昨日朝、とうとう母の直ぐ上の兄に当たる伯父が逝去しました。
葬儀一切を終え、先程帰宅しましたが、途中で大白鳥7~8羽が北へ帰るためでしょう、低く悠然と車の前を羽ばたきながらかたまって横切る姿に出逢いました。感動的で印象に残る一瞬のできごとでした。
自宅が大好きだった伯父は、家族に見守られて静かに息を引き取ったそうです。満93歳の老衰死でした。
10日程前、一時意識を回復した伯父は、家族に「長い間世話になった、有り難う」と言ったそうです。続いて珍しく色々な話しをしたそうですが、伯母に聞くと、耳が遠いので何を言っているか分からなかったと言います。老々介護の笑えない一コマです。
大正3年に農家の長男として生まれた伯父は、当時の尋常小学校卒業後、親を手伝い、やがて結婚して農業を継ぎ、六十数年間、大地と格闘しながら生きて来ました。
若い頃には二度、戦争にも徴用され、理不尽な上下関係が厳しい軍隊生活には嫌気がさしたと私に話した事があります。
普段は、時々酒を嗜む以外には、これという趣味のない人でした。労働に明け暮れ、実直に生きた人生は、まさに日本の農民の姿だったと思います。
ところで、最近は自宅で看病されて亡くなる人がとても少ないと聞きます。伯父の場合も、寝たきりになってからの家族の介護は、想像を上回る大変さだった様ですが、私は、毎日、訪問看護、訪問診療を受けながらのこんな最後もいいかなぁと思いました。
国も施設介護や、入院して最後を迎える高齢者をもっと減らしたいようですが、家庭で家族が最後を看取るには、ヨーロッパの福祉先進国の様に、毎日数回、入れ替わりで来て家族を手助けするホームヘルパーさんが必要だとつくづく思います。介護保険法で、早く、そのようなホームヘルパーの利用の仕方ができるようになって欲しいと願うのは、贅沢な事でしょうか。
頂いてきた菊や蘭を、伯父より35年早く逝った私の母の仏壇に報告しながら供えました。
当面、残された要支援2の伯母が、一人暮らしの生活をどれだけ続けられるのかが、差し迫った問題です。