Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

TSUNAMI -ツナミ-

2010-09-20 | 映画(た行)

■「TSUNAMI -ツナミ-/Haeundae」(2009年・韓国)

監督=ユン・ジェギュン
主演=ソル・ギョング ハン・ジウォン パク・チュンフン オム・ジョンファ

災害に立ち向かう映画はこれまでにもたくさん製作されている。ビル火災だったり、台風だったり、竜巻だったり、森林火災だったり、大地震だったり。災害シーンは確かに見どころだろうが、極限状態に置かれた人々の人間ドラマこそが映画の出来を左右する。さて、韓国製ディザスタームービー「TSUNAMI」は、これまで地震が少ないとされてきた日本海で海底地震が頻繁に起こるところから始まる。海底の地殻変動を探知した地質学者は度々政府に警告を発するが、まったく政府は重要だと思ってくれない。日本が警報を出しても「日本は心配性の国」だなどと言う。波の高さがこれまでにない規模のメガ津波が来るという警告を軽んじる。日本海にそういう危険要素って実際はどうなんだろう・・・と思いながらもお話は続く。

主人公はソル・ギョング演ずる元船乗り。かつてスマトラ沖地震の津波に遭遇し、そのときに亡くなった男性から娘を頼むと言い残されている。その勝ち気で男勝りな娘を演じているのがハ・ジウォン。この二人の進みそうで進まない恋物語を中心に、周囲の人々が描かれていく。沿岸警備隊員の弟、彼に救われて以来つきまとう女の子、連れ子、母親、開発の利権で設けようとする地元有力者であるおじ。それぞれのエピソードは確かに面白いのだが、なにせハイピッチで物語が進行して情感に乏しいのが残念なところ。しかしその分だけ飽きさせない。情感という点でよかったのは、自分の気持ちを告げる為に父親の墓参りに誘う場面。涙ながらに気持ちを訴えるハ・ジウォンはよいね。これまで泣き叫ぶような役は少なかったイメージがあるし。多くの登場人物をうまいこと絡めている脚本は練られているなと感じた。

津波の映画だけに沿岸に押し寄せる巨大な波には恐怖を感じる。街が水没してから、登場人物がエレベーターに閉じこめられたり、切れた電線で感電の危険が迫ったり、ここは緊張させられる。主人公がもっと英雄的活躍をするのかと思ったら、そこは裏切られますが。メガ津波を予告した博士が仕事をなげうって、娘の元に走るところは泣かされる。間一髪で娘を救う場面には、こっちまで力がこもる。しかしその巨大な波は、海の場面になると今ひとつ緊迫感が感じられない。それと比べると船が水に浮かぶ枯れ葉のようだったのは、ジョージ・クルーニー主演の「パーフェクトストーム」。あの荒れ狂う波の描写は見事だったと改めて思う。日本版ではエンドクレジットで流れる主題歌は何故かAKB48。これは正直必要ないと思うのだが。



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