
■「劇場版ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」(2017年・日本)
監督=伊藤智彦
声の出演=松岡禎丞 戸松遥 神田沙也加
「ソードアート・オンライン」のシリーズが素晴らしいのは、
VRゲームの中で主人公が活躍することだけでなく、きちんとリアルが描けていることだ。
僕らは誰もがみんな、現実世界で大なり小なり何かと戦って日々を生きている。
非現実での活躍を見せるだけの作品なら、ただの逃避でしかない。
某ハリウッド映画みたいに夢のような世界から帰ってしまいたくない、という依存を生み出すだけだ。
川原礫のライトノベル作品は、「SAO」にしても「アクセルワールド」にしても
現実から逃げない強さを僕らに訴えかけてくる。
その絶妙なバランスがあってこそ、作品は深みを増す。
「マトリックス」や「レディプレイヤー1」が映画ファンに愛されているのと通ずるものだ。
もちろんアニメの劇場版は単独の映画として観るのは厳しい。
所詮はファンサービスだ。本作はまさにファン向けサービスてんこ盛りの番外編。
これまでシリーズの舞台となった電脳世界にフルダイブするVRではなく、
現実と電脳世界が重なるAR(拡張現実)を使ったゲームが舞台となる。
覚醒状態で使用できるウェアラブルデバイス"オーグマー"の技術を使ったゲームが人気となる。
ところがイベントが行われるたびに隠れた事件が起こっていた。
犠牲になったのはSAOサバイバー。
かつて開発者がVRゲーム「SAO」に仕掛けた、
誰かがクリアしなければユーザー全員がゲームオーバー=現実の死となる、
ログアウト不能の過酷な状況から生還した者たちだ。
新たなARゲームの影に隠された陰謀に気づいた主人公キリトは、その悪に仲間と共に立ち向かう。
ストーリー上当然ながら、テレビシリーズ以上に現実で困難に挑む様が描かれる。
それだけに人間ドラマが面白い。
黒幕が陰謀に託した思い、ゲーム内に出てくるバーチャルアイドル(神田沙也加グッジョブ!)、
突然現れる謎の少女、そして大人の世界の複雑な事情。
シリーズファンにはヒロイン、アスナとの仲がどう進んでいくのかが重要なポイント。
またゲームを通じて協力しあえる個性豊かな仲間の存在もまた、この作品の楽しみでもある。
そう、現実でもバーチャルでも人と人のつながりは大切なもの。
クライマックスのバトルシーンは、テレビ版からのファン感涙のオールスターキャスト。
エンドクレジットで流れるLisaの歌声まで高揚感で満たされる。
あー、お腹いっぱい。
2017年全国ロードショー「劇場版 ソードアートオンライン -オーディナル・スケール-」特報第1弾
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