「スキッパー」ってナニ?旅館・ホテル業界が震撼する恐ろしい存在です
『ABCテレビアナウンサーの津田理帆が、ニュースを一夜漬けで調べ、イラストを交えてわかりやすくお伝えする。「お絵描きニュースそもそものトコロ」
「スキッパー」ってナニ?「スキップする人」?いいえそうではありません
今日のテーマは、今問題の「スキッパー」です。スタッフから、「スキッパーの絵をかいて」と言われたんですが、私は、スキップする姿しか思い浮かびませんでした。
「スキッパー」とは業界用語で「無銭宿泊する人」
実は、宿泊施設を利用しながら、料金を払わずに立ち去る人のことなんだそうです。ホテル業界で使われる「業界用語」で、支払いをすっ飛ばすことから、スキッパー。高級旅館やホテルに多い「後払いシステム」を悪用します。
10連休GWでも「スキッパー」逮捕
この10連休でも現れた「スキッパー」過去にはもっとスゴイ連中も・・・
実際、最近こんなニュースがありました。10連休中、北海道の温泉旅館に、無銭宿泊した2人の男が逮捕されたんです。この二人、宿泊代はもとより、マッサージ代やお土産代など、合わせて18万円を支払わなかったというんです。マッサージ代やお土産代まで「部屋付け」にして、支払わなかったんですね。ひどいです。
過去にはホテルで豪遊し154万円踏み倒した「スキッパー」も
舞妓を上げての大豪遊・・・それを踏み倒すとはホテル側もたまりません!防衛策はないのでしょうか?
宿泊しておいて、チェックアウトをすっ飛ばして逃げるのは今に始まったことではありません。2008年には、新潟県の旅館で5人で16連泊した家族が、106万910円を支払わずにスキップしちゃいました。
旅館が代金を請求すると、コンビニでお金をおろしてくると言って、全員車に乗って行って、それっきりに…なにも全員で下ろしに行かなくても…と思います。
さらに、2012年には、30代の男が京都市内のホテルに8連泊し、154万円を支払わずに逃げてしまいました。この男は、1泊10万円の部屋に泊まって、毎晩のように舞妓さんを呼んでいたということで、こんな額になってしまいました。ただ、この男もいろいろ考えていたんでしょうか。半月ほど前、このホテルに3日間滞在し、その時は30万円をキャッシュで払ってるんです。これで「いいお客さんだ」と信頼させた可能性もありますね。
4人家族で荷物がリュック1つ・・・従業員がピンときて
旅館側も「無銭宿泊注意情報」をみんなで共有して防衛してるんですね。
ただ、旅館側もだまされているばかりではありません。
2011年のケースです。愛知県の老舗旅館に、4人家族が泊まりにやってきました。駅から遠いのに、迎えの車を断って、荷物は家族でリュック1つだけ。宿の方は、「なんだか、普通のお客様とは違うなぁ」と感じたそうです。そこで、温泉協会からFAXで届いていた「無銭宿泊注意情報」を確認してみたところ、この家族、ほかの宿が被害を受けた事例と似ていた。そして、宿帳に書かれた住所を調べたところ、実在しなかった。ここでおかしいとなって、警察に通報したというんです。家族は、最終日の夕食に「車エビ」を注文していたそうですが、それを食べることなく御用になりました。
怪しい客の見分け方は・・・でも完全に防ぐことは困難
注意情報や客の様子を観察するなど対策はいろいろあるのですが、完全に防げないのには何か理由がありそうです。
この宿の方に、怪しいお客の見分け方を聞いてみました。「見た目でわかるのは、『お客様の人数に対する荷物の量』くらいですかね。少なすぎても多すぎてもなんだか怪しいなぁと思いますが、それだけでは判断できません。近隣旅館からの「注意情報」FAXが頼りです」とおっしゃいました。被害を受けてこの旅館では、防犯カメラをつけたり、インターネットの宿泊予約を導入して事前清算をしてもらうようにしているそうですが、ネット予約でも「現地払い」を選べる申し込み方法があり、名前や住所が架空のこともあって、完全に防ぐことは困難だとおっしゃっています。
スキッパーを防げない背景に「おもてなしの心」
旅館・ホテルの「おもてなしの心」が「お客様を疑うのは失礼」となり、スキッパーたちがそこにつけ込む。。。悪質です。
事前にカードを提示してもらったり、デポジット(預り金)を取ったり、いろいろと解決策はありそうなんですが、それを徹底しない背景には、宿泊業界に、「お客を信用すること」=「おもてなし」という考え方が、根強く残っているんだろうなぁと感じました。』