こちらのHPより聞くことができます。
良い企画ですねー教授
反訳してみました。
「out of noise」
1:hibari
雲雀です。子供の時からグレン・グールドのファンだったんですが、とてもアーティスティックなピアニストでユニークな人だったんですね、彼の色んなことを調べていると彼は夏目漱石の「草枕」の大ファンだということを知り、もしかしたら、草枕をもとに曲を書こうとしていたのかもしれない、という話もあるんですが、その草枕の小説の冒頭に雲雀が飛び立って声だけ残して消えていって見えなくなってしまう。という下りがあるんです。そのちょっとしたエピソードに僕は感動して、とても音楽的だと思いまして、その雲雀というとても象徴的なタイトルをいつか使いたいなと思っていた訳です。
2:hwit
フーイットと発音するんじゃないか と思うんですけど、実はこれ、なんと古い英語なんですね。意味はWhiteということなんです。最初はWhiteと呼んでいたんです、この曲を、でもwhiteの直接的では面白くないなと調べていたら古い形の、古いと言っても500年くらい前だと思うんですが、whiteという言葉から想像してもらえる白い世界と思っても良いのですが、聴き方によっては非常にカラフルな世界とも聴けるかもしれません。その辺は聴く方の本当に自由な想像に任せるんですけども。
このトラックはですね、純粋にフレットワークというイギリスの古楽を演奏するグループだけが弾いているトラックです。だんだん音が積み重なっていくような。そして積み重なった中で、綾が中で変化していくという、イメージなんですけど。
3:still life
日本語で言うと「静物画の生物」。よくスザンヌなどが描いてますよね。「still」というのは止まった「life」は生物。
元になったイタリア語では「死んだ生物、死んだ自然」という意味になります。ナトゥーレ・モルト
音的にはフレットワークにも参加してもらいながら、日本の雅楽の古い楽器 笙を東野珠実 (とうの たまみ)さんに演奏して頂いてます。のギター、それと僕のピアノの即興がある訳です。
4:in the red
たまたまニュースで見ていた時、NYで黒人のお爺さんが火事で焼きだされた時に焼けた家の前で「何もかにも失ってしまったけど俺は平気だよ、俺は生きているから」本当に10秒足らず短いおじいちゃんのコメントだけど、面白いと思って、許可をもらって使わしてもらった。
最新機材<中古のウーリッツア(エレキピアノ)、アップライトピアノ、フィールドレコーディングといってテレビとかで録音した音がコラージュされている>
5:tama
言霊とか言いますよね。魂ですねこれは。
ここではですね、非常にシンプルに2曲目でも演奏してもらった雅楽で使う笙という楽器の奏者である東野珠実 (とうの たまみ)を吹いてもらってまいす。そこにニューヨークで知り合ったまだ20代の若いバイオンを弾く青年がいましてロブ・ムーストというんですけど、彼にダビングして貰ったと。
それで後ろでカランカランカランという鈴のような音はですね、僕が僕ん家で、その辺で録音した備長炭の音ですね。炭の音です。たったこれだけ、とてもシンプルです。どこか空間を感じさせる曲なのではないかなと思います。
6:nostalgia
日本語にすると郷愁とか、自分の故郷を思ったりとかですよね。もう亡くなってしまった場所とか、物とか人を思い出したりするそういう気持ちといったら良いのでしょうかね。
僕の好きな映画監督の一人であるロシア人のタルコフスキーという人がいてですね、彼の有名な映画の一つに「ノスタルジア」というのがありますので、ま、ある程度の影響は受けているわけですけど。ここではですね、もしかしたらこれが一番シンプルかな、そんなことないかな?僕のピアノ、これがまた間の空いた、ほぼ和音だけのつながりにですね、5曲目でのtamaでも演奏してもらっているニューヨーク若いバイオリニストのロブ・ブーストが非常に繊細な日本語で言うと過疎的というのかな、囁くような音でバイオリンを弾いて貰っています。本当にそれだけのシンプルな曲なんですけど
7:firewater
僕が二年前かな?奈良の東大寺の有名なお水取りを見に行ったんですよ。お水取りというと有名な大きな松明を持ってお坊さんがお堂を持って駆け回って、その火の粉を浴びると一年健康でいられるというのがありますけども。
びっくりしたのはその東大寺というのは奈良時代に日本がね大和朝廷が仏教を国教つまり国の宗教と認めて、その一番中心として大仏をもってこう作ったというお寺ですよね。時の中心のようなお寺ですよ。日本中のそこにですよ、そこの大切な経の中に、
お神楽、お神楽というのは神道ですよね。山伏、これは修験道。これは民間信仰です、こういう人たちまでいるんですよ。非常に不思議ないわゆる神仏習合と言わますけど、古代的な姿がそこにあって、そのお神楽がとても良かったので、僕は本当に。手持ちの小さなレコーダーで録った音を使っているので火と水というね、お水取り、たいまつの火という。
