穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

題名赤と黒は特定の集団を表しているのではない

2023-10-23 19:17:00 | 書評

赤と黒は特定の集団、社会階級を表していないのでは?

赤は主人公の特殊な獣欲才能、美貌の未亡人をたらしこんだり、下巻では自分を引き立ててくれた侯爵の娘をたらしこんだり、のソレルの特殊才能のことだろう。

そうすると黒は何だ。二十世紀の中ごろから使われだした「ノワール小説、あるいは映画、と同じ感じではないか。訳すなら黒=暗黒ということだ。

特定の社会集団組織とは関係がないだろう。それだと黒に該当する説得力があるものがない。一種のレトリックだね。

インターネットを見ていたら面白いものを見つけた。年代は分からないが、フランス版の表紙の写真だ。「ルージュ エ ノワール」だが、ルージュはフォントでいえば12ポイントなのにたいしてノワールは24ポイントと倍以上の大きな活字なのだ。この表紙がスタンダール生前のものなら、作者の意向を反映したものだろう。ようするに現代語で言うなら、これは「ノワール小説」なのだ。うまく纏まったかな。お後がよろしいようで。。。

訂正:ソレルが最初に狙ったのは未亡人ではなく、人妻でした。訂正します。