柔道観戦だけが唯一の成果だった19回目の日ロ首脳会談
さすがにウソは書けないと見えて、読売、産経、NHKをはじめ、すべての大手メディアが北朝鮮に対する制裁強化について、安倍・プーチン会談でも対立は解けなかったと報ずるしかなかった。
私が驚いたのは、あの共同経済共同活動でさえに思惑の違いが浮き彫りになったと多くのメディアが報じたところだ。
つまり安倍首相は北方領土返還のごまかしで経済共同活動を進めようとしているのに対し、プーチン大統領は大統領選に向けて日本のカネで極東の開発を目論んでいるというわけだ。
経済制裁どころか、下手をすると、日本がモタモタしているなら北朝鮮のカネで開発するぞ脅かされかねない。
安倍首相の今回の訪ロがいかに不毛だったかは、会談後に発表された日露共同発表の要旨を見ても分かる。
そこには、目新しい成果は皆無だ。
今度の首脳会談に限らず、首脳会談に先立って外務省や谷内正太郎NSC局長がロシアのカウンターパートと事前協議するのが外交の常だ。
そして、その協議の目的は外交交渉というよりも、首脳会談の中身をどう売り込むかというメディア対策が中心である。
今回も谷内局長はそれを必死でやっていた。
ところが、共同発表を見る限り、それもうまく行かなかったようだ。
売り込む中身さえ作れなかったということだ。
いったい何のために安倍首相はウラジオストックくんだりまで出かけてプーチン大統領と首脳会談したのか。
そう思っていたら読売新聞が小さな囲み記事で書いていた。
安倍首相はロシアのプーチン大統領、モンゴルのバトトルガ大統領と、ウラジオストックで開かれた柔道交流大会を観戦したと。
なるほど、19回目の安倍・プーチン首脳会談のハイライトは柔道観戦だったというわけだ。
なるほど、これなら納得できる(了)