1962年初版 1989年 第23刷 長瀬正夫/訳
ブックデザイン/依光隆 カバーイラスト・挿画/小林与志 解説/白木茂
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「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
やっぱりアガサのミステリはハズレなし
どこにも隙のない展開にドキドキして吸い込まれる
入り組んだ人間関係で犯人当てが難しい
これからずっと彼女の小説だけ読んでも退屈しないのでは?
また牧師館が出てきた
伯爵令嬢との身分差がまだあるのも興味深い
【内容抜粋メモ】(大勢が複雑に入り組んでいるため間違っていたらスミマセン/謝
登場人物
ボビイ 牧師の4男
フランキー 貴族の令嬢
バッジャー ボビイの幼馴染
アレックス・ブリッチャード 崖から落ちた男
レオ・ケイマン夫人 ブリッチャードの妹
ヘンリイ・バッシントン
シルビア夫人 バッシントンの妻
ロジャー・バッシントン・フレンチ ヘンリイの弟
ニコルソン カナダ人医師
モイラ ニコルソンの妻
アラン・カーステァーズ 探検家
ジョン・サビイッチ 百万長者 アランの親友
●滑落
ボビイはトーマス医師とゴルフをしていて、悲鳴を聞いた気がした
自分の打ったボールが崖のほうに飛んで当たったのではないかと見に行くと
男が崖下に背骨が折れる状態で倒れている
医師が人を呼びに行っている間、男のそばにいると
“なぜ、エバンスに頼まなかったんだ?”という謎の言葉を残して死ぬ
●通りかかった男
男のポケットから印象的な顔立ちの女性の写真を見つける
18時のミサでオルガンを弾く約束をしていたのを思い出して困っているところに
代わって見ていてあげるという男バッシントン・フレンチに頼む
●ガレージ
幼馴染のバッジャーから一緒にガレージを経営しようと誘われてロンドンに行く
列車にギリギリに飛び乗ると、幼馴染で貴族の令嬢のフランキーと再会する
滑落死した男の記事にボビイの名もあった話になり
ポケットの写真はレオ・ケイマン夫人で
死体は兄のブリッチャードと分かる
フランキーは男は誰かに突き落とされて殺されたのではないかと疑う
●検死廷
ケイマン夫人が若い頃と全く違うけばけばしい女性と分かり驚く
いろいろな状況、証言からブリッチャードは事故死だと認定される
その後、ケイマン夫妻がボビイを訪ね
兄が遺言を言ってなかったかと聞かれて
最後の言葉のことをすっかり忘れていたため、何も言わなかったと答える
後で思い出して、手紙に書いて出す
●ピクニック
ボビイ宛てに南米の商会で年俸1000ポンドで働かないかと手紙が来る
バッジャーと約束していたため断りの手紙を書く
フランキーはロンドンに帰り、ボビイは1人でピクニックに行くと
ひどい眠気に襲われる
●命びろい
入院したボビイを見舞うフランキー
ピクニックで飲んだビールに致死量以上のモルヒネが盛られていたが
特異体質?のボビイは死なずに済んだ
フランキー:
ブリッチャードを殺した犯人の仕業よ
ポケットの写真もすり替えた可能性がある
商会からの手紙も誘い出して片付けるつもりだったのよ
モルヒネから麻薬の密輸が絡んでいるのかも
●写真
フランキーは父からバッシントンはハムプシャーの出だと聞き
マーチボルトに家を探しに来た際の商会を訪ねる
バッシントンは家を見てすぐ帰った
知り合いのウィリアムス警部に写真について聞くと
ポケットには1枚しかなかったと分かる
現場付近で濃紺の車タルボットを見た証言がある
ボビイは退院して、ロンドンでバッジャーと一緒にガレージの仕事で忙しくなる
●フランキーの計画
フランキーは知人の医者ジョージを連れて来る
ガレージで車を買い、ニセの事故を装い
ジョージが通りかかったフリをして
バッシントンがいるメロウェイコートの家で介抱してもらう計画を話す
ボビイは運転手に変装して、ベントレーを運転して迎えに来る手筈にする
●衝突
車を木に衝突させて、うまいこと家に入れてもらう
ジョージは軽い脳震盪だから、少し休めば治ると言って去る
シルビア夫人はかいがいしく面倒を見て
2人は親友のように仲良くなる
主人のヘンリイはぼーっとしている時と元気な時の差が激しく
麻薬常習者の特徴を思わせる
弟のロジャーは明るくスマートな青年
彼も兄が麻薬中毒であることを心配して
