ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

テナー・コンクレイヴ

2024-04-26 20:05:56 | ジャズ(ハードバップ)

ジャズマニアの間で行われる遊びでブラインドフォールド・テストと言うものがあります。レコードのアドリブだけを聴いて一体誰のソロかを当てる、という奴ですね。私は基本的にはジャズはリラックスして楽しく聴けば良いという考えなので、こういうマニアの高尚な知識比べには否定的なのですが、今日ご紹介するプレスティッジ盤「テナー・コンクレイヴ」などは思わずそういう聴き方をしたくなってしまいます。何せ集めも集めたりテナー4本、しかもハンク・モブレー、ジョン・コルトレーン、ズート・シムズ、アル・コーンと名だたる顔ぶればかりです。リズムセクションもレッド・ガーランド(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)となかなか豪華なのですが、4本のテナーの前には霞んでしまいますね。録音年月日は1956年9月7日です。なお、プレスティッジはこういう企画が大好きで、他にフィル・ウッズらアルト4本の「フォー・アルトズ」(ただし、CD廃盤のため私は持っていません)、テナー3本の「ホイーリン&ディーリン」、トランペット3本の「スリー・トランペッツ」、テナー4本の「ヴェリー・サクシー」等があります。

まずはオープニングのモブレー作のタイトル曲"Tenor Conclave"。4人が順にイントロを吹いた後、各自のソロに入ります。1番手はクセのないまろやかなトーン、モブレーでしょうか?続いては同じくまろやかなトーンですが随所にひねりが入るあたりがズートっぽい。続いてややオールドスタイルな感じのテナーは正直ピンと来ませんが、逆に言うと消去法でアル・コーンですかね。最後のコルトレーンは1人だけ全然違うので一発でわかります。2曲目はオールドスタンダードの”Just You, Just Me”。同じような聴き分けでモブレー→ズート→コルトレーン→コーンと推測します。3曲目”Bob's Boys"はコルトレーンが一番手で、後はコーン→モブレー→ズートでしょう。4曲目はアーヴィング・バーリンのバラード”How Deep Is The Ocean?"。コーン→ガーランドのピアノソロ→ズート→チェンバースの弓弾きソロ→コルトレーン→モブレーかな?

結果はと言うと、自分の予想とライナーノーツを照らし合わせたところ全曲正解でした。ジャズを聴き始めて25年。ようやく一人前のジャズ通になれた!と言いたいところですが、こんな聴き方リラックスできないですよね。とは言え、はっきり言ってこの作品、普通に聴いてても特に面白くないんです。何せ4曲中最初の3曲が同じようなミディアムテンポの曲ですからね。随所にガーランドらのソロも入りますが、基本ひたすらテナーなのでさすがにダレます。私はコルトレーンもモブレーもアル&ズートも全員好きですけど、いっぺんに4人はtoo muchです。タイトルにあるコンクレイヴとはラテン語でコンクラーヴェ=ローマ法王を選ぶ枢機卿会議、のことらしいですが一部ジャズファンの間でタイトルをもじって「テナー根比べ」なんて呼ばれているのも納得です。

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