の代表として描かれている
共感したり、感動したりすることを
作者は前もって計算している


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因縁のホテルを売却?【The Suicide of Rachel Foster】@ゲーム実況 レトルトさん、𝐋𝐚𝐦𝐍𝐨𝐭 𝐇𝐚𝐫𝐝𝐜𝐨𝐫𝐞 𝐆𝐚𝐦𝐞𝐬さん

2023-06-20 16:43:34 | ゲーム
心霊現象が起きる廃ホテルを点検して売却するホラーゲーム@実況 レトルトさん
ホラー展開になったらすぐ止めようと思いつつ見始めたら
推理小説みたいで先が気になった

結局、ポルターガイスト現象ぽい音だけで
お化け屋敷要素はなかったんだけど
後味の悪い結末だったな


【内容抜粋メモ】

「雨の日の母の葬儀」
自分が死んだら娘ニコールに届くように用意していた母からの手紙

9年前、父が若い女性レイチェルと浮気をしていたことを明かし
遺産のホテルはイヤな過去を消すために売り払うようすすめている
レイチェルは自殺している

「ホテル」






ホテルに入って、留守電を聞く




アーヴィングと名乗る男性と四六時中電話でやりとりする
大雪でシャッターも開かなくなり、ホテルから出られなくなる
あるあるパターン



【完結】映画『シャイニング』【The Suicide of Rachel Foster】過去の遺産相続『父の浮気と自殺した少女』@𝐋𝐚𝐦𝐍𝐨𝐭 𝐇𝐚𝐫𝐝𝐜𝐨𝐫𝐞 𝐆𝐚𝐦𝐞𝐬
雪に閉ざされた古いホテルって設定は、たしかに『シャイニング』ぽい

冷凍室に缶詰があるから入ると、一瞬ドアが閉まる

弁護士ジェンキンスは湖に落ちた?とかで遅れるから
自分でホテルの状態を確かめるハメになる

ホテル内に自分が育った部屋があるってスゴイ環境だな









電話線が切れているはずなのに
「ホテルは売るな」という男からの電話がある

アーヴィングがホテルやプライベートの隅々まで知り尽くしているのも怪しい








子どもが閉じ込められていたような部屋が見つかる
この伏線の回収あった?





ニコールのホッケーのスティックを持っているマネキン
殴られて倒れているマネキンのお腹の上には子どもの人形が乗っている







アーヴィングがずっと電話していた部屋が見つかる
レイチェルはアーヴィングの姉だった






ニコールの父が撮った家族の思い出映像
“私は元気だ これからもずっと・・・大丈夫だ”
(意味が分からない・・・






母のクルマの中にシャツがあり、それを洗うと血がにじむ





それを見て、母が嫉妬からレイチェルを殺した現場を
ニコールは目の前で見たのに
ショックで記憶を喪失していたことを思い出す

ニコールが思い出したことで区切りがついたのか
アーヴィングは大雪の中、外に出てそれきり

ジェンキンスが向かっていると電話をかけるが
ホテルは売らないと言って切る

クルマのドアをふさいで、エンジンをかけ、煙が充満してくる

ニコール:私、死にたくない・・・







これで終わり
そして誰もいなくなったオチ?

なんだかスッキリしないストーリーだった


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topics~錦織圭 怪我からの復帰戦で優勝/祝×5000 ほか

2023-06-19 12:12:47 | 日記
錦織圭 復帰戦で優勝/祝×5000
ハイライトだけYouTubeで観れたv
まだ全試合観てないけどおめでとうーーー!!
ATPでの勝利が待ち遠しい

Kei Nishikori (錦織 圭) vs Christian Langmo | PALMAS DEL MAR 2023
まったく問題なくストレート勝ち

Kei Nishikori (錦織 圭) vs Mitchell Krueger | PALMAS DEL MAR 2023
第1セットは落としたものの、それ以降はフォアハンドのウィナーが次々決まって勝利
風が強かったんだな






