■「ロボジー/Robo-G」(2011年・日本)
監督=矢口史靖
主演=五十嵐信次郎 吉高由里子 濱田岳 川島正悟 田畑智子 和久井映見
矢口監督の映画は毎回日常を忘れさせてくれる楽しさがある。わが町北九州や各地でロケが敢行された新作「ロボジー」も例外ではない。上司に無謀なロボット開発を任された木村電器の冴えない3人の技術者。ところが完成間際のロボットは故障してしまう。3人は着ぐるみショーと偽り、ロボット”ニュー潮風”の中で演技してくれる人を探す。そこに応募したのは、隠居して暇をもてあましていた老人鈴木重光。体型も問題なく、金属アレルギーもなかったことから選ばれてしまう。ところが出演したロボット博で、予定外の行動をとってしまったことから””ニュー潮風”は世間の注目を集める存在になってしまう。秘密を明かせない3人と、彼らと行動を共にする鈴木老人の綱渡りの日々。ロボット博でニュー潮風に危ないところを助けられた女子大生葉子。彼女が次第に真実に近づいてさらなる危機へ・・・。その騒動の顛末が実に楽しく、飽きさせることはない。
異なる世界に生きる者が出会うことの面白さ。それは女子高生がジャズに夢中になる「スウィングガールズ」にしても、シンクロに挑む男子高校生の「ウォーターボーイズ」にしても然り。「ロボジー」は、日々を楽しみもなく過ごしてきた独居老人と冴えないロボット技術者たちの出会い。それは人間関係に思いもしなかった化学変化をもたらす。そんな楽しさの一方で、きちんと現実を踏まえているのも矢口作品の魅力。本作では、特に独居老人のさみしい思いがきちんと描かれているのがいい。それ故にラストのニターッとした笑顔が効いている。エンディングで流れるスティックスのカヴァー(♪ドモアリガット、ミスターロボット)は、ミッキー・カーチス(五十嵐信次郎)氏自身が歌っているなんて嬉しいじゃない!。
北九州ロケは随所に登場するもんだから、それは楽しくて仕方ないが、一方で背景が気になって仕方ない。ロボット博の群衆に知り合いを探してみたり、あっ!これうちの近所じゃん!と嬉しくなったり。・・・いかんいかん、ストーリーに集中せねば(笑)。