少し前に「ソニー・ロリンズVol.1」をご紹介しましたが、今回はその翌年1957年4月に吹き込まれたVol.2の方を取り上げたいと思います。このアルバム、まず言及すべきはジャケットのカッコ良さ。青みがかったトーンにテナーを持ったロリンズがくっきりと浮かぶデザインはさすがジャケットを芸術にまで高めたブルーノートならではです。実はこのアルバムとほぼ同じ構図のジャケットをイギリスのポップシンガー、ジョー・ジャクソンが1984年「ボディ・アンド・ソウル」(ビルボードTOP20入りした”You Can't Get What You Want”は名曲)で採用しています。次に言及すべきはメンバーの豪華さ。サイドに名を連ねるのがJ・J・ジョンソン(トロンボーン)、ホレス・シルヴァー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)と全員がジャズ・ジャイアンツばかり。さらに6曲中2曲でセロニアス・モンク(ピアノ)が加わると言う、今から考えると信じられないようなラインナップです。
(左)ソニー・ロリンズ (右)ジョー・ジャクソン
全6曲。うち3曲目"Misterioso"と4曲目"Reflections"がモンクの参加曲です。特に”Misterioso”は1台のピアノをモンクとシルヴァーがシェアして代わりばんこに演奏するというかなりユニークなスタイル。最初のピアノはモンクで彼特有の不思議なピアノをバックにロリンズ→モンクの順でソロを取り、その後シルヴァーに交代してJ・J→シルヴァー→チェンバース→ブレイキーの順でソロを取る盛りだくさんの内容。"Reflections"はJ・Jとシルヴァーが抜けたカルテットで、モンクらしいちょっと不思議な旋律のバラードです。以上、話題に事欠かないのはモンク入りの2曲ですが、他の4曲も内容的には劣らない、どころかむしろ上です。1曲目”Why Don't I"と2曲目"Wail March"はロリンズのオリジナル。前者はアルバムのオープニングを飾るにふさわしいエネルギッシュなナンバーで、ビシバシと煽り立てるブレイキーをバックにロリンズらが貫禄のソロを繰り広げます。後者はJ・Jのトロンボーンが凄まじく、冒頭2分間にわたって超高速パッセージを連発する鬼テクを見せつけます。5曲目と6曲目はどちらも有名スタンダードの"You Stepped Out Of A Dream"と”Poor Butterfly”。特に"You Stepped Out Of A Dream"は数多くあるこの曲の決定的名演と言って良く、ブレイキーのド迫力のドラミングに乗せられて全員がノリに乗ったソロをリレーして行きます。"Poor Butterfly"はスローバラードでロリンズ、J・J 、シルヴァーが歌心たっぷりのバラード演奏を聴かせてくれます。