Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

パッチギ!

2006-03-15 | 映画(は行)


◼️「パッチギ!」(2004年・日本)

監督=井筒和幸
主演=塩谷瞬 高岡蒼佑 沢尻エリカ 楊原京子

井筒監督作を僕はあまり観たことがない。「ガキ帝国」あたりのせいか、どうも喧嘩喧嘩の暴力的映画のイメージがどうしてもあった。この「パッチギ!」だってそう。朝鮮学校のアンソンを中心とする面々は対立する空手部たちと常に喧嘩を繰り返している。正直この抗争が物語の上でも延々と続くのが、僕はどうも観ていて馴染めない。どうも苦手なんよねぇ。タイトルの”パッチギ”は頭突きのこと。”度胸でぶつかる青春映画”で、そっちのお話がメインなのかと思っていた。

でもこの映画の中心は、塩谷瞬扮する主人公松山の恋物語。アンソンの妹キョンジャに恋をして、彼女に近づきたい一心から朝鮮語を覚え、「イムジン河」を歌う。その恋を通じて知る日本と朝鮮の間に深く横たわる現実。「私と結婚して朝鮮人になれる?」とキョンジャに言われる場面、「お前にいて欲しくないのや。」と言われる葬式の場面の切なさ。いろんな思いを込めて主人公はラジオで「イムジン河」を歌う。発売禁止処分となった歌。スタジオでのトラブルを乗り越えてオンエアされた彼の歌は、人々の思いを変えていく。この場面は涙を誘う。大友康平扮するラジオのディレクターが歌わせまいとする局の社員に「この世に歌っちゃいけない歌なんかない」と言い放つ台詞は心に染みる。「イムジン河」をバックに様々な人々の思いが交錯するこのクライマックスは実に素晴らしい。

観てから数日、僕はフォーククルセイダーズの曲を改めて聴き直している。「悲しくてやりきれない」は、矢野顕子のカヴァーでしか知らなかったし。もちろんフォーク全盛期はリアルタイムではない。社会人になって職場のおっちゃんたちが「あの素晴らしい愛をもう一度」をカラオケで歌うのを聴いてきたけれど、あの曲でこんなに感動しるとは思わなかったよ。映像と音楽が一体となる瞬間、そこには映画でしかなし得ない感動があるんだ。あの時代の空気を再現しようとするディティールも凝ってましたね。それにしても音楽にお詳しい坂崎さんって、やっぱり幸之助なのかなぁ?。



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