Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

映画に愛をこめて アメリカの夜

2019-08-17 | 映画(あ行)



◾️「映画に愛をこめて アメリカの夜/La Nuit Americaine」(1973年・フランス=イタリア)

監督=フランソワ・トリュフォー
主演=ジャクリーン・ビセット ジャン・ピエール・レオ ジャン・ピエール・オーモン ナタリー・バイ

映画撮影現場を舞台にした映画。撮影の裏側への興味深さはもちろんだけど、人間模様のおかしさ、面白さがこの映画の魅力。誰が主人公だと明確でもなく、軸となるストーリーがある訳ではなく、群像劇の中で小さなエピソードが積み重ねられて全体のドラマが形作られる。「トリュフォーの思春期」も同じような作風だけど、観ている側にはあるがままに受け入れることを求められるし、ここから何を受け取るかも観客次第とも言える。恥ずかしながら、実は今回が初鑑賞。「映画に愛をこめて」なんて邦題を添えられたものだから、敷居の高い映画だとずっと思っていたのだ。

登場人物の誰かに感情移入することもなく、筋書きにハラハラすることもなく、観客はスタッフの一員にでもなった目線で出来事を追っていく。映画監督って大変なんだな、撮影中の色恋沙汰ってやっぱりあるんだな、ワガママな奴ってどこにでもいるもんだな、計算づくでやってるのかと思ったら意外と成り行きなんだな、群衆の動きのタイミング合わせるのにこんな苦労を…。スクリーンの向こう側で繰り広げられる出来事たち。ディテールの面白さがある。

僕の居住地は映画やドラマのロケ地として実績があり、僕もエキストラに参加したことがある。「アメリカの夜」で街角の様子を撮影するシーンがあったけど、役者さんが演技しやすいように現場の空気を作る一員になればいいのだな、と感じたのを思い出した。映画撮影って、段取りの苦労や気遣いやらで楽しいことばかりではない。それでも大勢が関わって創りあげるお祭りとも言える。撮影が終わって、それぞれが現場を去っていくラストシーンの名残惜しさ。創り手の映画愛を随所に感じられた秀作だけど、その映画愛を観る側へ伝えようとする気持ちが感じられるところがあれば、もっと好きな映画になれたかも。

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ジャクリーン・ビセット,ジャン=ピエール・オーモン,ヴァレンチナ・コルテーゼ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
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