錦織 圭 2回戦終了後インタビュー│男子テニスATPチャレンジャー プエルトリコ【WOWOW】
復帰初戦は“こっそり見守って欲しい”って、シャイな日本人らしいな
注目されていないほうが硬くならずに本来の力が出せるだろうけど
ケイくんほどの選手だとそういうわけにもいかず

【テニス】錦織圭が決勝進出「自分でも笑えるくらい、うれしい」3連戦も精神面の強さ見せた

錦織圭が優勝 1週間で5試合、計8時間35分戦い抜き最高のフィナーレ飾る






徳永助教授、実はいい人だった!?ネット驚き『らんまん』第52話
ネットの記事で哲さんと神木くんが朝ドラに出てるのを今ごろ知った/驚




宇宙戦艦ヤマト 未来への航路 ティザーPV 最新作ゲーム事前登録受付中!






●UQ mobileご利用金額
【請求金額】 3347円

ワンニャン連絡網 インスタライヴ




以前、スピリチュアルカウンセリングを受けたmikuさんが
父の日アニコミタロットを生配信

途中から観たけれども、楽しかった♪♪♪

にしても、なぜわんちゃんたちはパパに対して
そんなに当たりが厳しい?www

わんこのカードもいちいち可愛かったな









やなせたかしさんの「希望」て作品が素晴らしい





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海外SFミステリー傑作選 11 冷凍死体のなぞ フィリップ・ワイリー/原作 国土社

2023-06-19 12:12:46 | 
1995年初版 内田庶/訳 装丁・挿絵/山本利一

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください


今回もとってもゆるい挿絵


【内容抜粋メモ】

主な登場人物
<コール・ボイド・アンドルーズ証券会社の共同経営者>
トニー・アンドルーズ 主人公
コール
ボイド

ワンダ トニーの秘書
レイモンド 顧問弁護士
ロレッタ レイモンドの娘
アラボ夫妻 鉱山会社オーナー


●殺人
トニーは事務所で共同経営者コールと大ゲンカした

アラボが持つ鉱山会社の株を売る前に南米に調査に行き
お金がかかって時期尚早と判断して、コールと意見が対立したため

同じ共同経営者ボイドが仲直りを提案するが、会社のために譲れないと答える

ボイドがコールの家から「殺されているから、すぐ来てくれ!」と電話
すぐに駆けつけると、ボイドの姿はない







コールはトニーのナイフで背中を刺されて死んでいる
このままでは自分が犯人に疑われると思い、部屋を出ようとすると
イスがふさいでいてドアが開かない
犯人はまだこの部屋にいて、閉じ込められたと分かる

現場に覚えのある香水の香りが漂う

顧問弁護士レイモンドの娘ロレッタのハンカチを見つけて
とっさに暖炉で燃やしてしまう


●うすのろ警察
秘書のワンダが用事のために訪れて、事情を話す
コールはトニーの話を聞いて、アラボとの契約をしぶっていたと聞く

トニーには今夜のアリバイがないため、一緒に映画館に行こうと提案するワンダ
だが、2人の様子を窓の外から見ている2人の警察官がいるのに気づかなかった


●トランク
レイモンドに一応アリバイを聞くと、ずっと家にいた
娘ロレッタは観劇に行っていた







ボイドのホテルに電話をかけても誰も出ない
ホテルのフロントに聞くと、1時間ほど前に
モントリオール駅にトランクを運ぶよう言われて運んだ

犯人はボイドでトニーに罪を着せようとしたのか
にしても、ケンカはしても3人はともて仲の良いパートナーだった

ロレッタはコールから金を借りようと部屋を訪ねた
ロレッタ:父がこの頃、貧乏だから(ここでもう分かるな

トニーの部屋に例の2人の警官が来て
ワンダと映画館に行ったと話すが逮捕されそうになり
ボイドが行方不明と話すと、指名手配する







●ワンダの素性
検視官の推定した死亡時刻は夜7時~9時
ボイドが乗ったと思われる列車にボイドの姿はなかった
昨夜の猛吹雪のせいで何度も停まった時にいつでも降りることはできる

