■「東のエデン劇場版Ⅰ The King Of Eden」(2009年・日本)
監督=神山健治
声の出演=木村良平 早見沙織 江口拓也 五十嵐麗
フジテレビの深夜枠で放送されたアニメーションである「東のエデン」。突飛だけど魅力的な設定と、物語に込められた社会に対するものの見方、風刺・・・人に勧められて見たのだが、これがすっかりハマってしまった。テレビシリーズをDVD借りてすべて見た上で、いざ劇場版へ。
滝沢朗が日本をミサイル攻撃から救った最終回。その後、彼は記憶を消して咲たちの前から姿を消す。咲の友人たちは自ら開発したエデンシステムを使って起業。ニートを名乗っていた彼らも次第に社会との関わりがうまれようとしていた。咲は、ノブレス携帯に残されたメッセージを頼りに、失踪した朗を捜すため単身アメリカに渡る。そこから始まる冒険を描いたのが本作だ。
もともとスケールが大きい話だけに、劇場版だから・・・というスケール感は残念ながらない。しかし謎だった他のセレソンが登場して朗に関わってきたり、色っぽい黒羽お姉さまが朗を助けてくれたりと新展開が面白い。そして今回も映画の引用がニヤリとさせる。それにセレソンの一人に変な映画監督がいたりとかも面白い。でもねぇ・・・テレビシリーズをきちんと見ていないと説明不足な箇所も多い。黒羽がジュイスを失ってしまう場面にしても・・・。映画版単独では成立していないのが、やや残念でもある。ただこれは後半を観た上で判断しなければいけないんだろうなぁ。
まぁそれはそれで、この物語の大きな魅力のひとつは滝沢朗のキャラクターにあるんだな、というのは再認識できる。テレビシリーズの最後で「王様にしてくれ」とジュイスに要求した彼は、今ドキの人に頼りがちな若者像とは違う能動的なヒーローだからだ。なくした記憶をたどるという彼なりの自分探しや、救世主ゲームはもちろん彼なりの悩みでもありうるけど、彼はそれを楽しむ気持ちがある。僕ら世代が見ても彼の行動や台詞に勇気づけられることが多々ある。それは監督の今ドキの若者に対するメッセージでもあるし、現代ニッポンのなんともいえない空気に対するメッセージでもあるんだろう。早く、早く続きが観たいよ。
東のエデン 劇場版I The King of Eden DVDスタンダード・エディション 角川映画 2010-03-24 売り上げランキング : 292 Amazonで詳しく見る by G-Tools |