◾️「アンダー・ザ・シルバーレイク/Under The Slver Lake」(2018年・アメリカ)
監督=デヴィッド・ロバート・ミッチェル
主演=アンドリュー・ガーフィールド ライリー・キーオ シドニー・スウィーニー ジミ・シンプソン
巷の賛否両論、こりゃ当然。結末に明快な答えを求めるなら、この映画に多分救いはない。だがあるがままにムードを受け入れられたら、とんでもない非日常に僕らを連れて行ってくれる不思議な魅力の映画だ。
志を抱いてハリウッドに来たはいいけど、仕事もなく親の仕送り頼みでブラブラ過ごしているヲタク青年サム。向かいに越してきた美女サラといい感じになってデートの約束までしたのに、一夜過ぎたらサラの部屋は空っぽに。壁に描かれた記号めいたサイン。折しも街は犬殺しと有名人の失踪が相次いでいた。サムはサラの失踪と、ハリウッドをにぎわす事件の関係を疑い始める。
同人誌「アンダー・ザ・シルバーレイク」の作者が語るフクロウ仮面の女の話、都市伝説、暗号、ニンテンドーのゲームが謎を解く鍵、怪しげなバンド「イエスとドラキュラの花嫁」の歌に秘められたメッセージ…。サブカル好きの心をくすぐる要素がてんこ盛りになっている。だがそれだけでなく映画好きがニヤリとする描写が散りばめられる。マリリン・モンローの映画が引用されたり、ヒッチコックの「裏窓」みたいな覗き、「めまい」みたいに車で尾行。映画の不思議な雰囲気は、敢えて言えばデビット・リンチ監督作品のテイスト。でも「マルホランドドライブ」程に、訳のわからなさに脳髄フル回転で混乱することはないから、リンチと同じ括りにするのは、ちょっと違うのかもな。
ショービジネスの裏側、セレブだけしか立ち入れない世界がこの世にはある、ということなんだけど、そこにたどり着くまでが映画も主人公の行動もとにかく無駄の連続。描写も変に怖がらせたかと思えば突然笑わせて、変にインテリジェンスを感じさせたら、次は生々しいエロに舵を切る。ストーリーを追うと寄り道ばかり。不快で見たくないものも出てくるし、もっと眺めていたいものも出てくる。でも、男子はきっとこの世界が嫌いではないかも。多くを語れないのが残念だけど、気になるなら試してみるもよし。僕は、けっこう好きかも。
アンダー・ザ・シルバーレイク [Blu-ray] | |
アンドリュー・ガーフィールド,ライリー・キーオ,トファー・グレイス,ゾーシャ・マメット,キャリー・ヘルナンデス | |
ギャガ |