◾️「荒野のストレンジャー/High Plains Drifter」(1973年・アメリカ)
監督=クリント・イーストウッド
主演=クリント・イーストウッド ヴァーナ・ブルーム マリアンナ・ヒル ミッチ・ライアン
クリント・イーストウッド監督主演による異色西部劇。
流れ者の男がラーゴと言う小さな町にやって来る。絡んできた荒くれ者3人を3発で撃ち殺したのを見た町の人々は、刑務所を出て報復に戻って来るブリッジスに備えるため、彼に町の護衛を頼んできた。何でも言うことを聞くと言う条件で、ブリッジスの襲撃に備える様々な指示をする。彼の要求は町の人々の間に亀裂を生みギクシャクし始める。だが、町にはかつて正義を貫こうとした保安官が鞭で打たれて殺された過去があった。
あらすじはオーソドックスな西部劇のストーリーなのに、全体に漂う不穏な空気感は物語が進むにつれてさらに濃度を増し、謎が深まっていく。スカッとするアクションもなく、流れ者が炎をバックに悪党に立ち向かうクライマックスは、ホラー映画のような怨念すら感じる。まさに異色西部劇。夜の対決シーンだけに血しぶきが目立たない一方で、真っ赤に塗られた町並みの不気味な雰囲気が流血をイメージさせる。画面下中央に銃が位置する主観ショットは、今どきの戦闘ゲームの画面と同じで、映画の緊張感を高めるうまい演出。
この西部劇が他の西部劇と違うのは、殺される悪党3人が真の悪役ではないところ。彼らと流れ者を利用しようとした町の人々こそが、物言わぬ悪人という物語。今の目線で観ると、後のイーストウッド作品につながるテーマを感じさせる。
結局流れ者クリント・イーストウッドの正体も分からず、名も名乗らないまま映画は終わる。ラストシーンで墓標を彫る男に「お名前を」と尋ねられるが、「知ってるさ」のひと言で片付けられる。その時の問いかけた男の表情から、死んだ保安官との何らかのつながりを匂わせる。保安官のよみがえり?亡霊?兄弟?どうとでも解釈できる謎を残したまま映画は終わる。
ちなみに。鞭で打たれて町の人々に見殺しにされた保安官を演ずるのはバティ・ヴァン・ホーン。後にイーストウッド映画の監督を務め、この映画の頃はスタントマンとしてイーストウッドを支え続けた俳優である。悪夢を見ているような回想?シーンで登場する容姿はどこかイーストウッドぽいので、ますます深読みになりますね。
流れ者の男がラーゴと言う小さな町にやって来る。絡んできた荒くれ者3人を3発で撃ち殺したのを見た町の人々は、刑務所を出て報復に戻って来るブリッジスに備えるため、彼に町の護衛を頼んできた。何でも言うことを聞くと言う条件で、ブリッジスの襲撃に備える様々な指示をする。彼の要求は町の人々の間に亀裂を生みギクシャクし始める。だが、町にはかつて正義を貫こうとした保安官が鞭で打たれて殺された過去があった。
あらすじはオーソドックスな西部劇のストーリーなのに、全体に漂う不穏な空気感は物語が進むにつれてさらに濃度を増し、謎が深まっていく。スカッとするアクションもなく、流れ者が炎をバックに悪党に立ち向かうクライマックスは、ホラー映画のような怨念すら感じる。まさに異色西部劇。夜の対決シーンだけに血しぶきが目立たない一方で、真っ赤に塗られた町並みの不気味な雰囲気が流血をイメージさせる。画面下中央に銃が位置する主観ショットは、今どきの戦闘ゲームの画面と同じで、映画の緊張感を高めるうまい演出。
この西部劇が他の西部劇と違うのは、殺される悪党3人が真の悪役ではないところ。彼らと流れ者を利用しようとした町の人々こそが、物言わぬ悪人という物語。今の目線で観ると、後のイーストウッド作品につながるテーマを感じさせる。
結局流れ者クリント・イーストウッドの正体も分からず、名も名乗らないまま映画は終わる。ラストシーンで墓標を彫る男に「お名前を」と尋ねられるが、「知ってるさ」のひと言で片付けられる。その時の問いかけた男の表情から、死んだ保安官との何らかのつながりを匂わせる。保安官のよみがえり?亡霊?兄弟?どうとでも解釈できる謎を残したまま映画は終わる。
ちなみに。鞭で打たれて町の人々に見殺しにされた保安官を演ずるのはバティ・ヴァン・ホーン。後にイーストウッド映画の監督を務め、この映画の頃はスタントマンとしてイーストウッドを支え続けた俳優である。悪夢を見ているような回想?シーンで登場する容姿はどこかイーストウッドぽいので、ますます深読みになりますね。