火達磨が暴れまくるような、ちょっとこれは、これまでの非常に静かな曲調とは違う断ち切ったような曲
8 disko
これはグリーンランドにあるディスコ島という島です。ここに上陸して色々見学したんです。行って先ずビックリしたのはですね、このdiskoという曲で使われている犬の鳴き声ですね。島中に響くかのような大きな声で沢山の犬が鳴いているんですよ。といのも
人はそんなに暮らしていないんですけど一軒あたり50匹くらい、あるいは100匹くらい犬がいるんですよ。それらは勿論ペットではなくて、犬ぞりを引く犬です。
これが寒い庭に庭のような所に、鎖で繋がれている。ワンワンとというよりも、
キャイーンキャイーンと、ワンワンではなくて、キャイーンキャイーンですね。非常に悲しい鳴き声がするので・・ちょっとビックリしたんですけど。これも小さなレコーダーで自分で録った音なんですけれど、その一部を一種のドラムループのようにループさせて使っています。それにコーネリアスこと小山田圭吾君のギターが乗っています。
9 ice
この8曲目から9・10と勝手に三部作とよんでいるんですが、すべて僕が自分で録音した北極圏の音の一部、ほんの少しだけですけどね。ほんの数分使っているわけなんですけど。8曲目のdiscoでは犬の鳴き声ですね。次に聴いてもらうのはiceですけど、ここではですね。僕達がゴムボートで北極圏の海に漕ぎ出しまして、沢山、氷山が浮いているところに行きまして、海中の音を録音してました。小さな氷の粒粒がですね、ゴムボートの周り寄ってきて、シャワシャワという音を立てて、それがとても良い音なので使ってみました。また時間と場所を越えて小山田君のギターもそこに乗せているんですけど。
10 glacier
北極圏三部作の三作目なんですけど、glacierこれは氷河という意味です。その名の通り、僕達一行は比較的小さな氷河のあるところに上陸しまして、自然にできた三角形の氷の洞窟があったんです、そこに入っていって、持参した小さな小さな鈴と言うかベルですね鐘の音を録音したりとか、そしてその洞窟のすぐ前にですね。氷の下なんですが水が流れていたんですよ。でその氷を割って、本当に小さな流れ、これはまあ、そこにある氷河の氷が溶けて流れになっている訳なんですけども、その、そうだなあ、水深せいぜい15センチくらいの非常にピュアな水の流れ音をとりたくてね、やはり水中マイクをそこに突っ込んでとったんですけども、まあ今、本当に溶けたばかりの、多分何千年か前の氷河のピュアな水の音を前面にひいてある この氷河という曲。そんときの色々な風景とかですね、感じたことを思い出しながら色々な音を前編に置いていったんですけども、想像してみながら聴いてみて下さい。
11 to Stanford
この曲はですねコトリンゴさんの曲です。コトリンゴがこれを作ったのはもうだいぶ前ですね、もう4年くらい前だと思うんですけど、非常に短い1分ちょっとくらいの、デモテープがあるんですけど、それを聴いた時にもう僕は本当に惚れてしまってですね、その曲に、でコトリンゴの自分の二枚目のアルバムで彼女ももう少し長くしてちゃんとした曲の体裁にしてですねちゃんと録音したんですけど、それを僕が曲がもとても好きなものだからカバーしてます。ピアノ二台で弾くようなアレンジにしてます。一台でメロディを弾きながら、もう一台は伴奏的なものなんですけど。まあ、そういう発想をしたのはですね去年、2008年8月にロハス・クラッシックというのがあったんですけど、そこでゲスト出演してくれたコトリンゴと僕とでピアノ二台でこの曲を弾いたんですが、そん時はとても良くてね、楽しくて面白かったので、ピアノ二台でやるのは面白いなと思って。今度はニューヨークに帰って自分で二回弾いてですね。メロディ役のピアノも弾き、それを聴きながら今度、伴奏役のピアノも弾くという形にしてみました。
12 composition 0919
「composition」というのは作曲という感じですかね。0919はこれは9月19日ですね。自分で忘れないように日付とか入れておくのでファイル名に。それが一番分かりやすくて良いんですよね。日付で整理といね、超整理術。坂本龍一の超整理術。普通じゃないかってね。まあそれは良いんですけど。音楽の方はですね、自分が出演しているある携帯のCMのために書いた曲なんですが、最初の一小節は似ているんですけど、テレビで使われているのは、それをCM用に少しアレンジして、ビートなんかも入れて聴きやすくしてあります。これが一曲目のhibariとちょっと似ているというか。純粋にピアノ一本だけみたいな。
だから12曲目から1曲目に、こうまたジャンプして飛び移りリピートしてもですね、自然に聴けるような配置に一応してみてあります。曲の作り方もミニマリズムというか、一曲目のhibariに関連性があると言いますかね、そういう作りになっています。ここで使われているのが僕の新器材であるアップライトピアノですね。