Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー

2018-07-24 | 映画(は行)

■「ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー/Solo : A Star Wars Story」(2018年・アメリカ)

監督=ロン・ハワード
主演=オールデン・エアエンライク ウディ・ハレルソン エミリア・クラーク ドナルド・グローヴァー

SWというシリーズへの愛ゆえに、厳しいことを言わせていただく。長文お許しを。
※結末に触れている部分があります。

アメリカでコケたと言う報道で不安もあったが、期待もあった。
だって脚本にはEP4〜6に関わったローレンス・カスダンの名前が連なってるし、
ジョージ・ルーカスの「アメリカン・グラフィティ」に出演したロン・ハワードが監督することなんて、
縁以上のものだ。
そう思って劇場へ足を運んだ。

でもね。
残念ながら、なーんかワクワクしない。
まず一つ、薄暗いアクション場面や逆光の室内撮影が気になった。
そこで何が起こっているのか緊迫感は伝わっても、登場人物の表情が見えない。
かつてのシリーズなら、ルークが銃座で撃墜に興奮したり、ソロが銃口を向けて不敵に笑ったりする姿があった。
それは僕らも一緒に冒険しているような一体感。
ロン・ハワード監督は見せ方が下手な人ではない。
ヘルメットで顔が見えない「ラッシュ プライドと友情」や「アポロ13」でもその緊張感を見事に描けた人だ。
それなのに。
製作途中から登板されただけに本領発揮とはいかなかったように思える。
チャラいランド・カルリシアンも、エミリア・クラークも、
魅力的なドロイドも、登場人物は決して悪くないのに。

もう一つは、シリーズ本編とのつながりだ。
同じスピンオフ作品である「ローグワン」が熱烈に受け入れられたのは、
あのデススターの設計図をどうやって手に入れたのか、というEP4につながる"始まりの物語"があったからだ。
往年のファンはそのルーツに触れる楽しみが、新たなファンもここから楽しめる、
両方の満足を得られる作品だった。
企画の段階でファンの心を掴めるものだったと思える。

往年のファンには、スカイウォーカーの血筋をめぐる物語こそがSWだと思う頑なな人もいる。
それは狭義のSWストーリーであって、
もう少し広げるならジェダイの"スピリット"が受け継がれていく物語がSWの世界観でもある。
「ハン・ソロ」で感じる物足りなさ、SWじゃなくてもいいアクション映画、
と感じてしまう気持ちはジェダイやシスが登場しないからだろう。
「ローグワン」にもジェダイは登場しない。
しかし、フォースの偉大さを伝える盲目のチアルート・イムウェの存在がそのスピリットを伝えてくれている。
派手な銃撃戦が中心に思える「クローンウォーズ」でもアナキンとアソーカの子弟関係があったし、
「反乱者たち」にもケイナンというジェダイが主人公を導いた。

「ハン・ソロ」のラストにホログラムで登場するダースモール。
それはナンバリングされた本編とのつながりを感じさせる場面のひとつだ。
しかし、EPでナンバリングされた本編しか観ていない観客は、EP1で死んだはずと混乱してしまう。
実はモールはオビワンによって胴体真っ二つにされた後復活を遂げる。
そして惑星タトウィーンでオビワンと因縁の対決をするというサイドストーリーが存在する。
それを前提とした場面なのだろう。
しかしここでは、ライトセーバーを申し訳程度に見せるためだけにダースモールが出てきた印象すらある。
それは一部の人に"「ハン・ソロ」はEP1につながる話"だというミスリードをさせはしないか。
そこはシリーズ本編の脚本に関わってるローレンス・カスダンがいたはずなのに、
どこか残念に思える。

EP4でダースベイダーは「フォースを侮っていはいけませんぞ」と言うが、
「ハン・ソロ」は、ディズニーがフォースを侮った映画なのではないか。
でもこの煮え切らない感想も、スターウォーズへの愛あればこそである。

I hate you.
I know.
のやりとりは嬉しかった。

映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』日本版特報



コメント (2)
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