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決勝戦:スペイン対ギリシャ(さいたまスーパーアリーナ)


準決勝で負った骨折のためエースのパウ・ガソルを欠いたスペインが、準決勝でUSAを破ったギリシャを圧倒した。最終スコアは70対47。USAから100点以上をとったギリシャを、その半分以下に抑えたのだから、スペインのディフェンスがいかに素晴らしかったか容易に想像できるだろう。

ギリシャ相手に、2-3のゾーン・ディフェンスとマン・ツー・マンディフェンスを巧みに使い分けたスペインだった。しかし、どちらのディフェンスのときでも、ギリシャのローポストプレーヤーがボールを持つと、すばやくダブル・チームを、ときには3人がかりでトリプル・チームを仕掛け、ギリシャのセンター陣にまったく仕事をさせなかった。1対1のディフェンスでも強烈なプレッシャーをかけ続けながら、機を見てダブルチームを仕掛け、そのカバーリングに次の選手が入る。見事なチームディフェンスだった。

攻めでは、カベサス(6番)、ナバーロ(7番)、カルデロン(8番)のガード陣が魅せてくれた。独特のテンポから積極的にドリブルインをし、ゴール下で詰まったところから、まわりの選手に好パスを供給する。そして、そのパスを受けた選手が確実にシュートを決める。この日、アウトサイドでパスの受け手となったセンタープレーヤーのガルバホサとガードのナバーロは2人で10本もの3ポイントを決めた。

第2クォーターが終わり、43対23とスペインが20点差をつけたところで勝負はあった。ギリシャは準決勝でUSAを破ったことで、燃え尽きてしまったのだろうか。1試合40分間の間には、必ずギリシャのペースになることがあるだろうと、後半のギリシャの奮起に期待をかけたのだが。

案の定、後半、第3クォーターの序盤、ギリシャが先に得点を挙げ、スペインが何本かシュートミスを犯す。ギリシャの時間が来たか、と思いきや、スペインの8番カルデロンのドリブルプレーで、スペインがペースを取り戻してしまった。せっかくのチャンスを生かせなかったギリシャから勝機は完全に去った。

その後の試合に見るべきものはなかった。ただただ、スペインの世界選手権初優勝の瞬間を待つだけだった。

決勝戦らしい緊張感みなぎる接戦を期待していたので、ちょっと残念な得点差となってしまった。しかし、優勝したスペインのバスケットボールを生で見ることができたのは貴重な経験だった。なにしろ、スペインのガード陣がボールを持っているときの、すなわちドリブルをしているときの独特の間合い、テンポ、身のこなしを楽しむことができた。彼らは、まるで猛々しい闘牛と対峙する勇敢なマタドール(闘牛士)のようだった。

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