S:降谷さんの手書きの詩を持ってきてもらった。
僕もソングライターなので、こうした紙で自分の詩を清書したり、実際ソングライティングをしている時にこうした紙に言葉を書きなぐったりするときに使うんですが、
他のアーティストの、こうしたものを手にするとすごいドキドキする。感動する。
これはもうすでにできたものを清書したもの?
KJ:いや、これは完成形なんですけど、ばーと書きなぐりまくったものを最後に清書するんではなくて、俺のルールとしてA面の一行目から書いて、アウトローまで書いてサビへサビへって考えたりしないんで、
最初っから最後まで順番どおり書く。当たり前かもしれないけど
S:実際ソングライターが歌うところは見てもらうけど、実際その人がどんな字を書くのか見る機会がないので
(紙に書かれた何かのキャラのようなイラスト絵を見て)
S:これは?
KJ:ちょっと魔が差したのかもしれないね
16の時ぐらいの 自分で当然、自分で書いた歌詞を自分では持ってないので、
移籍をしたこともないし、デビューさせてくれたところでずーと音楽をやらしてもらっているので・・
何で書くのか?といわれると
書かないと覚えないから書いているので、別に打ってメールで送っても良いじゃないですか
書いたのを渡して行って、きっとディレクターが取ってくれているとおもうんですけど
S:これはまたヒストリーではないかな?
陽はまたのぼりまたくりかえす(の書かれたレポート用紙)
S:これはファンも感動的なんではないか。
KJ:本当だすげえ
S:これは「百合の咲く場所で」オリジナルな雰囲気が
KJ:何か ちゃんと書いてますね
S:「LET YOURSELF GO,LET MY SELF GO」
これはまた他の紙が違う
KJ:字も違いますね、ちょっと小さいですね
S:これ書いたときのこと何か覚えてる?
KJ:今住んでいる家の二個前に住んでいた家のリビングで書いた。夜に。昼には書けないです。
相当短時間でいっぱい詩を書いていて、はい、ばーと書いて
S:詩人の持ち物というかね、ファン、聴き手、どうやってその本人から言葉が立ち上がってくるのかというのは興味津々だと思う、やっぱりこうした詩のシートとかノートとか、ネタ帳とか見る機会というのはすごく大きな経験だよね。この「繋がりSUNSET」というのは最近の曲だよね。
KJ:2ヶ月3ヶ月かけて書いた詩なので、達成感というか思いがありますね。
「繋がりSUNSET」
S:一番苦労した曲って
KJ:書くのに2ヶ月ぐらいかかって
一日一行書ければ良いって
書いてまた消して
S:一曲に対してずーと意識を持ち続けるのって可能なの?
KJ:可能でした。滅多に俺しないのでそういうこと
20代最後に書いたんですよ。20代最後に出したんですよ。
自分が何をかすがいにしてきたのか何を獲得してきたかって考えて
繋がりだなあと思って、
ちょっと大袈裟だけど、ロックバンドのライブって、
次の週末をライブが出来るって考えてやっているのと
俺はこのライブでもうライブが出来なくなるかもしれないって思ってやっているのとではちょっと違う
後者のことでやるというのは、てめえの全部を置いていこようって思うようになるじゃないですか。でも毎回できるわけでは到底なくて、俺は好きでやっているので、毎回そういう風に落とし込めるかと言えばそうではないんだけど、でも出来るだけ感じなんな時、大事なとき明日もし手が動かなくなったら、声が出なくなったら
悔いが残らない勝負をしておきたい。「繋がりSUNSET」はそういう曲
KJにとって仲間たちとかを感じるfellow(仲間)っていうのは大切ですか?
KJ:凄く幼稚な発想ですけど、俺一人では飯食えないタイプで、友達を誘ったり、嫁と一緒に食べたり。
一人で飯食うのが嫌なんです。みんなと分かち合ってこそ楽しい、旨いみたいな。簡単なことだけど、俺にとって大切。分かち合えないものは、個人の部屋であれば良いと思っていて、ドラゴン・アッシュという場所は、個人の部屋というよりは、メンバー皆で住んでいるリビングルームだから、みんなで共有できるものをそこに置いて
S:はい
「繋がりSUNSET」の映像
学生からの質問
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繋がりSUNSETが一番苦労したという話でしたが、逆に一番好きな曲の歌詞は?
最近配信だけで出した「CALLIN'」って曲
最近、言葉をアートの一部としないというか、暗号のような感覚になってきていてて、ちょっと おっさんになってきたのかもしれないけど、
俺ってこんなに真っ直ぐな言葉で物事を言えるんだなって、何か新鮮で、ライブとかでもさあ、
配信だけなんで知らない奴っていっぱいいるじゃない?でもあんまり言葉を詰めてないから全部言葉を聞き取れたりとかさ、初めてやってんだけどわかるみたいな
音楽の力の一番でシンプルで重要なものをやってて、これにまたやられて打ちのめされているという
CALLN'は良いかなって
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よく歌詞の中に 百合 とか リリーとかというのが出てくるんですけど、「百合」に込めた意味は?