近くの麻薬患者を治療する病院のニコルソン医師に診てもらうよう勧める
シルビア夫人に写真を見せると、ニコルソンの妻モイラだと分かる
死体の男は知り合いのアラン・カーステァーズに似ていると言う
アランは探検家で、百万長者のジョン・サビイッチの親友
ジョンががんを気に病んで自死したのを疑っている
アランを家に呼んだのはリビィングトンという友人
●ニコルソン夫妻
ニコルソン医師の車がタルボット
フランキーのニセの事故を見破っているような言葉に怖くなる
医師ならモルヒネを持っていてもおかしくない
父からの手紙でボビイのロンドンでの住所を聞く男がいたとあり
また命を狙われる危険を怖れて、アングラーズ・アーム旅館に泊まることにする
ニコルソンの病院に裏から侵入すると、妻モイラがビクビクして現れる
その顔は写真と同じ女性
夫に命を狙われているという
●弁護士に化ける
フランキーはロジャーは犯人ではないと言い張る
ボビイを知人の弁護士に仕立てて、リビィングトン宅を訪ねる
リビィングトン夫人からジョンは医者からがんだと宣告されて自死したと聞く
モイラ:
夫はシルビアと結婚したいため
ヘンリイに麻薬を渡して殺し、自分も狙われている
ロジャーにポケットの写真を入れ替えたか聞くと素直に認める
モイラがスキャンダルに巻き込まれないようにという理由も筋が通る
ロジャーはケイマン夫妻が怪しいと言う
●銃声
ニコルソンはヘンリイが麻薬中毒だとシルビアに明かし
入院させるように言う
その後、ヘンリイは自室で銃をこめかみに撃ち自死
ボビイは本当に自死か疑うが、書斎のドアはカギがかけられ
そのカギはヘンリイのポケットから見つかった
それを見つけたのはロジャーだから、見つけたフリとも言える
モイラが行方不明になり、ニコルソンに殺されたか
閉じ込められているのではと心配する
ジョンの莫大な遺産は愛人に贈与されたという遺書を確認するため
弁護士を訪ねる
彼は上流階級の顧客を誇りにしているため、いろいろ話してくれる
ジョンが自死したのはチッピング・サマートン
ジョンは船上でテムプルトン夫人と知り合い
チッピング・サマートンの別荘に遊びに行った
彼は一種のがん恐怖症で、医師から診断されてノイローゼになっていた
ジョンの遺言により、テムプルトン夫人は70万ポンドを贈与された
死因がヘンリイと同じ“精神異常時における自死”で疑問を持つフランキー
モイラを救い出そうと再び病院に侵入したボビイは
後ろから殴られて気を失う
フランキーは、ボビイからチッピング・サマートンに
1人で来てくれという手紙をもらい向かうと
クロロホルムをかがせられて気を失う
●助けの神
2人は手足を縛られて監禁される
ニコルソンが来て、2人を崖から落として事故死にみせかけようと話すが
彼の耳の形が違うことから、ロジャーの変装だと分かる
バッジャーが屋根から落ちてきて、縄を切る
ロジャーと同級生で、芝居や、他人の筆跡を真似るのも上手かったと話す
ボビイとバッジャーはロジャーを縛ると
ニコルソンに罪をなすりつけようとしたことを飄々と話す
寝室にはモイラが麻薬を盛られて眠っている
警官と医者を呼ぶと、ロジャーは逃げた後
●エバンスの謎
ジョンの遺書を作成したのは弁護士、署名したのはコックと庭師
家にはエバンスという女中がいた
ここでようやく、アランが言った最期の言葉につながる!
ジョンに変装したロジャーが遺書を作らせた
女中が今どこにいるのか郵便局で聞く(昔は個人情報をすぐに教えたんだな/驚
エバンスはロバーツ夫人として、ボビイの実家、牧師館で家政婦をしている
牧師館に向かうとモイラが来ている
ロジャーがケイマン夫人と一緒に自分を狙っていると怯える
喫茶店で注文したコーヒーにモイラがなにかを入れるのを見て
フランキーが問い詰めると、銃で撃とうとして失敗
●僕が殺した
数週間後、ロジャーから手紙が来て、真相が親切に書いてある
モイラは麻薬の密輸で警察から追われ、ニコルソンと結婚
船でジョンに会い、財産目当てに誘惑
ケイマン、ロジャーと協力してニセの遺書を書いて殺した
ヘンリイを麻薬中毒にして自死に見せかけて殺したのもロジャー
エバンスを探してマーチボルトに来て、アランを突き落し
ボビイに見られたと思い、殺そうとして失敗
モイラが脱走を手伝い、自分に麻薬を打って寝室で眠っていたというトリック
この事件でフランキーとボビイは親密になる