年末にパレスチナ情勢に思いをはせる
2018-12-25
しばらくパレスチナ情勢について書かなかった。
書くことがなかったからではない。
書く気が起きなかったからだ。
パレスチナ情勢がますます絶望的になりつつあるからだ。
米国史上、かつてないほどイスラエル寄りのトランプ大統領が米国に
誕生する一方で、イスラエルのパレスチナ政策がますます弾圧的になっ
ているだ。
その先は、いつ起きてもおかしくないパレスチナの武装抵抗とイスラ
エルの鎮圧という暴力の連鎖でしかない。
考えるだけでも憂鬱になる。
そう思っていたら、パレスチナ情勢に関する貴重な記事を二つ見つけ
たので紹介したい。
ひとつはきょう12月25日の読売新聞に掲載されたフランスに亡命
したレバノン人作家アミン・マアルーフ氏の中東の現状に関するインタ
ビュー記事だ。
彼はこう語っている。
「イスラエルとパレスチナの新たな和平合意は不可能です。イスラエ
ル人の占領地への入植が進み、パレスチナ人は今や少数派。入植者排除
はもはや無理です。(しかしイスラエルが)占領地を併合することもで
きない。併合はパレスチナ人にイスラエル国籍を与える事を意味し、国
家のイスラエル性が失われる。(だからといって)国籍を与えなければ、
南アフリカのかつての人種隔離政策にも劣ります。イスラエルは袋小路
にあります。中東は今最も暗い時代です・・・」と。
まさしくその通りだ。絶望的な状況にあるのだ。
もう一つの記事はやはりきょう12月25日の東京新聞である。
ヨーロッパ総局の沢田千秋記者が「視点」で イスラエル批判はタブ
ーか、と題する興味深い論説を書いている。
その要旨はこうだ。
つまり今年9月に開かれた英国労働党大会で大きな論争点になったのは
EU離脱問題だけではなかった。
パレスチナ問題も大きな問題だったというのだ。
私は知らなったのだが、親パレスチナで知られるコービン労働党党首が、
反ユダヤ主義者だと批判にさらされたというのだ。
これはひどい。
イスラエルの国際法違反の入植を批判しただけで反シオニストの烙印を
押されるのだ。
イスラエルの駐英大使までも英国労働党の党大会の会場に入って、堂々
と英国労働党首を批判する。
この傲慢さはなんだ。
唯一の救いは、それでもコービン氏が屈しなかったところだ。
「人種差別とは戦うが、中東和平は(イスラエルによる)入植と占領が
終わった時に訪れる」とイスラエル批判を曲げなかったという。
このような政治家が日本に一人でもいれば、日本の中東政策も正しいもの
になるに違いない(了)