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浅野秀弥の未来創案
【円安ドル高の仕組み】
2017年9月14日大阪日日新聞社
日本の問題点、未解決
「株高円安は不安」と本欄で書いたら、「なぜ円安がいけないのか?」という質問を読者の方から頂いた。今回は、為替レートのおさらいをしてみよう。
通貨は表裏一体で、仮にドルが高ければ反対に円は安くなる。為替レートが1ドル100円とする。1ドルで100円のモノが買え、反対に100円で1ドルのモノが買える。次に1ドル120円と円安に振れたとする。この場合、「昨日は1ドルで100円のモノしか買えなかったが、今日は同じ1ドルで120円のモノが買える」ことになる。つまりドルが円に対して「強くなった=高くなった」と表現する。裏を返せば「昨日は100円持っていれば1ドルのモノが買えたのに、今日は同じ100円で83・3セントのモノしか買えない」ということになる。これを円が「弱くなった=安くなった」と表現する。
日本から自動車を輸出する場合、日本での原材料費が同じだとして円安の場合は、ドル換算で安く売れるので競争力が増す。一方で日本に原油や天然ガスを輸入する場合、円高だとドル換算で安く買えるので支払総額を抑えることができる。
企業にとってのメリットは、「輸入側か、輸出側か」で異なり一概に言えない。旅行する場合は、日本から出て行って外国で円を現地通貨に替える時、円安だと手元に入る外貨が少ない、逆に円高だと多い。外国からのインバウンド客はこの逆だ。訪日客が増え続けるのは円安の恩恵を受けやすいからで、彼らには「日本での買い物が安くなった」という印象になる。
2国間為替レートはこう書くとしごく単純だが、実際はユーロや中国人民元などとの交換レートも絡んでくるから話は複雑。しかも、為替レートは以前とあまり変わらなくても、その国が経済的に力を付け全体にインフレ(物価上昇)基調になると、外国人から見て「物価高だなぁ」という印象になる。
日本経済は株式相場に官民のお金がどんどん流れ込み株高を維持しているが、貿易経済の力強さを計る為替レートはいつまでも円安のままで、国内のお金の流れの力強さを示す物価指数も相変わらずのデフレ(物価下落)基調では、わが国経済が「好循環している」とはとても言えない。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。