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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

愛と喝采の日々

2021-01-11 | 映画(あ行)





◾️「愛と喝采の日々/The Turning Point」(1977年・アメリカ)

監督=ハーバート・ロス
主演=シャーリー・マクレーン アン・バンクロフト トム・スケリット

映画に興味を持ち始めた中坊の頃。母が読んでいた婦人雑誌に「女の生き方を映画で考える」みたいなオールカラーの記事が載っていた。取り上げられた作品は2本。一つはダイアン・キートン主演の「ミスター・グッドバーを探して」。もう一つがこの「愛と喝采の日々」。その記事を目にしてから40年近く経って、やっと「愛と喝采の日々」を観た。

バレエを辞めて家庭に入り、3人の子供の母となった女性ディーディー(シャーリー・マクレーン)と、結婚せずにトッププリマとしてバレエ界で活躍を続けているエマ(アン・バンクロフト)が主人公。ディーディーとエマはかつて「アンナ・カレーニナ」の主役を競っていたライバルでもあった。再会を果たした二人は、これまでの人生が幸せだったかと尋ね合う。しかし二人の心の内には嫉妬があった。

バレエの才能があり美しく成長したディーディーの長女エミリアを、名付け親でもあるエマは娘のようにかわいがる。エミリアは同じバレエ団に所属するロシア人ユーリと恋仲になるのだが、妊娠でバレエを諦めた母ディーディーは心配もあって娘に厳しくあたり、母と娘の気持ちはすれ違う。一方でエミリアは恋のトラブルから泥酔して劇場へ現れる。そのミスをカバーして支えたエマにエミリアはますます頼るようになっていく。3人の女性の過去と現在が絡み合う。

なるほど。対比が分かりやすく、それぞれの人物の心情も丁寧に描かれているので、雑誌が女の生き方テーマで取り上げるのも納得できる。二人がため込んできた感情を爆発させ、叩き合って喧嘩するクライマックス。初めて知る本当の気持ち。ラストは美しく感動的だ。オスカー10部門ノミネートされたが、「アニー・ホール」に敗れて無冠に終わった作品だと聞く。

監督したハーバート・ロスは、「グッバイガール」の印象が強いので、ロマコメ映画のイメージがあった。この映画のバレエ場面は、アメリカン・バレエ・カンパニーによって演じられており、きちんとバレエを魅せる映画としても素晴らしい。「リトル・ダンサー」や「ブラック・スワン」などバレエが出てくる映画はあるが、映画の題材や物語の舞台として見せるのではなく、プロのダンスをきちんと堪能させてくれる映画だ。特にコンサート形式のガラ公演シーンは、それぞれの演目についても字幕で紹介が入る丁寧な扱い。観客と同じ目線で正面から見せるだけでなく、トゥシューズのつま先の動き、回転(ピルエットって呼ぶんでしたっけ?)する躍動感、女性をリフトするシルエットを美しくフィルムに焼き付けている。ロス監督は、この数年後にMTV世代映画の代表作「フットルース」を手がけるのだが、ダンスの魅力を上手に撮るのは実は実績があったのだと再認識。

「ホワイト・ナイツ 白夜」のミハイル・バリシニコフがチャラくて憎たらしいw。






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