毎日新聞 4月19日(日)9時30分配信
兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(2005年)で亡くなった乗客の遺族を対象に、毎日新聞はアンケートを実施して事故への思いや心身の状況などを尋ねた。25日に発生から10年を迎える事故について、風化を「感じる」遺族が回答者の9割近くに上った。一方で、心身の状態が発生直後より「よくなった」人は2割に満たない。関心が薄れる社会と悲しみが癒えない自らとの落差に苦しむ姿が浮かんだ。
アンケートは面談や郵送などで2月から4月上旬にかけて実施した。事故では乗客106人が亡くなっており、このうち犠牲者40人の遺族45人から回答を得た。
事故の風化を感じる遺族は40人で、回答者の89%を占めた。その理由については、「事故を知らない人たちが増えた」が23人、「事故が話題に上らなくなった」が22人で、それぞれ回答者の半数いた(複数回答)。「事故が忘れられ、また繰り返されるのではという恐怖感がある」(70代女性)などと、事故再発への不安を訴えた遺族もいる。また、13人が「遺族同士の交流が減った」と答えた。遺族が集まる場を定期的に開く活動が事故直後から続いているが、負担の重さなどから開催が減っている。遺族が孤立感を深めないよう、こうした場を設定するための支援が求められる。
一方、発生直後と比べて心身の状況が「どちらかというと良くなった」と答えたのは7人(16%)にとどまり、「どちらかというと悪くなった」の方が13人(29%)で多かった。10年の歳月を経て、不眠や食欲不振といった具体的に表れる症状は改善しているが、急に涙が出たり事故当時のことを突然思い出したり、内面に悲しみを秘めている人も多い。
また、時間の経過と共に、発生直後とは異なる悲しみが生じている遺族も多い。60代の男性は「亡くなった娘の同級生の結婚や出産を聞くと、学生のままの娘の姿を思い出して胸が苦しくなる」と説明した。【JR脱線事故取材班】
◇被害者支援を続ける津久井進弁護士の話
事故への関心が薄れ、風化することに不安を感じる遺族も多いだろう。だが、今も弁護士や医療関係者、市民団体など、被害者に寄り添う人たちがいることをもう一度思い起こしてほしい。「決して一人ではない」と呼びかけたい。多くの人が事故に注目し、遺族ともある程度気持ちを共有できた発生直後とは、確かに状況は異なる。だが、この事故の被害者は列車の乗客であり、誰もが自分の身に引きつけて考えることができるはずだ。乗客106人の命が奪われた事故の重大性について、10年の節目に社会全体が改めて考えてほしい。』
JR福知山線脱線事故は、JR西日本と私鉄阪急電鉄と阪神電鉄の競合する地域で、電車のスピートと時間の競争に有ったと思います。鉄道会社は、安全第一も乗客への一番大切なサービスのと思います。乗客を安全に運ぶ責任と義務有ります。昔はJR福知山線蒸気機関車が走り、電化された線路安全ヘの改善がなされていたのでしょうか。昭和一桁の人、事故に遭ったら怪我し損、死に損と言われますがすが。未だ何ら戦前と変わらない体質や補償問題では、亡くなられた方々は成仏出来ず、家族は泣き寝入りです。