Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ホドロフスキーのDUNE

2021-10-24 | 映画(は行)


◼️「ホドロフスキーのDUNE/Jodorowsky's Dune」(2013年・アメリカ)

監督=フランク・パヴィッチ
出演=アレハンドロ・ホドロフスキー ミシェル・セイドゥー H・R・ギーガー クリス・フォス

なんだろう、このおっさんの情熱は。「砂の惑星」の映画化に挑んで製作にたどり着けなかった一部始終を、カメラの前で語り倒すドキュメンタリー。企画を進めていた70年代に、視覚効果のダン・オバノン、音楽はピンクフロイド、オーソン・ウェルズ、ミック・ジャガー、なんとサルバトール・ダリにまで声をかけていたという。「戦士を集めるんだ!」その言葉、なんともカッコいい。後に「エイリアン」を手がけるデザインのH・R・ギーガーは、ELPのレコードジャケットなどで活躍してしていた時代。実現していたらどんな作品になっていたのだろう。

製作されれば傑作となったはず…とホドロフスキーは言う。結局残ったのはストーリーと絵コンテとデザインのアートワーク。しかしこれらに後々製作される様々な映画が影響されたというから驚く。いや、あくまで本人が一方的に言ってるだけかもしれない…。「あいつがオレのアイディアを盗んだ」なんて話は昔からよくある話だし、それが元で悲惨な事件が起こったりもしてるわけだから。

でもホドロフスキー監督はカメラに向かってとても朗らかなのだ。完成できなかったけれども、それが多くの映画にアイディアが受け継がれたこと、この企画で集められたメンバーが組んで活躍する機会となったことが嬉しいと言う。自分の失敗話をこんなに楽しそうに話せるってすごい。

この企画は、ディーノ・デ・ラウレンティスによってデビッド・リンチに引き継がれる屈辱的な展開に。それでもリンチ監督版を観た感想をホドロフスキー監督は実に嬉しそうに話す。「映画がどんどん酷くなるんだ!」その生き生きとした表情。これは自分にしか撮れないのだ、と言わんばかりの気迫。恐れ入りました。

ホドロフスキーもすごいけど、この人をこんなにのめり込ませる「DUNE」という原作の魅力。ヴィルヌーヴ監督にはどのように響いているのだろう。



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