ミステリーの価値を謎解きに置くなら有栖川有栖の「双頭の悪魔」は拙劣きわまる小説である。記述の進め方はド素人なみである。ここだけでこの小説の商品価値はなくなっている。
なお、有栖川有栖は「ヒッチッコックの描いた『交換殺人』」云々と書いているがヒッチコックはパトリシア・ハイスミスの小説「見知らぬ乗客」を映画化したにすぎない。この映画のシナリオを書いたのは、ちなみにレイモンド・チャンドラーである。
前に原作を読んだ記憶があるが印象は薄れている。一応さまになっていた記憶がある。映画もまずまずの出来と覚えている。特に看護婦役のいかにもそれらしい女が適役と感じた記憶がある。
訂正の予感:女は看護婦ではなくて薬剤師だったかもしれない。記憶はっきりせず。