穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

空涙の女狐(メギツネ)とコンピューターおたく

2022-02-17 09:33:28 | 書評

 二匹のモンスターのご紹介

  まずはポジション・レポート。あと二百ページほど読むと読了となります。忙しい仕事の合間に読んでいますのでなかなかはかどりません。
 さて、モンスター(はてモンスターの女性形はあったかな)の一人は女性で十歳から三十歳あたりまでが小説なんですが、絶世の美少女から美女、空涙を自由自在に流せる特技がある。もっとも空涙(ソラナミダと読みますね)はどんな女性でも持っているジェンダー技と言えるかもしれませんが。作者が描写するのはこのくらいなんですが、目つきが猫のように鋭く光ることがある。
 男のほうはどうかというと、作者によれば暗い目つきの男の子で長じては、高校生ぐらいになると、コンピューターおたくになる。ちょうどそのころ、つまり1980年代にマイコンなる文化が出来て、マイコン業界の急成長に連れて、彼の扱うものはワンボードマイコン、マイコン、ラップトップパソコン、パソコンに変わる。この辺は作者が史実に基づいてフォローしている(ような)のでその当時を知るものとして、初期マイコンブームに熱狂した小生としても懐かしい。
 最後は二十年後、つまり1973+20で前世紀のラストディケイドあたりなんだが、今まで読んだところでは、外出先で使える電話は公衆電話しか出てこない。自動車電話もショルダーフォンも出てこない。いわんや携帯電話やスマホは影も形もない。ポケベル全盛期だからポケベル(アメリカではペイジャーと言いました)の話は盛んに出てくる。彼ははさみで影絵を切り抜くことが特技である。最後はこの大型ハサミで自殺?するらしい。
 勿論二人のモンスターは全編にわたってヘビのように絡み合うのだが、その記述というか謎解きはこれまでのところ全然記述されていない。最後の謎解きがあるらしい。だからこれは私のネタバラシ、じゃない、推測です。