私はこれまで電力会社といえば、地域を代表する優良企業で、
優秀な社員と優秀な技術力を持っていると思っていました。
原発事故やその後の対応を見ていると疑問が湧いてきました。
そして週末開催された原発比率の意見聴取会の報道を見ていて、
それがまったくの誤りであったことを確信しました。
電力会社のやり方は、センスがなく稚拙でびっくりしました。
政府が将来の原発比率について国民の意見を聴くために開いた
意見聴取会では、原発依存度0%、15%、20~25%の
3つのシナリオについてそれぞれ3名が意見を述べます。
一昨日の仙台市で開かれた東北地区の意見聴取会の会場では、
20~25%の原発推進シナリオの意見を述べた3人のうち、
1名は東北電力の執行役員、1名は東北電力関連団体幹部でした。
その場で東北電力の公式見解を表明したと報道されています。
なぜ「国民の声」を聴く場に、電力会社の幹部を出したのか、
主催者の政府側にも大きな問題があります。
さらに昨日の名古屋市の中部地区の意見聴取会の会場では、
中部電力の課長がやって来てトンデモナイ発言をしました。
中部電力の課長は「放射能の直接的な影響で亡くなった方は、
1人もいらっしゃいません。それが5年、10年たっても、
状況は変わらないと考えております」と公言しました。
アラブの国だったら中部電力本社は焼き討ちにあうでしょう。
福島第一原発周辺の避難者の人たちの痛みをまったく理解せず、
それで原発を推進するのは言語道断だと思います。
そもそも「国民の声を聴く」場に原発の利害関係者を選び、
意見を述べさせた政府の対応には大きな問題があります。
電力会社の意見を述べる場は、これまでたくさんありました。
電力会社や電事連は、相当なお金をつかって広報活動を行い、
世論形成に大きな影響を与えてきました。
しかし、ふつうの国民が意見を述べる場はあまりありません。
政府に意見を述べる場をつくるなら、電力会社の社員ではなく、
ふつうの会社員や農家、主婦や大学生の意見を聴くべきです。
また、電力会社のセンスのなさも光りました。
自社の社員を意見聴取会に送り込んだら反発を受けるのは当然で、
むしろイメージダウンにつながるのは明らかです。
なぜそのことに気がつかないのか不思議でなりません。
ましてや「原発事故で死んだ人はいない」なんて暴言を吐けば、
世論のバッシングを招くのは必然だと思います。
こんな「やらせ」をやっていたら電力会社への不信感は深まり、
さらに脱原発の世論は沸騰していくことと思います。
電力会社の広報担当は、信じられないほど無能です。
こんな無能な会社に、原子力発電所みたいな危険なものを
任せるわけにはいかないとますます思うようになりました。
電力会社の自爆テロ的「やらせ」は大失敗に終わりました。