■「クララ・シューマン 愛の協奏曲/Geliebte Clara」(2008年・ドイツ=フランス=ハンガリー)
監督=ヘルマ・サンダース・ブラームス
主演=マルティナ・ゲデック パスカル・グレゴリー マリック・ジディ
僕はそれ程クラシックに詳しくはない。シューマンやブラームスの名前は知っている程度だ。ロベルト・シューマンの美しい妻クララは作曲家・ピアニストでありながら、多くの子供を育て夫を支える気丈な女性。そんな彼女を女神のように讃える若き音楽家ヨハネス・ブラームスが現れる。夫の作曲のよき理解者となった彼は、シューマン家に同居を始めることになる・・・。とはいえ、夫ロベルトはブラームスの才能は認めながらも、妻との仲を疑い始める。ブラームスは若さ故にクララに気持ちを表現することを止めない。
いやぁ・・・こういう愛の貫き方もあるんだな。映画の最後に語られるのは、ブラームスはシューマンの死後、クララと共にいながら支え続け、クララの後を追うように亡くなったということ。ブラームスは倍近く年が違うクララへの愛をプラトニックに最後まで貫いた。クララがステージで演奏する姿を、じっと見つめ続けるブラームス。ステージのすぐ側で見ている彼は、客席にはいない。それは他の観客と同じクララのファンでありながら、もっとも近い立場にいる。でも触れたくても触れない微妙な距離感を表現したものだろう。もっとドロドロした愛憎劇を想像していただけに、こんな純愛だったなんて驚き。ロベルト・シューマンがクララに看取られる場面にも泣かされる。それぞれの愛の形にとても感動させられた。
女性の指揮者を認めない当時の風潮や、ルール炭田が富をもたらしている状況、当時の脳外科手術・・・いろいろと興味深い場面もあれこれ。「善き人のためのソナタ」のマルティナ・ゲデックがクララを熱演。映画「哀愁のトロイメライ」ではナスターシャ・キンスキーがクララを演じているそうだが、こちらはロベルトとクララが結ばれるまでのお話。こっちも観てみたいなぁ。
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