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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



クラマーさんを訪ねる旅(24)

バイエルン・ミュンヘンのクラブハウス(練習場)の見学の後に残った、今回の旅の最後の企画は、ベッケンバウアーが生まれ育った家を訪ねることだった。

その家は、バイエルンのクラブハウス近くから、市電で3、4駅先で降りたところにあった。今回の旅のプランを練って、いろいろ手配をしてくれた駿河台大学のドイツ語の先生、明石さんが、近所の人に聞いて探し当ててくれた。

そこは、何の変哲もない4階建のアパートだった。そのアパートのなかのひとつがベッケンバウアーが生まれた家のはずだった。

ぼくらが、そのアパートの入口で写真を撮っていると、通りかかったおばさんが、怪訝な顔でたずねてく。「何をやっているの?」

見慣れない東洋人が、それもいい歳をしたおじさんばかりが、一生懸命、アパートの写真を撮っているのだから無理もない。

「ここは、サッカー選手の、ベッケンバウアーが生まれた家なんですよ」

そう答えると、よけいに不思議そうな顔になる。ベッケンバウアーを知らないのだろうか。

アパートから赤ちゃんを抱えて出てきたご婦人も、なんのことやらと驚いた様子を隠そうともしなかった。

そこに住んでいる人たちを驚かせてしまったことを気にかけながらも、ぼくらは十分に満足して、その場所を後にした。



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