「インフルエンザ」がさらに猛威を振るい始めた。今シーズン既に1度かかって苦しい思いをした人も、2度目の感染に気を付けたい。

 国立感染症研究所の集計によると、全国約5000の定点医療機関からの報告を基に推計した1〜7日の患者数は約124万人で、前週の101万人より20万人ほど増加している。厚労省は1月下旬から2月にかけてピークを迎えるとみて、注意を呼び掛けている。

 最も多いのは2009年に流行して新型インフルエンザといわれたA型(H1N1【pdm09】)だが、今年はさらにB型にも要注意だという。「北品川藤クリニック」の石原藤樹院長が言う。

「例年のパターンでは、まずA型が流行して、それがやや落ち着く2〜3月くらいにB型がはやります。しかし、今年は年明け直後くらいからB型の患者さんが増え始めていて、流行の立ち上がりが早い印象です」

 確かに、このところB型への感染にまつわるニュースが相次いで報じられている。7人組のアイドルグループのメンバー4人がB型を発症して公演が中止に なったり、他のアイドルグループでもB型を発症したメンバーの活動自粛が発表された。3歳の娘がB型にかかったことをブログで明かした元アイドルのママタ レもいる。A型と同時にB型の流行も始まっているのだ。

 インフルエンザは、一度感染すると免疫反応による抗体ができて、一般的にはその後1年程度は同じ型にはほぼ感染しなくなる。インフルエンザの予防接種も この免疫の働きを利用していて、ウイルスから取り出して作られた「不活化ワクチン」をあらかじめ接種して、同じウイルスが侵入しても感染症になりにくくす る。

 しかし、異なる型のインフルエンザウイルスには感染してしまうため、同じシーズンに何度もインフルエンザを発症するケースもある。インフルエンザシーズンの初めにA型に感染した人が、今度はB型を発症する危険もあるのだ。

「今のインフルエンザワクチンは4価ワクチンで、今年度はA型2株(H1N1【pdm09】/H3N2)とB型2株(山形系統/ビクトリア系統)が入って います。B型は流行するのはどちらか片方の系統のみという傾向があり、今シーズン予防接種を受けた人は、流行のタイプが網羅されているため効果があると考 えていいでしょう。予防接種を受けていない人は、A型にもB型にも注意する必要があります。シーズン中に一度、どちらかの型に感染した人も安心はできませ ん」

■A型より症状は軽めだが…

 しかも、A型とB型では症状に違いがあるため、自己判断で「これはインフルエンザではないだろう」と決めつけるのはやめた方がいい。

「A型は激しい症状が出るケースが多く、38度を超える高熱が続き、関節痛、筋肉痛、頭痛、ひどい寒けなどの強い全身症状が表れます。インフルエンザとい うと、これらの症状をイメージする人がほとんどでしょう。それに比べ、B型は症状が穏やかな場合が多い。個人差はありますが、ずっと高熱が続くのではな く、熱が上がるのは夜だけで昼間は下がったり、37度程度の発熱で終わる人もいます。また、咳、嘔吐、下痢、腹痛といった症状を訴える人も多く、風邪の症 状に似ています。そのため、単なる風邪だと思っていたらB型だったという人も少なくありません」

 B型で症状が軽かったとしても、インフルエンザには違いない。そのまま放置すれば、家庭や職場でウイルスをまき散らすことになり、感染を拡大させる危険 がある。発熱や咳が続いたり、少しでも全身症状が表れたら、すぐに医療機関で検査を受けた方がいい。これから受験を控える子供を持つ親はなおさら注意した い。

「もちろん、予防も大切です。A型とB型に予防法の違いはありません。人混みではマスクを着用して、マスクの表面は触らない。手洗いとうがいをしっかり行 う。インフルエンザの流行は3月ごろまで続きます。A型だけでなくB型も流行していることを頭に入れて、しっかり対策を講じましょう」