Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ジブリアニメで泣いたこと…ありますか?

2008-08-27 | 映画・ビデオ
職場でジブリアニメの話題になった。
「崖の上のポニョ」を観た人が数名いて、こんな話になった。

「あれ観て泣いたって人がいるんだけど…。」
「私はビミョーだったなぁ。」
「泣けたジブリアニメって何でした?」
「そりゃ「ほたるの墓」でしょ。何度観ても泣いちゃいます。」
「あれ、観るのが怖いんだよねぇ。」
「妹が元気なところを観ても、その先がどんなにかわいそうか考えて泣いたりするんですよ。」
「「おもひでぽろぼろ」は?」
「あれは泣く映画じゃない。でも主題歌よかった。」
「トトロも泣きましたよ。」
「泣きすぎ。」

「takさんは?」
「実は…「魔女の宅急便」。」
「えー!?」

 社会人になって最初の盆休みのことだった。その頃の僕は学生時代に描いていた社会人生活と現実とのギャップで、やや落ち込んでいた。
”オレっていったい何ができるんだろう?”
思い上がっていた訳じゃないけど、思った以上に難しいし、うまくいかない。”これだけ”しかできない自分を腹立たしく思い、さらにこれから先の自分が不安で仕方なかった。

 そんな盆休みの最終日に、今はなき大分ロマンで一人でこの映画を観た。笑っちゃうだろう?それが宮崎アニメなんだなんて。

 魔女と普通の父親との間に生まれた主人公キキ。魔女の世界のしきたりで13歳になったら自立するために旅に出なければならない。キキは海の見える街にお供の黒猫ジジを連れてやって来た。飛ぶことしか能のないキキは、空飛ぶ宅急便屋さんとして働くことになる。人々とのふれあいや様々な経験をして成長していく様子が鮮やかに描かれていく。

 これまでの魔女っ子アニメの主人公が使う魔法は、他の人と違って”何でもできる”能力だった。それが彼女たちを視聴者憧れのヒロインとするのに不可欠な要素だった。ところがキキは飛ぶことしかできない。しかも物語の途上でその力さえ失ってしまう。これは普通に暮らしている僕らが「これしかできないから・・・」と健気に頑張る姿と何ら変わらない。キキの一生懸命さに、僕はいつしか”これだけ”しかできない自分を重ねていた。元気に立ち直るラストに僕は心の中で拍手した。今の自分をこれ以上励ましてくれる映画があるだろうか?そう思った。映画館の片隅で僕は泣いていた。

 今でも ♪やさしさに包まれたなら を聴くと、その時の気持ちを思い出す。僕は宮崎アニメで何が好き?と尋ねられると、「ナウシカ」や「ラピュタ」よりも「魔女の宅急便」をまず挙げてしまう。これがその理由なんだ。

魔女の宅急便魔女の宅急便
角野栄子

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