日本遺産、新たに16件 楠木正成ゆかりの大阪・河内長野など
文化庁は20日、地域に伝わる文化や風習、史跡などを1つのストーリーにしてつなぎ、歴史的価値を一括認定する「日本遺産」に、南北朝時代の武将・楠木正成ゆかりの地として知られる大阪府河内長野市の「中世に出逢えるまち~千年にわたり護(まも)られてきた中世文化遺産の宝庫~」など21道府県の16件を認定した。
日本遺産は地域の有形、無形の文化財などを生かした観光振興と地域活性化を目的に創設。市町村が単独、あるいは連名で、地域の文化や歴史にまつわるストーリーとその構成に欠かせない文化財をまとめて申請し、文化庁の有識者委員会が審査する。今回は72件の申請があった。
河内長野市の「中世に出逢えるまち」は、楠木一族ゆかりの金剛寺と観心寺を中心に栄えた町並みが「都市近郊にあって中世文化遺産や景観を良くとどめた豊かな地域」と評価された。
このほか京都の清水寺や奈良の長谷寺など7府県にまたがる33カ寺の観音巡礼を、人生の締めくくりに備える「終活」ととらえた「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」や、大阪府泉佐野市の「旅引付(たびひきつけ)と二枚の絵図が伝えるまち-中世日根荘(ひねのしょう)の風景-」などが認定された。
認定は平成27年度に始まり、今回で5回目。新たに岩手、鹿児島、沖縄の3県に日本遺産が誕生し、累計で46道府県の83件となった。文化庁は東京五輪・パラリンピック開催の令和2年に100件程度とすることを目指す。
◇
■日本遺産 地域の文化財の魅力を高め、観光資源として積極的に活用する目的で、文化庁が認定している。寺社や城郭、祭り、伝統芸能など複数の有形・無形の文化財で構成される。有識者委員会が、外国人にも分かりやすい物語性や日本遺産を生かした地域振興策などを審査する。認定されると、国が観光ガイドの育成や多言語のホームページ作成といった取り組みを財政支援する。