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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語

2013-12-15 | 映画(ま行)

■「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」(2013年・日本)

総監督=新房昭之 監督=宮本幸浩
主演=悠木碧 斎藤千和 水橋かおり 喜多村英梨

※注・結末に触れる部分があります
 昨年前編後編を一気に観て夢中になった「まど☆マギ」。テレビシリーズの再編集だった前劇場版2作品に続いて放たれたこの[新編]は、まったく新たな展開へ。公開が始まったらとっとと一人で観ようと思っていたのだが、長男ルーク(中3)が「一人で観るんじゃないよね?」と言うので、期末試験が終わるのを待って出かけた。上映開始して一月近く経つのに「まど☆マギ」には列が。入ってくる巷の情報を見ないように努力して、いざ本編。

 願いを叶える代償に嫉妬と怨みにまみれて魔女になるという運命から、鹿目まどかが魔法少女を解放した後の世界。この続編は、それでも何かと戦い続ける魔法少女たちが描かれるのかと思いきや、何気ない普通の生活、学園生活から始まる。しかし前作とは違っている。そこにはさやかもいるし、同じ学校に通う杏子もいるし、マミさんも健在(しかもあのお菓子の魔女をペットにしてる)。彼女たちは仲良く幸せそうに過ごしながら、現れるナイトメアを退治する活躍をしていた。今回は彼女たちの活躍を見せたい!というのが目的のひとつということで、変身シーンもバトルシーンもたっぷりと登場する。前半はとにかく彼女たちの勇姿を見たいファンへのサービスとも思えた。でもそこで不気味なのが喋らないキュウべえ。しかし、暁美ほむらはだんだんとその世界の不可思議な点に気付いていく。真相を探ろうと隣町に杏子とほむらは向かったが、循環路線のバスは街が閉鎖されているかのように出て行くことはなかった。気付かないふりをしているうちは安全・・・しかしほむらは真相に迫っていく。そこで彼女が目にしたものは・・・。

 閉鎖された街とそこからの脱出劇。「うる星やつら ビューティフル・ドリーマー」や「涼宮ハルヒの憂鬱」でも閉鎖空間や現実と改変された世界が登場するが、今回の「まどマギ新編」で登場する閉鎖空間は、それらと同じく一人の少女の偏った思いが創りあげた世界だ。前作のラストで、まどかを覚えている存在は世界で暁美ほむら一人になってしまう。まどかの行為は崇高で偉大なものだが、まどかを守り抜くことを貫こうとしたほむらにとって改変された世界は空虚で辛いものであったに違いない。この新編は、ほむらがまどかを取り戻そうとする物語。それは世界への反逆であり、まどかが改変した世界への反逆。新たな物語の結末は予想もしなかったものだけに、何度もこの物語に食らいつきたい気持にさせる。リピーターが劇場に足を運んでいるのも納得できる。新編の思わせぶりなラストシーンはさらなる続編?とも感じられるもの。

 しかし、この映画が終わって心に残る空虚な気持は、伝えたくても伝わらないままならない空しさにも感じられる。そうした人と人の気持ちのすれ違いや自分の思いが相手に届かないことは、現実世界では必ずついてまわること。とくに彼女たちティーンエイジャーは、「どうして私の気持ちがわかんないのよ!」と苛立ち、自己中心的な気持になることも多いお年頃。だからこそ感情の高ぶりも爆発もある(そこにインキュベーターは目をつけた訳だが)。「まど☆マギ」全編に貫かれているダークな味わいは、魔法少女たちの孤独で暗い運命が描かれているからではない。人間関係の難しさに苦悩し、大人のようにそれを割り切って考えられない少女達の心のエアポケットなのではないか。それは誰しもが通ってきた道。だから、この物語は僕らの心に迫るし、目を離さずにはいられないのだ。ほむらは悪魔へ変化(へんげ)したけれど、誰しもがほむらのように自分自身の気持ちの為に世界を変えたいというエゴを持ち合わせているはずなのだ。ほむらはまどかに自分だけを見て欲しかった。

 ストーリー以外にも、前作同様魅力は尽きない。新たなキャラクター、ビジュアルデザインの巧さ、梶浦由記の音楽。魔女対魔女が戦うクライマックスは、まるでスーパー戦隊のロボット戦か「ジョジョ」のスタンドみたい。マミさん、さやかも大活躍する姿に大満足。



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恋人たちの予感 - 80's Movie Hits !-

2013-12-15 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■It Had To Be You/Harry Connick Jr.
from「恋人たちの予感/When Harry Met Sally...」(1989年・アメリカ)

監督=ロブ・ライナー
主演=メグ・ライアン ビリー・クリスタル キャリー・フィッシャー

 ハリー・コニックJr.はニューオリンズ生まれのジャズ・ピアニスト。また歌もこなせ、俳優として映画にも出演(「メンフィス・ベル」・「コピー・キャット」等)している才人。20歳のときリリースしたデビューアルバムは、音楽各誌でベストアルバムに選出される成功を収めた。彼は1967年生まれなので、僕とは同世代(しかも誕生日が同じなのだ)。「恋人たちの予感」サントラは22歳の作品というから、才能のある人は違うよね。鍵盤弾きの一人としても尊敬しちゃいます。この主題歌 It Had To Be You は、ハリー・コニックJr.がビッグバンドをバックに歌ったものと、ピアノ・トリオでの演奏がサントラに収録されている。本編のエンディングでは、フランク・シナトラのヴァージョンが流れる。この対比が映画ではとても印象的だ。サントラでは他にはジョージ・ガーシュイン(Let's Call The Whole Thing Off)、リチャード・ロジャース(I Could Write A Book)、ベニー・グッドマン(Stompin' At The Savoy)の曲もプレイしている。これらはロブ・ライナー監督自身が選曲したとか。僕はジャズはそれ程詳しい方ではないけれど、このサントラだけは愛聴盤。

 さて映画の方はメグ・ライアンの出世作となり、以後ロマンティック・コメディ主演女優の代名詞となったのは周知のことだろう。この映画は監督のロブ・ライナーが離婚の経験がそもそもの元ネタである。離婚のショックから立ち直れないハリーの姿は監督の分身だったのだ。それを脚本家ノーラ・エフロン(現在は「ユー・ガット・メール」などロマンティック・コメディには欠かせない女性監督となった)に話したことで、女性の本音も加えられた。結果性別を問わず多くの支持を集める映画として完成したのだ。ロブ・ライナーはハリーの友人役で出演もしている。チラシにも使われている紅葉の美しさも見どころのひとつ。ちなみに撮影監督は、後に「アダムズ・ファミリー」を監督することになるバリー・ソネンフェルド。

 男女間に友情は成立しうるのか?・・・これはこの映画の究極のテーマ。僕はイエスと答えたい。確かに、結婚=友情の終わりと解するならばそれは答えはノーということになる。でも夫婦となっても、何でも話し合える友人の様な夫婦ってあると思うのだ(一方で、互いに隠し事が増える夫婦もあるだろうけどね・笑)。それは友情とは言えないのかな。それに僕自身、異性の方がかえって本音で話せることがある。男同士って共通のコミュニティに属しているとか、よっぽど趣味が同じだとか、ビジネスとか、共有できる何かがないと親しい関係を保つことは難しい。だから信頼できる異性の友人は(人によっては)必要だと思うのね。皆さんもこのサントラ聴きながら、このテーマについて考えてみるのはいかが?

When Harry Met Sally... Official Trailer #1 - Billy Crystal Movie (1989) HD


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