ワンダが警察を「うすのろ」と言った理由を聞くと
父が証券課長をしていた時、部下が大金を横領して逮捕されたが
すぐ釈放され、なぜか父が逮捕された

普段から市のやり方に反対していたからで
強制的に自白させられ、5年の刑を受け、刑務所で亡くなったため
警察を憎んでいることを明かす

トニーの会社のお金を盗んで、復讐しようと思ったが
トニーに想いを寄せて、会社の人間関係の優しさに触れて止めた


●逮捕
アラボ夫妻が来て、現場に残された香りは夫人の香水と気づき聞くと
説得するためにコール宅を15分ほど訪れた
疑い深い夫は妻の後を尾けていたが、外で車で待っていた

警察は結局、トニーを重要参考人として逮捕する
ワンダも一緒に逮捕されたため、すぐ保釈するようレイモンドに指示する


●ボイドの服
レイモンドに調べさせると、会社の帳簿に不正はなかった

釈放されたワンダが面会に来たため、仕事を頼むフリをして
ボイドがトランクにどんな服をつめたか調べさせる
南米に行く予定なら夏服、逆方向なら冬服のはず







ボイドは犯人を追って出かけたのかもしれない
寝台のカーテンから切符を出して、そのまま降りても気づかれない

ワンダが調べると、夏物がなくなっていた


●冷凍死体
警察長官が独房に来て、ボイドがコールの別荘で自殺して
冷凍死体で発見されたと聞いて驚く






散弾銃で体中に穴が開いていた(自殺に散弾銃はあまり使われないのでは?
別荘の暖炉に動機となるダグラス商会の報告書を焼いた跡があった

無実のトニーを逮捕したことを詫びて、訴えないでくれと頼む警察長官


●ワンダの推理
報告書にはボイドに関係することは何もない
犯人がボイドを殺して、書類を燃やしたと思われる

ワンダ:凍った死体の死亡時刻は医者でも分からないというわ
トニー:じゃあ、当日のアリバイは意味がない


●冷たい空気
現場の鍵をもらい、当日の再現をしてみるトニー

コールはいつまでも若いことを証明するため腕立て伏せをしてみせるクセがあった
死体はちょうどそんな姿勢

ワンダが入ってきた時、冷たい空気が入ったのは、屋上に通じる階段を開けたから
そこから非常口に下りるのは簡単







トニー:
ボイドはコールの部屋で殺されて、屋上に運ばれたのかも
大雪で警察に見つからなかった(そんなにマヌケかい?汗
凍った死体を別荘に運んで自殺に見せかけた
背中を刺した傷を隠すために散弾銃で穴を開けたんだ!
(検視官はその傷も見逃すってヤバくないか?

犯人はコールのクセも知り、部屋の合鍵を持っている内部の人間
ナイフで後ろから刺すなら男でも女でも可能


●テスト
トニーは身近な人間にあるテストをしようと思いつく
事務所にレイモンドを呼び

トニー:
あなたが殺したのでしょう
僕が留置所にいた間に死体を運んだ
あなたは怪しまれずに会社の金を盗むことができる
あの夜着ていた服のボタンと手帳を見つけた

レイモンド:
会社の金に手をつけていたのをコールが偶然見つけた
ロレッタと私が逃げるまで、縛って押し入れに入れる







ピストルを向けるが、2人の会話はインターホンでワンダが聞いていたと知り
ロレッタは助けてやってくれ、と頼み、銃で頭を撃ち抜く

トニー:
ボタンは自分の服から取った
手帳は昨日、一緒にスチーム風呂に入った時
レイモンドのチョッキから抜き取ったんだ



解説 各務三郎
サスペンス小説は、読者を不安な心理(サスペンス)に追いこみ
はらはらドキドキさせる

ウィリアム・アイリッシュ『あかつきの死線』『幻の女』
ヘレン・ニールセン『死へのまわり道』
アンドリュー・ガーヴ『ヒルダよ眠れ』など

フィリップ・ワイリー
1902年~1971年 アメリカ マサチューセッツ州生まれ
父は司祭、母は作家

大学3年の時、嫌気がさして中退
その後、いろんな仕事をした

12歳で雑誌に詩を売っていた
日本ではほとんど紹介されていない


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