Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

パピヨン

2019-08-08 | 映画(は行)



◾️「パピヨン/Papillon」(2017年・アメリカ)

監督=マイケル・ノアー
主演=チャーリー・ハナム ラミ・マレック トミー・フラナガン イヴ・ヒューソン

無実の罪で逮捕され、フランス領の南米ギアナの徒刑場に送られた主人公が、壮絶な獄中生活を経て脱走を成し遂げた実話。二度目の映画化である。スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン共演の「パピヨン」を観た時の衝撃は忘れられない。あれを超えるリメイクなんて撮ることができるのか。今回のリメイクが1973年版と異なるアプローチをしたのは2つ。一つは投獄される前のエピソードを追加する試み。そして、もう一つは、実話であることを強調する試みである。

映画冒頭に付け加えられたパリでのエピソードは、主人公パピヨンが無実だったことを印象づけ、9回も挑んだ脱獄の理由づけを強くしてくれる効果は絶大だ。徒刑場に場面を移してからのギャップは、わかりやすく観客を導くことに成功していると言っていい。

このリメイクが残念なのは、実話であることを強調するあまりに、説明くさい印象を残してしまったことにある。実話の映画化は確かに感動を呼ぶ。こんなことがあったのか!という驚きは、スクリーンのこっち側の人間には新鮮だからだ。それは悪いことではない。映画を通じて知る異国の現実は僕らの知的好奇心をくすぐり、視野を広げてくれるからだ。しかし実話だという先入観があるからこその感動は、少なからず映画の感想を加点してしまうのも事実。映画本編ではなく、スクリーンの外側で感動してしまう。

ラストシーンは、ドガの友情をもう一度感じさせてくれる。けれど、年老いたパピヨンを登場させて、自分の経験を執筆するよう依頼する場面を用意したのは、わかりやすくはあるけれど、ちょっと蛇足に感じられた。1973年版は不屈の執念が実るラストに感動がある。あれはあれで十分だった。

リメイク版のレビューだというのにオリジナルの話から抜け出せないのは、リメイク版「キングコング」を日曜洋画劇場で解説してるのに1933年版の話になっている淀川長治センセイみたいで反省(笑)。でもオリジナルの呪縛は確実にある。この映画のチャーリー・ハナムの風貌は、やはりマックイーンを思わせる。一方、ドガ役のラミ・マレックは他の囚人からいかにもお尻を狙われそうなキャラに描かれているのも当世風なのかな。パピヨンの彼女役、イヴ・ヒューソン。U2のボノの娘さんなんですね。
コメント
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