穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

バック・ミラー読み

2023-10-24 19:37:15 | 書評

#さて、ポジション・レポートは相変わらず下巻120ページあたりで停滞。そこで気を取り直して?最後にあるスタンダールの自著宣伝文と翻訳者の解説を読んでみた。

自著宣伝文は自作がイタリアで出版計画があり、自著宣伝のためにスタンダールが書いた文章を本文と同じ翻訳者が翻訳したものだが、普通は宣伝のために自著を解説すると、本文より分かりやすく書ものだろうが、この「赤と黒について」は本文の要約としては余計分かりにくくなっている。もっともこれは翻訳者に責めがあるのかもしれない。

しかし、結局イタリアでは出版されなかったそうである。

#この文章の後ろには翻訳者小林正の解説「スタンダール 人と作品」という付録があるが、わかりやすく言うと「読むに堪えぬ文章」である。そこで売り上げ記録を見ると、初版は昭和33年で令和元年までに88刷でている。いささか唖然とした。

日本人の読書レベルがそんなものかな、と思った。これを読むと本文の翻訳の質はどうなんだろうと疑問に思った。

そこで残りを最後まで読むかどうか迷っている。

#話は違うが本日中公文庫で谷崎潤一郎の「疎開日記」を買った。永井荷風が終戦末期に谷崎を訪れたというので買ってみた。読んで面白ければ後日紹介したい。