ヤエヤマブキ(八重ヤマブキ)は、小さな黄色の花弁が幾重にも重なり八重咲きする豪華な花姿が魅力的な園芸品種です。花は一重咲きの花と違い、雄蕊が花弁化しており、雌蕊も退化しているため、秋に果実が実ることはありません。この美しい花は、春から夏にかけて一斉に開花します。また、ヤエヤマブキは、気品、崇高、金運といった花言葉を持ちます。
室町時代後期に活躍した武将太田道灌は、ある日、鷹狩に出かけました。ところが急に雨に見舞われ、近くの粗末な小屋で蓑を借りようとしたところ、中から若い娘が出てきて、黙って山吹の花の一枝を道灌に差し出しました。道灌は花を求めたのではないのに、娘の真意を理解せず怒って立ち去りました。
後でこのことを家臣に話すと、それは、「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞあやしき」という古歌を踏まえたもの、娘は貧乏で道灌様にお貸しする蓑一つもございませんということを、山吹に託して告げたのですと答えました。これを聞いた道灌は自らの無学を恥じ、それ以来和歌に精進し、立派な歌人になったと言われています。この逸話も有名です。
八重のヤマブキ