高校時代、「世界史」は好きな科目の一つだった。
しかし、その歴史的意味も分からないまま単に「ルターの宗教改革、1517年」と出来事を
記憶するだけのお粗末なものだった。
大憲章マグナカルタ、権利章典、アメリカ独立宣言、フランス人権宣言と続く「人権宣言の系譜」の
歴史的意味については、社会人になってから宮沢俊義著「憲法Ⅱ」(有斐閣法律学全集4)を繰り返し
精読して学んだ。
そして、その時学んだ「基本的人権」の真に意味するところについては、人権侵害行為が日常茶飯事の
「田舎暮らし」を始めてから、ようやく理解出来た。
今朝の毎日新聞の「余録」を読んで、そんなことを思い出した。
(堤拡幅工事で発生する大量の土は、道路沿いの畑にはダンプで、山沿いの畑には運搬車で運んでいる。
その中に割り込み、軽トラ10台分を畦道修理用に高森に運んだ)
2017.3.7 毎日新聞「余録」
近代憲法の「元祖」といえる中世英国のマグナカルタ(大憲章)は王の権力を制限したい貴族らがジョン王に
迫って制定させた。
その第4条は未成年の貴族の相続地を管理する後見人の損害賠償条項である。
当時は後見人となった国王の役人が、管理する土地を勝手に収奪して荒らすケースが多かったらしい。
貴族たちはよほど頭にきていたようだ。
課税の制限や人身保護の規定に先立って、その損害を賠償させる条文を憲章に置いたのだ。
こうみれば「憲法」は、管理をまかせた土地を勝手に荒らす役人への怒りが生んだといえなくもない。
そういえば最近も似た話を聞いたような・・・と思い当たる方には、その話を徹底解明せずに改憲を説かれても
容易に納得はできまい。
森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられていたとの疑惑で国会が空転した。
財務省はすべての文書を確認できぬ状況だとして実質的な説明を避けたが、与党からも「理解できない」と批判が
出るありさまだ。
おりしも税の申告期、国税庁長官はこの問題で交渉記録はないと答弁していた前理財局長とあってメディアの前から
姿をくらましている。
不透明な国有地処分や徴税への国民の不満をあまりにも軽んじた政権と財務省の剣が峰である。
振り返れば近代初の成文憲法である米国憲法も植民地住民の税への不満の爆発が生んだ。自民党の中では改憲案作りが
進むが、税や公の財産をめぐる生々しい国民の不満や怒りこそ憲法の原点なのをお忘れか。