◼️「DUNE/デューン 砂の惑星/Dune」(2020年・アメリカ=イギリス=カナダ=ハンガリー)
監督=ドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演=ティモシー・シャラメ レベッカ・ファーガソン オスカー・アイザック
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による「砂の惑星」の映画化は、スターキャストを集め、連作となる注目作。これまでデビッド・リーンで企画されて流れ、ホドロフスキー監督での企画は頓挫、1984年のデビッド・リンチ監督による映画化は商業的に惨敗となり、壮大な物語故に映画化の難しさが幾度も語られてきた。「ブレードランナー2049」は大好きなのだが、「複製された男」が理解不能で苦手意識しかないヴィルヌーヴ監督の手による「砂の惑星」。デビッド・リンチ版の不気味な映像の記憶が重なって、正直観るまで不安だった。
多くのレビューでも触れられている通り映像は美しい。ただ惑星アラキスの気候のせいだとは思うが、全体に薄暗い場面が多いのが気になる。そこがヴィルヌーヴSF映画の空気感。建物やメカのデザインが意外と古い感じで、僕にはそっちが魅力的に見えた。特に羽ばたき機(オーニソプター)が、ちょっとノスタルジックなSFテイストで好き。ワクワクしてしまう。
ちょっとだけ比較してみる。バージニア・マドセンのナレーションや各勢力の政治的な関係を図示するなど、説明が多い割りに分かりにくい印象だったデビッド・リンチ版。ヴィルヌーヴ版は尺が長い分だけそうした工夫はなく独特な固有名詞を理解するしかないのだが、スパイス貿易のギルド勢力が絡まないからなのか、意外とスッキリとした導入。教母様がシャラメ君を試す場面では、箱に突っ込んだ手をポールがどう感じているのかを、焼けただれた手のイメージで見せたくどいリンチ版とは違って、二人の演技だけで押し通すヴィルヌーヴの潔さ。特撮に金を使うのはここではない、ということか。
改めてリンチ版を観ると、確かに工夫してるけど、それが蛇足に感じられる場面が随所にある。ホドロフスキー監督が言う「ハリウッドのシステムに毒された」部分なのかも。されどあまり凝視したくないものをじっくり見せたがるのがデビッド・リンチ。男爵の吹出物治療なんて見たくない。それからすると、ヴィルヌーヴ版の男爵は、全身泥パックでお肌すべすべww。「地獄の黙示録」みたいに泥まみれで登場する場面、怖っ。
小出しに見せる未来がどうつながっていくのか。リンチ版を観てるから筋はわかっているのだけれど、あれはストーリー的にはダイジェストみたいなものだから、ヴィルヌーヴ版の続編がどれだけスペクタクル場面を見せつけることになるのかが楽しみだ。
蛇足ながら。予告編でピンクフロイドのEclipseのカバーバージョンが使われたことに大感激。ホドロフスキー版の音楽はピンクフロイドが担当するはずだった。これはハンス・ジマーとヴィルヌーヴによる、ホドロフスキーへの敬意なんだろう。
多くのレビューでも触れられている通り映像は美しい。ただ惑星アラキスの気候のせいだとは思うが、全体に薄暗い場面が多いのが気になる。そこがヴィルヌーヴSF映画の空気感。建物やメカのデザインが意外と古い感じで、僕にはそっちが魅力的に見えた。特に羽ばたき機(オーニソプター)が、ちょっとノスタルジックなSFテイストで好き。ワクワクしてしまう。
ちょっとだけ比較してみる。バージニア・マドセンのナレーションや各勢力の政治的な関係を図示するなど、説明が多い割りに分かりにくい印象だったデビッド・リンチ版。ヴィルヌーヴ版は尺が長い分だけそうした工夫はなく独特な固有名詞を理解するしかないのだが、スパイス貿易のギルド勢力が絡まないからなのか、意外とスッキリとした導入。教母様がシャラメ君を試す場面では、箱に突っ込んだ手をポールがどう感じているのかを、焼けただれた手のイメージで見せたくどいリンチ版とは違って、二人の演技だけで押し通すヴィルヌーヴの潔さ。特撮に金を使うのはここではない、ということか。
改めてリンチ版を観ると、確かに工夫してるけど、それが蛇足に感じられる場面が随所にある。ホドロフスキー監督が言う「ハリウッドのシステムに毒された」部分なのかも。されどあまり凝視したくないものをじっくり見せたがるのがデビッド・リンチ。男爵の吹出物治療なんて見たくない。それからすると、ヴィルヌーヴ版の男爵は、全身泥パックでお肌すべすべww。「地獄の黙示録」みたいに泥まみれで登場する場面、怖っ。
小出しに見せる未来がどうつながっていくのか。リンチ版を観てるから筋はわかっているのだけれど、あれはストーリー的にはダイジェストみたいなものだから、ヴィルヌーヴ版の続編がどれだけスペクタクル場面を見せつけることになるのかが楽しみだ。
蛇足ながら。予告編でピンクフロイドのEclipseのカバーバージョンが使われたことに大感激。ホドロフスキー版の音楽はピンクフロイドが担当するはずだった。これはハンス・ジマーとヴィルヌーヴによる、ホドロフスキーへの敬意なんだろう。