自分は音楽を通して凄い嫌な思いも良い思いも沢山しているし、音楽をやっているだけではなくて
音楽業界の中で生きているから、そんなに胸を張って言えないこととかもさ、あるし、実際セールスがなかったら食っていけない訳じゃない?俺らの職業はさ、だけど、音楽を作っている時とか、ライブで来ているひとたちへの接し方とか、音楽に対する気持ちだけはピュアーでなければアーティストはダメだと思うし、後でそれが伝わった時に評価されるものだから、自分はそれが正しい 好きなことだって思ってないと何かおかしいと思うのね、職業作家ではなく、自分でバンドやっているわけなんで
花言葉で凄い清らかなもの純白で純粋なものって意味だから
音楽に対する気持ちや姿勢は白百合のようなものでありたいなって思っている。
すみません、こんな濃い顔で・・
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ドラゴン・アッシュのコンサートに中学から行ってるんですが、ライブで一番感動することは?
見ている人の涙かな。
見に来てくれている人の感情移入っていうかな。感動だけじゃないけどね、ライブとかもそうだけど自分が好きでやっているだけなのに、こんなに多くの人が見に来てくれて、音楽だけでこんなに奮い立ったりしてくれて、いろんなジャンルがあるけどロックって喜怒哀楽を全部そこに置いていければ良いなと俺は思ってやっているから。怒れる高ぶる思いを凄いアッパーな曲に投影させて、すっげー暴れてみたりとか、、哀しい気持ちとか、笑顔とかを そういう曲に投影して、全部置いていってもらえたら最高だと思うのね。俺らもそうやってるから。
それが実感できたときは本当やってよかったなっ幸せだなって思う。
○
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東京外国語大学でスペイン語を始めたきっかけがドラゴン・アッシュのLos Lobosです。歌詞にスペイン語を使うきっかけになったのは?(それで今年からスペインに留学するまでになりました)
まずラテンっぽいものを取り入れたきっかけは、音楽的な話になるんですけど、
ビートとか体感リズムとかを大切にしてて、 リズムを突き詰めていくと ラテンとかが一番あちーなっと、フラメンコみたいな
ガットギターとリズムセクションだけでだいぶさせる曲というのを模索してて、リズムがこうだから、こういう言葉の方が合うという日本語をポンポンと置いていくより。こんな軽い感じで・・
頑張って下さいスペイン。
○
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ツアーのインタビューで
このバンドでずっとやっていこうって思ってないし、人と人との関係なんてっていうのはいつ壊れてもおかしくない。と話をされていたんですが、「繋がりSUNSET」の話で裏と表がある
明日もこいつと一緒にうまくやっていると、俺はうまくやっていけない。来年もアルバムを作れると思うと
もうこいつとは今日しか話ができないと思うと次の日ちょっときついかもしれないけど、一緒にがっつりと話をしたりするじゃない
そういう積み重ねが繋がりを生むので
俺はそういうものにあんまり縋りたくはないなと思う。
○
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これから大人になっていく僕たちに望むこととアドヴァイスがあったらお願いします。
痛いロックバンドのヴォーカリストの話だと思って聴いてもらいたい
しょうがない って言葉が大嫌い 日本語の嫌なところで
言葉のわびさびで上手く片付けてしまう。
単に諦めているだけなのに
しょうがないってことで片付けてしまっているのは良くない 絶対しようはある。
○
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僕は21歳なんですが小学校から、ずっと聴いているんですけど、尊敬する人は?
父親。じじいなのに、好きなことをずっと続けている。自分の好きなことに陶酔していけるフロンティア精神を持ち続けている。凄い格好良いなと思う。
○
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父親になった今、息子さんにどのように育って欲しいと思いますか?
音楽はやって欲しくないかな。
親父のおじいちゃんが、もう死んじゃったんだけど、カメラマンなの、親父が俳優で、俺が音楽なので何かを表現することが向いているかもしれないけど、かぶってもね。その景色はがきの頃からもう見れるんじゃねえ?
同じ職業はやっぱり嫌かな、そりゃあ石川遼君みたいになれたら一番良いけど、あんまりしょうがねえと言わねえように、好きなことを見つけて、ガッといけるやつをやっていって欲しい。
○人生とは何だと思いますか?
例えば、色んなことをする人がいるじゃん。職業が色々ある、音楽もやるし、俳優もするし、踊りもやるし、みたいな、俺はそんな色んなことが出来る才能はとっても格好良いと思うんだけど、人生一回だとすると、限られた時間しかないから何十年かで見れる景色っていうのは限られていると思う。だから俺は音楽を通してできるだけ一番深い景色を見てやろうって思っている。色々やるっていう方法もあるし、青春時代を全て落とし込んで、30までになってもまだロックバンドをやっている生き方もある。どっちが格好良くて、どっちが正しいというわけではないんだけど、景色の見方ってそう何十通りもあるとは思わないので、早く自分に合ったものを見つけていった方が意義あるというか意味のあるものになるんじゃないのかな。俺はまだロックを通してみたい景色がいっぱいあるから。
学生でないと、こういう景色は見られない。俺は大学に行ってないからサークルとかめっちゃ憧れたりするけど、今しか見れない景色を、そういうのを重ねて男子は良い年輪を重ねて自分なりのものを模索してはどうでしょう?
降谷退場後
S:最初に彼に会ったのは彼が18歳の頃でした。彼は言いました。
自分達の音楽が誰にも理解されてないだろうと言ってました。
そのハングリーな精神は今もふつふつとしてあるな。今日話を聴いていて思ったのは、
彼の信念は全くぶれてない
ということですね。誰に訴えかけるのか、誰に歌いかけるのか、そのターゲットは全然ぶれてないと思いました。