最後に彼らから聞いたり、私が本を読んで知った事をいくつか書きたい。
まず大学生の学費である。
ロシアに変わってからは、日本の様に学費を払っているのだろうと思って聞いてみた。
すると国立総合大学に在籍している彼らは、「払っていない。」という。国立だけなのか、私立もそうなのかは分からなかった。
それと、彼らには毎月、奨学金が2500ルーブル(日本円で8000円位)が支給されていて、学費には困らないらしい。
6~8月の3ヶ月間もある夏休みには何をして過ごすか聞いたら、「勉強」「遊び」という。アルバイトはしないのかと聞くと、「少しの間、本屋で店員をする。」と答えていた。
留学して来ている2人の家庭は、夫婦共働きで一人っ子だから豊かな家庭らしいが、返済しなくて良い奨学金がもらえるとはさすが20年前まで社会主義国家だった影響かも知れないと思ったりした。
この間、図書館から借りたロシア関係の本を数冊読んだ。
「ロシア連邦がよ~くわかる本」(榎本裕洋著)によると、2000年以降、平均賃金が上昇しているが、半面で賃金格差が大きくなって来ているらしい。
ロシアの賃金は、労働生産性(1人の労働者が生み出す一定期間の付加価値)で決まるので、2005年では、1位燃料、2位金融、3位コークス・石油製品が突出して高い。4位燃料以外の鉱業、5位運輸・通信と続くが、女性の就業率が80%と1番多い教育、保健医療分野(医者も含む)の賃金は、全産業の平均賃金の70%以下に留まっていて、低賃金のため暮らすのがやっとらしい。そしてもっと最低なのが42%にしかならない農林業なのだという。
こんなところにロシアの経済構造の問題があると思った。
最後に社会主義時代が長かったロシアの男女は、社会的には平等なのではと漠然と考えていたが、彼らから「男性の定年は65歳、女性は55歳です。」と聞いて驚いた。
この本を読むと、建前上の男女平等はあるので労働力人口に占める女性の比率はほぼ半数(日本は41%)だというが、大企業のトップや国会議員の比率は日本と同程度で低いらしい。
2000年以降、金融保険分野、企業の経理分野で働く女性が増えだしているそうだ。
少子化は日本より進んでいるようで、面積世界1の国の将来は、決して明るいばかりではないようだ。
近くて遠い国ロシアの片鱗に触れたホストファミリー体験でもあった。