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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



北京オリンピック観戦記(6)

サッカー女子 日本0対2ドイツ
2008/8/21 北京・工人体育場

「なでしこジャパン」が出場した、サッカー女子3位決定戦を見た。

日本の相手は、昨年のワールドカップ優勝で、現在世界ランク2位のドイツ。前半を0対0で引き分けたことで、後半の終盤まで無得点のまま粘り、最後に日本が得点をし、逃げきり、という絵を想像し、期待していたのだが……。

前半は、やや抑え気味のドイツに対して、これまでのような高い位置からのプレスとパスまわしで、どちらかというと日本のペースで進んでいた。しかし、ドイツの守備は堅い。左サイドでチャンスを作ろうとする宮間がなんどとなく大柄なドイツ選手に倒されていた。

ドイツは、抑え気味ではあるものの、ボールを奪って、チャンスとみるや全員で押し上げる。緩急をチーム全体で共有できているところが素晴らしい。後半、ドイツは作戦どおりに、押し始め、2点を奪い、ドイツが3位となった。

試合のなかでの緩急のつけかたを全員で共有していること、前後半でペースを変えられるだけの余力があること。この2点でドイツが確実に日本を上回っていた。日本も健闘したが、敗れて当然という内容だった。

世界大会で初のベスト4に進出したことで、日本女子サッカーが目指す頂点は、まだまだ遠いということを実感できたのが、北京オリンピックだった。

試合後、ピッチの周りのドリンクボトルを片付けていた宮間のユニフォームは、泥と白線のペンキで汚れきっていた。何度もチャレンジし、何度も倒された証しだった。

強豪との対戦後、宮間のユニフォームの汚れが目立たなくなったとき、さらに頂点に近くなっていることだろう。



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北京五輪観戦記(5)

8月20日朝、北京に向かう中国国際航空のなかで読んだCHINA DAILY(中国日報)という英字新聞の一面トップは、劉翔のリタイヤだった。金メダルが期待されていたアテネ・オリンピックの男子110mハードルの王者は、右アキレス腱を痛め1台のハードルも跳ばずに「鳥の巣」を去っていた。新聞の中面でも、まるまる1ページをさいて、涙するファン、ケガの解説、コーチのコメントなど、彼のリタイヤにまつわる記事を載せていた。

しかし、劉翔と契約しているNIKEは、この悲惨な出来事を冷静にみていた。一面に劉翔の苦痛の表情が載っている、そのCHINA DAILYの最終面にNIKEの全面広告があった(大会期間中、最終面をすべて買いきっているらしい)。その広告では、劉翔の顔のアップに、以下のコピーが添えられていた。
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LOVE COMPETITION
LOVE RISKING YOUR PRIDE
LOVE WINNING IT BACK
LOVE GIVING IT EVERYTHING TOU'VE GOT
LOVE THE GLORY
LOVE THE PAIN

LOVE SPORT EVEN WHEN IT BREAKS YOUR HESRT
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王者だけでなく、リタイヤした者までも主役にするのがNIKEの広告なのである。


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